愛車を屋外の駐車場で保管していると、盗難やいたずら、紫外線の影響など、車好きならいろいろな心配ごとが尽きないものです。愛車をメンテナンスしたくても、周りの目が気になり思うようにできないかもしれません。そこで、いっそのことガレージのある物件へ引っ越そうと考え、ガレージ付き物件がある場所へ移住を検討する方もたくさんいます。ですが、そもそもガレージ付きの物件に馴染みがない場合、多くの疑問が湧き上がってくるものです。
そこで今回は、大切な愛車とともに充実したカーライフを満喫するため、ガレージ付き物件のメリット・デメリットや適切な選び方を解説していきます!予備知識がないままだと、思わぬ落とし穴があるかもしれません。ぜひあなたも、この記事を読んで便利なガレージ付き物件を検討してみてはいかがでしょうか?
ガレージ付き物件のメリット
そもそもガレージ付き物件のメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?まずはメリットを3つ解説したいと思います。
車を安全に保管可能
ガレージ付き物件の最大のメリットは、車を安全に保管できることです。日本における車の盗難件数は、2022年で5,734件となっております。2003年の64,223件というピーク時から考えると大幅に減少しているものの、いつあなたの愛車が被害に遭うかはわかりません。実際に車の盗難被害に遭っている場所のほとんどが、契約している駐車場や自宅の駐車場とされ、全体の6割を超えています。
そのため、盗難防止という観点からいえば、ガレージ付き物件は最強のセキュリティの1つといえるでしょう。愛車を盗難被害から守るには、ガレージに収納することがもっとも理にかなっているからです。
もちろん、愛車にまつわる心配ごとは盗難被害だけではありません。いたずら目的で愛車を傷つけられたり、冬場には猫などがエンジンルームに入り込むトラブルも少なからず発生します。さらには紫外線による塗装劣化の問題も深刻です。旧車・クラシックカーや高級車など、希少価値の高い車であればあるほど、塗装へのダメージはオーナーの頭を抱えることになるでしょう。
このように、自宅駐車場を含めた屋外の駐車場には多くのリスクが潜んでおり、愛車をさまざまな心配ごとから守る「究極の答え」はガレージ付き物件以外になく、最大のメリットといえるのです。
参考:【警察庁】令和4年度:自動車盗難等の発生状況等について
タイヤや工具などを収納することが可能
2つ目のメリットは、タイヤや工具などさまざまな道具を収納できる点といえます。車への愛情が深くなればなるほど、カスタマイズや簡単な整備作業などおこないたくなるものです。しかし、屋外の契約駐車場でそのような「クルマいじり」は、契約上許可されていないことがあります。また、寒冷地などであれば冬用タイヤに履き替える必要がありますが、タイヤをショップなどで保管してもらう場合、数千円〜1万円以上の保管料を請求されることがほとんどでしょう。
しかし、ガレージ付き物件であれば、カスタマイズや作業も自由に行うことが可能で、タイヤや工具をスペースが許す限り収納することができます。さまざまな工具などをコレクションし、ガレージ内で好きなだけ「クルマいじり」を堪能でき、好きなように作業できることは大きなメリットといえます。まさに「自分だけの秘密基地」という表現がピッタリかもしれませんね。
温度管理しやすい
温度管理しやすいこともガレージ付き物件のメリットといえます。真夏の日中、駐車していた車に乗り込み、サウナ状態の車内でハンドルを握った瞬間「熱っ!」という経験は誰もがあることでしょう。レザーシートの車であればシート自体が熱せられ、座るにも多少の勇気が必要なくらいです。ガレージ付き物件は閉鎖空間のため温度管理しやすく、そのようなトラブル(?)と無縁なことはありがたいことといえますね。
また、直射日光を防げる観点からいえば、紫外線による塗装へのダメージも防げます。さらに最近は電気自動車(EV)も徐々に普及しはじめており、直射日光によるバッテリーへの悪影響も防げることは、今後大きなメリットとなり注目されることでしょう。
ガレージ付き物件のデメリット
多大な恩恵を享受できるガレージ付き物件ですが、デメリットも存在します。ここからはデメリットにも着目し、事前に理解したうえでガレージ付き物件を適切に活用できるようにしましょう。
車を駐車しにくくなる
デメリットとして、屋外の駐車場より車を駐車しにくくなる点が挙げられます。ガレージ付き物件は、両サイドが壁となっているため、駐車の際に角度を誤ると愛車をこすってしまうリスクがあります。特に前面の道路が狭い場合、何度もハンドルを切り返す必要があり、駐車の難易度が上がるため注意が必要です。
また、車を出庫する際の見切りも悪くなるため、出会い頭に接触事故を起こしてしまう危険性があることも理解しておきましょう。
詳しくは「ガレージ付き物件の選び方」で紹介しますが、ガレージ付き物件を選ぶ際は、駐車しにくくなるデメリットを念頭に置き、前面の道路幅と愛車のサイズを考えたうえで選ぶ必要があります。
家賃が高くなる
ガレージ付き物件はある意味贅沢な設備であり、賃貸の場合は通常の駐車場付き物件よりも家賃が高くなることがほとんどです。物件数も限られているため、自分が希望するエリアにないことも想定しておいた方がいいかもしれません。注文住宅などで新築する際も、ガレージを取り入れることで通常よりも建築費は高くなります。
ただ、家賃とは別に駐車場を借りる必要がある場合は、総合的にみればガレージ付き物件の方が費用を安く抑えられることも考えられるため、ケースバイケースで検討してみることが重要です。
大切な愛車を盗難被害やいたずらなどから守りたいという強い意志があり、充実したカーライフを送りたいのであれば、ガレージ付き物件はぜひ検討したい設備といえるでしょう。
メンテナンス費がかかる
屋外の駐車場とちがい、メンテナンス費用がかかることもデメリットといえます。もし、車をこすったり、壁に当ててしまいガレージに何かしらのダメージを与えてしまった場合、当然メンテナンス費用がかかります。賃貸物件の場合は、原状回復が必要なため多額の出費が必要となるかもしれません。
不可抗力による修復以外にも、経年劣化によるメンテナンスも必要となってきます。コンクリートのひび割れや、シャッターが開きづらくなったり、塗装の塗り替えなど、いろいろなメンテナンス費がかかることを事前に理解しておきましょう。
ガレージ付き物件の選び方
最後に、失敗しないガレージ付き物件の選び方を紹介します!愛車を守り憧れのカーライフを送るためのガレージ付き物件ですが、思うような使い方ができず活用できなければ本末転倒です。正しい物件選びをするためにも、ぜひご覧ください!
