生活の本拠とは別に、もう1つの生活拠点を構える2拠点生活。平日はメイン拠点で過ごし、週末は2拠点目で思い思いに過ごせるため、暮らしをより充実したものにできると注目されている暮らし方です。
本記事では、名古屋に拠点を置く方たちが2拠点生活を叶えるため、成功させる秘訣や2拠点目におすすめのエリアを紹介します。2拠点生活のメリットやデメリットも解説するので、自分に合っている暮らし方なのか知りたい方も参考にしてみてください。
2拠点生活とは?もう1つの生活拠点をプラスした暮らし方
2拠点生活とは、2つの地域に生活拠点をもつライフスタイルのことです。例えば、名古屋に住んでいる方の場合は、「仕事がある平日は名古屋で過ごし、週末は2拠点目でゆっくり過ごす」といった暮らしが可能になります。
2つの地域を行き来する生活は、都会での暮らしと田舎での暮らし、両方を実現できます。また、オンとオフの切り替えが明確になるため、生活にメリハリをつけたい方にもおすすめのライフスタイルです。
自分に合っている?2拠点生活のメリット・デメリット
2拠点生活は誰にでも合うライフスタイルではありません。実行する前に、自分に合っているかどうか見極めることが大切です。
2拠点生活のメリットとデメリットを紹介します。それぞれ比較しながら、検討してみてください。
2拠点生活のメリット
2拠点生活には、次のようなメリットが挙げられます。
- 完全移住よりもハードルが低いため実現しやすい
- 都会に比べてマイホームをもちやすい
- 生活にメリハリが出る
- 新たな交友関係を築ける
- 自然豊かな環境で子育てができる
- 週末農業ができる
- サーフィンやキャンプなどアクティビティを手軽に楽しめる
地方や田舎暮らしに憧れを抱いていても、完全移住となれば転職や転校などを伴うため、現実的ではないと諦めてしまう方は少ないでしょう。2拠点生活においては、今ある暮らしを変えずに地方や田舎暮らしを叶えられるので、実践しやすいといったメリットがあります。
ゆっくり過ごすのもよいですし、趣味を満喫したり新しいことにチャレンジしたり、さまざまな暮らしを実現できます。生活をより豊かにできるところは、2拠点生活の最大のメリットです。
2拠点生活のデメリット
2拠点生活には、次のようなデメリットが挙げられます。
- 地方特有の風習がある場合も
- 移動する際にお金と時間がかかる
- 家賃や光熱費などが2拠点分必要になる
- 移住先によっては車が必要
さまざまなデメリットがありますが、なかでも多いのは費用面に関するデメリットです。往来するときの移動費(電車代やガソリン代、高速道路利用料金など)や居住費(家賃や家電など)、さらには光熱費や車代、家をもつ場合は固定資産税などがかかります。
通常よりも出費が増えるのは明確です。比較的生活に余裕がないと、2拠点生活を叶えるのは難しいでしょう。たとえ、実現できたとしても家計を圧迫してしまい、長く続かない恐れがあります。
名古屋市を本拠地とした2拠点生活を成功させる秘訣
計画性のない2拠点生活は、後悔や失敗につながる可能性があります。思い描いていた暮らしとはかけ離れたものになることもあり得るでしょう。
2拠点生活を成功させるためには、ポイントを押さえて計画的に進めることが大切です。2つのポイントを紹介するので、しっかり押さえておきましょう。
2拠点生活を実践する目的を明確にする
そもそもなぜ2拠点生活をしたいのか、目的を明確にすることが重要です。目的があやふやな状態では、2拠点目探しにブレが出てしまい、思い描いていた理想の暮らしから遠ざかってしまう恐れがあります。また、住居や車などを購入していたら、費用面でも大きな損失を生むことになるでしょう。
例えば、ゆったりと過ごしたいのであれば、商業施設や観光名所が近くにないエリアや山に近いエリアなどがおすすめです。サーフィンや釣りが趣味なら、海に近いエリアが適しています。まずは、2拠点生活を実践する目的を明確にしたうえで、適した2拠点目を探すようにしましょう。
2拠点目の候補地選びは「安・近・短」がポイント
2拠点目はメイン拠点からスムーズに行ける場所がおすすめです。移動時間にお金や時間がかかると、頻繁に行けなくなり、かえってストレスに感じてしまう恐れがあります。移動にお金がかからず、近くて短時間で行ける場所を選ぶとよいでしょう。
