日本は諸外国と比較して災害が起きやすいといわれ、毎年のように大雪や台風などが日本のどこかで大きな被害をもたらしています。できることなら、なるべくこのような災害には遭いたくないものです。そこで今回は、移住を検討している方に向けて日本で多い災害の種類と、どのような場所でいつ多いかなどを解説し、移住先として比較的災害が少ない県を紹介します!
移住先選びの基準として、災害が少ない県を選ぶことは非常に大切です。突然やってくる災害から身を守るためにも、ぜひ参考にしてください。
日本で多い災害の種類
日本ではさまざまな種類の災害が一年を通して発生しており、各地で大きな被害をもたらしてきました。まずは、日本で多い災害の種類や近年大きな被害を与えた災害、さらにどのような地域で発生しやすいかなどを解説します。
地震
日本は世界でも有数の地震大国であり、2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震などは記憶に新しいかと思います。甚大な被害をもたらし、日本全国に衝撃が走りました。日本列島は4つのプレート(太平洋プレート・フィリピン海プレート・ユーラシアプレート・北米プレート)がぶつかる場所に位置しており、全国のいたるところで地震が発生しやすい状況です。
地震発生件数が多いのは、直近の10年間で調べると東日本大震災が起こった福島県や宮城県などの東北地方で、その次が東京を含む関東甲信越地方とされています。一方、地震が少ない都道府県としては、富山県・三重県・香川県などが挙げられ、これらの県は比較的地震のリスクが少ないといえるでしょう。
津波
2011年の東日本大震災において、もっとも甚大な被害をもたらしたのは、地震そのものではなく津波であるといわれています。海底の下の浅いところが震源となる地震が起きると、海底の地盤が隆起したり沈降することにより海面が変動し津波となるのです。
津波が迫るスピードは海が深くなるほど速くなります。水深が10mほどでは時速40kmほどですが、「南海トラフ」のような水深が深い場所であれば、ジェット機なみの速さでせまってくるため、目視した時点で逃げ切ることは難しいといわざるをえないでしょう。津波リスクのある沿岸部、特に太平洋沿岸部に移住するのであれば、自治体が公表している津波ハザードマップを事前に確認し、高台など安全が確保できる場所に住むことが大切です。
台風
台風も大きな被害をもたらす災害として、全国各地に痛々しい爪あとを残してきました。暴風とともに大雨をともなうことが多く、洪水や浸水被害も深刻な問題となります。2019年9月に発生した台風15号は、関東地方に上陸した台風としては観測史上最強クラスのものとなり、千葉県を中心に甚大な被害をもたらしました。
日本に接近・上陸する台風は、毎年7月から10月にかけてもっとも多くなり、特に九州・沖縄・四国をはじめとした西日本に被害が発生しやすくなっています。台風の通り道とされるこれらの地域に移住を検討する場合、自治体の洪水・土砂災害などの各種ハザードマップを確認し、なるべく被害が少ない場所を選びましょう。
大雨
大雨による災害といえば、2018年6月から7月にかけて西日本を中心に広い範囲に大きな被害をもたらした、西日本豪雨が挙げられます。1府10県に大雨特別警報が発令され、特に被害が大きかった広島県・岡山県・愛媛県では大雨による洪水・土砂災害をもたらしました。
大雨による被害が起きやすいのは、やはり梅雨のシーズンです。例年、梅雨から秋にかけて台風とともに被害が多く発生します。大雨被害は台風と関係していることも多く、被害を受けやすいのも台風の通り道とされる西日本といえるでしょう。
豪雪
意外と知られていませんが、日本が世界一の豪雪大国であることはご存じでしたか?世界一というのは、人が居住する都市での降雪量のことです。アメリカの天気予報提供会社「AccuWeather」が2016年にリリースしたニュース記事によると、世界でもっとも降雪量の多い都市は青森市で、年間降雪量は8mとしています。2位が札幌市、3位が富山市で、東北・北海道をはじめ、日本海側でも大雪に注意が必要といえるでしょう。
2021年から2022年にかけて起きた大雪被害は、日本列島の広い範囲でさまざまな被害をもたらしました。車や電車が長時間立ち往生する交通被害が頻発し、市外と結ばれる道路がすべて寸断されたことにより、孤立を余儀なくされた街もあったほどです。豪雪地帯へ移住する際は、地震対策と同様インフラが寸断されてもしばらくは自活できるだけの非常食や防災グッズなどを、事前にそろえておいた方がいいでしょう。
災害が少ない県5選
ここからは、災害大国ともいえる日本において、比較的災害が少ないといわれる県を5つ紹介します。災害が少ない点とそれぞれの県の魅力をまとめたので、ぜひ移住の参考にしてください。
滋賀県