愛車に合った大きさのガレージを選ぶ
まず、愛車に合った大きさのガレージを選ぶことはいうまでもありません。ガレージの大きさは国土交通省が定めた一定の指標があるものの、法律などで規定されていないため、物件によってバラバラです。したがって、ガレージを選ぶ際は、「愛車が駐車できる」のではなく「愛車が楽に駐車・発車・乗り降りでき、さらに、さまざまな道具を置き作業もおこなえるスペース」があることが非常に重要です。トランクへ荷物を楽に出し入れするため、後方のスペースにも余裕をもちましょう。
それでは、基本となる必要最低限のスペースとはいったいどれくらいでしょうか?財団法人駐車場整備推進機構(現在は解散)から公表されている資料によると、
軽自動車 長さ4.0m×幅2.2m
小型自動車 長さ5.0m×幅2.6m
普通自動車 長さ5.9m×幅2.9m
最低でもこれくらいのスペースを確保する必要があります。もちろん、愛車の整備やメンテナンスをしたい方や、駐車するのがあまり得意でない方は、さらに余裕をもったスペースが必要です。自分が理想とする使い方によってガレージのサイズを選びましょう。
前面の道路幅にも注意が必要です。先ほど紹介した「基本となる必要最低限のスペース」とは、前面道路の幅員が6m以上であることを想定したものであり、前面道路幅が4m以内であれば、ガレージの幅はさらに広くなければなりません。前面道路が狭く、ガレージの幅が狭い場合、何度もハンドルを切り返さないとガレージに入れられなくなるからです。
ガレージ付き物件を選ぶ際は「入るだけ」でサイズを選ぶのではなく、「出庫」「乗り降り」「荷物の出し入れ」「作業性」等をトータルで考え、これらをスムーズにおこなえることがもっとも重要といえるでしょう。
湿気でカビが生じていないか確認する
実はガレージ付き物件のトラブルで多いのが「湿気問題」です。ガレージは外気を遮断した密閉空間であるため、結露しやすいうえ空気の循環が悪く、梅雨時をはじめカビが発生することがあります。賃貸物件でも新築でも、ガレージに湿気でカビが生えていないことをまず確認しましょう。ただ、入居時にカビが発生していなくても、湿度の高い日が続くと生じる可能性もあるため注意が必要です。
ガレージ内に換気用ダクトや窓がついていれば問題ないのですが、それらがない場合、カビを防止するために定期的な換気が必要となります。また、換気ができないということは、ガレージ内でエンジンをかけた際、排気ガスがガレージ内にこもってしまうため危険も伴います。アイドリング状態での整備もできないため、湿気でカビが生じていないかの確認とともに、湿気対策や排気ガス対策となる換気用ダクトや窓の有無も必ずチェックしておきましょう。
ドアやシャッターに施錠できるか確認する
ドアやシャッターに施錠できるか確認することも重要です。万が一、鍵が壊れている等で施錠できない場合は防犯面で大きなリスクになるので、そのまま入居するのはおすすめできません。また、古い物件などではシャッターの鍵が開きにくい場合もあります。その際は、あらかじめ鍵を交換しておくか、賃貸の場合、物件オーナーと交渉し鍵を交換してもらったほうがよいでしょう。
ガレージ付き物件でカーライフを楽しめる物件を探そう
ガレージ付き物件はとても夢のある設備です。休日は一日中愛車を眺めていたり、車いじりに没頭したりなど、車好きには最高の住環境といえるでしょう。ただ、メリットもあればデメリットもあるため、事前にしっかりと情報を集めたうえで、失敗のない物件選びをしましょう!