また、移動手段が車になるのか、それともバスや電車などの公共交通機関になるのかによっても、候補となる2拠点目は異なります。公共交通機関を利用する場合は、交通網が整っていることが前提となるので、その辺りも詳しく調べておきましょう。
名古屋市民におすすめの2拠点目。週末移住が可能なエリア5選
ここからは、名古屋市民におすすめの2拠点目を紹介します。いずれも移動するのに負担がかかりにくいエリアなので、充実した2拠点生活を送れるでしょう。それぞれの特徴や魅力とともに紹介します。
【名古屋市民におすすめの2拠点目】
- 静岡県
- 長野県
- 京都府
- 山梨県
- 岐阜県
- 三重県
移住希望地ランキング第1位「静岡県」
地方移住を支援する「ふるさと回帰支援センター」が実施したアンケートによると、移住希望地のランキングにおいて静岡県は2020〜21年の間、2年連続で1位を獲得していることが報告されています。2016〜19年までは常に上位3位にランクインしているので、人気の高さがうかがえます。
そんな静岡県は、愛知県と隣接しており、名古屋へはスムーズな移動が可能です。静岡県のなかでも西部に位置する、浜松市・磐田市・湖西市は愛知県寄りなので、とくにおすすめのエリア。豊かな自然と都会を両立しており、適度な田舎暮らしを叶えられます。また、少し足を伸ばせば富士山や伊豆など、自然あふれる観光名所があるので、充実した週末を過ごせるでしょう。
参考:ふるさと回帰支援センター|2021年の移住相談の傾向、移住希望地ランキング公開
静岡県についてもっとくわしく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。おすすめの市町村も紹介しています。
参考記事:静岡に移住すれば海と山を満喫できる!おすすめの移住先や注意点を解説
年間を通してアウトドアを楽しめる「長野県」
日本のほぼ真ん中に位置する長野県。北アルプスがそびえ立ち、雄大な山々に囲まれた環境は、都会の喧騒から離れたい方にぴったりです。積雪量も多いため、冬はスキー、夏はハイキングやキャンプなども楽しめます。また、山だけでなく川や湖もあるので、川下りやカヤックなど、さまざまなアウトドアにチャレンジできます。
名古屋との2拠点生活を叶えるのであれば、愛知県に近い根羽村や売木村、天龍村あたりがおすすめです。市街地に比べると交通網は充実していないので、車があると便利です。
長野県の魅力やおすすめ移住地について知りたい方は、以下の記事もおすすめです。
参考記事:長野県への移住におすすめの地域を紹介!人気の理由と知っておくべきことを解説
実際に長野県へ移住された方の体験談も参考になりますので、チェックしてみてください。
参考記事:【前編】移住の“先輩”インタビュー 漠然と思い描いていた「移住」を実行した、ひとつのきっかけ|宮本将弘さん(東京→長野県安曇野市)
参考記事:【前編】移住の“先輩”インタビュー 「いつか」の夢が現実に。自分たちなりの「暮らし」の形を模索してきた3年間|横山暁一さん・恵理さん(名古屋→長野県塩尻市)
世界遺産や歴史的文化に触れ合える「京都府」
京都府も2拠点目におすすめのエリアです。愛知県からは若干離れますが、新幹線や高速バスもあり、乗り換えなしでスムーズに移動できます。高速バスやJR(乗り換え2回)を利用した場合は3時間以内、新幹線に至っては1時間以内での移動が可能です。
とはいえ、他のエリアに比べると、移動するのにお金や時間がかかるのは言うまでもありません。それでも京都府をおすすめするのには、それ以上のメリットがあるからです。
京都府といえば、世界遺産や歴史的文化が多く残るエリア。非日常生活を送るのにぴったりです。葵祭や祇園祭、時代祭といった由緒あるお祭りも開催されるので、名古屋とは違った雰囲気を味わえます。交通の便の良さを重視するなら京都市、車で移動する場合は愛知県寄りに位置する南山城村や笠置町あたりがおすすめです。
京都府の魅力やおすすめ移住地について知りたい方は、以下の記事もおすすめです。
参考記事:京都へ移住する魅力とは?おすすめの地域や移住支援制度について解説
自然豊かで過ごしやすい「山梨県」
名古屋から見ると、山梨県に移動する際には、静岡県をまたがなければいけないので遠いイメージがもたれがちです。実際、新幹線や電車で移動する場合は、乗り換えが必要なうえに、4〜6時間ほどかかります。2拠点目には適していないと思われるのも無理はないでしょう。