最初に紹介する滋賀県は、地震のリスクが低く台風による被害も少ない県として選出しました。気象庁による「令和2年(2020年)の都道府県別の震度観測回数表」によると、滋賀県の地震の回数は年間で17回となっており、1位であった長野県の261回の10分の1以下となっております。台風による被害も少なく、移住先として安心して生活ができるでしょう。
滋賀県は、日本一の大きさを誇る「琵琶湖」をはじめとする豊かな自然や、国宝「彦根城」、京都府にまたがる「比叡山延暦寺」などといった、歴史遺産や歴史的建造物が多く観光資源に恵まれています。また、近江牛や近江米といったおいしい食材の宝庫でもあり、琵琶湖をはじめとした、たくさんの自然に触れ合えることが滋賀県の魅力といえそうです。
参考:【気象庁】令和2年(2020年)の都道府県別の震度観測回数表
佐賀県
佐賀県も地震発生率が低く、九州の他県と比較して台風のコースから外れやすいことから災害が少ない県の1つといわれています。日本海側であるため、万が一「南海トラフ地震」が発生しても津波被害を受けにくく、想定震度が3~4程度であることもポイントといえるでしょう。
佐賀県の魅力は、なんといっても県独自の特産品です。日本最大の干潟で知られる有明海では、国産海苔の4割が生産されており、なかでも「佐賀海苔」は生産量・販売金額ともに日本一という佐賀県の名産品です。いちごの栽培も盛んで「さがほのか」や、最近は「いちごさん」という新たな品種も開発されました。さらには「有田焼」も有名で、数多くの特産品に囲まれた、豊かな移住生活を送れることが特徴です。
香川県
香川県は、台風の通り道とされる四国の中でも台風の被害が少ないといわれており、一年を通して晴れの日が多いため、豪雨災害のリスクも比較的低いといえるでしょう。南海トラフ地震による津波被害が心配されますが、香川県は太平洋ではなく瀬戸内海側に位置するため、事前の対策が可能です。また、2020年の地震観測回数は7回と、日本でもっとも地震が少なかった県といえます。
香川県といえば、なんといっても「讃岐うどん」でしょう。県内各地に数多くのうどん店があり、朝早くから営業している店が多いことから、香川県民の多くは「朝うどん」を楽しみます。また、美しい瀬戸内海に面しており、その温暖な気候は地中海を彷彿とさせることから国産オリーブの栽培に力を入れ、令和元年産では全国シェア87.4%と圧倒的な生産量を誇ります。災害が比較的少ない香川県では、穏やかな瀬戸内海と温暖な気候のもと、のんびりとした移住生活が送れそうです。
徳島県
徳島県も、香川県と同様に地震のリスクが少ない県として選出しました。2020年の地震観測回数は15回と、全国トップクラスの地震の少なさです。これまでの統計データをみても、徳島県は特に地震が少ない県といえ、地震大国である日本において地震が少ないことは、安心して暮らしていけるための最低限の条件といえるかもしれません。
徳島県は、ご存じのとおり「阿波おどり」が有名です。毎年夏に開催される阿波おどりは、国内外から多くの観光客が集まる一大イベントとして、県内が大いに盛り上がります。また、日本屈指の秘境「祖谷渓(いやけい)」「大歩危小歩危(おおぼけこぼけ)」は渓谷美や紅葉が素晴らしく、ぜひ一度は訪れてみたい観光地として有名です。県内各地には温泉も多いことから、絶景と癒しを体感できる素敵な移住先といえるでしょう。
富山県
富山県は地震と台風被害が少なく、他県と同様自然災害リスクが低い県として有名です。実際に富山県に地震や台風のイメージを持つ人は少ないのではないでしょうか?県のデータによると、1991年から2020年までの30年間で震災回数が全国最小であり、2009年~2018年までの10年間、台風などによる水害被害累積額がもっとも低い都道府県の1つとしています。県庁所在地である富山市は豪雪地帯の1つとされますが、主に積雪量が多いのは山間部であり、平野部は比較的降雪量が少なく、他の災害も極端に少ないことから安全に暮らしやすい県といえそうです。
富山県では「日本アルプス」と呼ばれる、立山連峰をはじめとする美しい山々に囲まれ、雄大な自然環境が楽しめます。日本三大渓谷の1つである「黒部渓谷」や「立山黒部アルペンルート」といった大自然の観光スポットが目白押しで、アウトドア派の方にとって非常に魅力的な移住先といえるでしょう。さらに、富山湾は日本でも屈指の漁業資源を誇り、ブリや白エビ・ホタルイカなど、ここでしか楽しめない海の幸をふんだんに楽しめます。雄大な日本アルプスの麓で自然とともに生きていく、ワイルドで素敵な移住生活を送れることが特徴です。
災害が少ない県への移住を検討しよう
日本に住む限り、一生に一度は災害に見舞われるといわれるほど、この国では自然災害が数多く発生しています。しかし、それぞれの災害の特徴や比較的被害が少ない県を事前に知っておくことで、リスクを少しでも下げることが可能です。
災害から完全に逃れることは難しいため、大切なことは、いつどのような災害が起こるかわからない状況にも対応できるよう、常日頃から防災対策を心掛けることといえます。さまざまな情報を集め、災害が少ない県への移住を検討しましょう!