しかし、山梨県は富士山や八ヶ岳、南アルプスなどを有し、山々に囲まれた自然豊かな暮らしが可能となるエリアです。水にも恵まれており、富士川や笛吹川(ふえふきがわ)など、大きな川が流れる風景は、心を穏やかにしてくれるでしょう。
また、山梨県は東京に隣接しているので、首都圏へは気軽に行ける距離です。1日目は山梨県で過ごし、2日目は東京観光を楽しんで帰宅する、という楽しみ方もできます。なお、2拠点目としては、静岡県に隣接する早川町や南部町、身延(みのぶ)町あたりがおすすめです。
山梨県の魅力やおすすめ移住地について知りたい方は、以下の記事もおすすめです。
参考記事:山梨県が移住先に選ばれる理由。山梨の地域ごとの魅力や支援制度を総まとめ
日本のほぼ真ん中!名古屋に最も近いエリア「岐阜県」
岐阜県といえば、御嶽山や穂高岳などの標高3,000mを越える山々を有するエリア。本格的な登山を楽しめるのはもちろん、登山道が整備されているので、登山初心者も楽しめます。山だけでなく川も多くあり、カヌーや釣りが楽しめるスポットが点在しているところも魅力のひとつ。自然をより身近に感じられるので、アクティビティを楽しみたい方だけでなく、ゆっくり過ごしたい方も満足できるでしょう。
岐阜県の魅力やおすすめ移住地について知りたい方は、以下の記事もおすすめです。
参考記事:岐阜県に移住するお得な情報と注意点!手厚い支援制度まで徹底解説
また、岐阜県は名古屋市から最も近い場所にあるため、移動に時間とお金をなるべく使いたくない方におすすめです。とくに子育て世帯は、小さい子どもを連れての移動が大変なので、岐阜県を2拠点目にすると負担にならずにすむでしょう。おすすめのエリアは、多治見市や海津市、羽島市あたり。愛知県に隣接しており、名古屋市へも近いエリアです。
都会暮らしと田舎暮らしを両立できる「三重県」
三重県もまた、岐阜県と同じく名古屋に近いエリアです。北部に位置する桑名市や木曽岬町、川越町などは愛知県に隣接し、高速道路や鉄道などが整備されているため、名古屋からの移動が楽です。東海環状自動車道が全線開通すれば、さらにアクセスが良くなるでしょう。
また、三重県の魅力はアクセスの良さだけではありません。旧東海道の街道沿いには古い町並み、中山間部には美しい清流や峡谷、中央部には多くの商業施設が建ち並んでいます。各エリアによって見せる顔は異なるため、その土地ならではの魅力を感じながら過ごせます。
2拠点生活を叶えたい人におすすめの本・雑誌
最後に、2拠点生活に役立つおすすめの本を紹介します。「2拠点生活で気をつけることとは?」「実体験を知りたい!」など、2拠点生活に関するさまざまな情報を収集できます。
ぜひチェックしてみてください。
週末移住からはじめよう-田舎に小さな家をもつ2拠点ライフ-
東京と長野との2拠点生活を送ったのち、2011年に完全移住を果たした体験談が読める本です。東京でライフスタイルデザイナーとして働く友枝氏は、20歳の時に長野県から山梨県にまたがる八ヶ岳に一目ぼれしたのをきっかけに、29歳で2拠点生活を、53歳で完全移住を果たしました。
本には、完全移住するまでの体験談が綴られているので、移住をより具体化できます。斬新な考えや発想に驚かされたり、考えさせられたりすることでしょう。移住に興味がある人に刺さる本です。
画像出典:Amazon
複住スタイル
地方移住を支援する総合情報サイト「複住スタイル」が出版している雑誌です。2022年6月時点で第5号まで出版されており、各号では移住に関するさまざまな特集が組まれています。
例えば、第2号ではテレワークの普及が進んだことを受け、「仕事を変えずに拠点を変える。」をコンセプトに、テレワークをきっかけに移住した人や、テレワークを積極的に導入する企業に対し取材を行い、実情をまとめています。ほかにも、移住や2拠点生活に関する知りたい情報が満載なので、役に立つ場面が多くあるでしょう。
画像出典:Amazon
名古屋に住みながら2拠点生活を叶えよう
2つの地域に生活拠点を置く2拠点生活は、都会暮らしと田舎暮らしを同時に叶えられるライフスタイルです。生活をより充実したものにできるため、日常生活にも仕事にも良い影響をもたらしてくれるでしょう。
名古屋に生活拠点を置きながら2拠点目を探しているという方は、今回紹介したおすすめエリアを候補地にしてみてはいかがですか?いずれもスムーズな移動が可能なうえ、魅力ある特徴を備えています。2拠点生活を行う目的に合わせて、選んでみてください。