移住とは、長い人生において非常に大きな決断です。これまでとちがう人生を歩む決断は、それなりの覚悟をともなうことはいうまでもありません。そして、「移住の決断」の前には必ず「移住の検討」があります。
今回は、35歳のときに生まれ育った大阪から、妻と2人で愛媛県へ移住した私の体験談をお話しします!
なぜ、移住を検討したのか?移住を検討する際に何を考えたのか?移住後の人生とはどういったものなのか?移住にいたる経緯や移住検討段階で生じた私の体験を通じ、あなたの人生に重ね合わせてもらうことで、現在移住を検討しようか迷っている方の参考になれば幸いです!
100%リアルな体験談として、ぜひご覧ください!
移住を検討することになったきっかけ
まず、私が移住を検討することになったきっかけをお話しします。移住する理由は人それぞれです。1つのケースとしてご覧ください。
きっかけは妻の大病
私は2014年7月に大阪から愛媛県に移住し、今年で10年目になります。当時、飲食店で店長をしていた私は目まぐるしく日々働いており、休日も少なくプライベートな時間など皆無に等しい状態でした。「とにかく心と身体がキツイ」。
ボロボロになりながら働いていたそのタイミングで、妻の大病が発覚します。私が休む間もなく仕事に行き家を空けることで、当時の私たち夫婦は生活リズムが噛み合わないすれ違いの日々を送っており、妻に多大なストレスをかけていたことをそこで初めて知ることになりました。
頭のなかが真っ白になり、完全に思考がストップしたことを今も覚えています。
しばらくして、心のなかでポツリとつぶやきました。
「もう、辞めよう」
今の生き方に将来への不安と不満があった
当時、「この生き方はあと何年できるのだろう?」「この人生の先には何が待っているのだろう?」という、今の生き方や将来に対する疑問や不安・不満が渦巻いておりました。だけど、自分にはどうすることもできない。ただ長いものに巻かれていくしかない。そう思い、ある意味絶望的な日々を耐えるだけの毎日でした。
移住した今だからこそわかるものの、移住を検討している方や実際に移住した方の多くが将来に対する疑問や不安がきっかけのようで、まさに自分もそうだったのです。
今後の人生と環境を大きく変えたいという強い思い
妻の大病が発覚したことで、これまで「仕方がない」とある意味あきらめていた今後の人生と環境に対し、「大きく変えたい」という強い思いが芽生えます。これまでまったくイメージできなかった自分の将来が、霧が晴れるように明確に浮かび上がってきたことを今も鮮明に覚えています。
「仕事を辞めるだけではダメだ。都会(大阪)にいるかぎりどうせ同じ。今までがそうだったように、根本的に変わることはない。そうだ、移住しよう」
正直にお話しすると、私の場合「移住の検討」は一瞬でした。むしろ、環境を根本的に変えなければ「人生がもたない」段階まで追い詰められていたのです。そして、移住に向けさまざまなことを考えはじめました。
移住に向けてまず考えたこと
ここからは、移住に向けて当時の私がまず考えたことをお話しします。これまでの「引越」とはちがう人生の一大イベントです。失敗は許されません。私なりに可能なかぎり思考をめぐらせました。
移住の目的を明確にする
まずは、移住の目的を明確にするところからです。「そもそもなぜ移住するのか?」当たり前ですが、目的が明確でなければ移住は必ず失敗します。とにかく、なぜ移住するのか?という目的を明確にしておくことが大切で、私の移住の目的は以下のとおりです。
- 人生を根本から変える。ライフワークバランスを最重要視し、のんびりとゆとりのある生活を送る。
- そのため、移住先では収入ではなく労働環境を重視する。
- 残りの人生において妻との時間を大切にし、日々をおだやかに暮らす。
移住先は妻の故郷である愛媛県に決めました。その方が妻にとってもリラックスできるであろうと考えたからです。
永住するのか一時的な移住かを明確にする
次に考えたことは、「永住か?」それとも「一時的な移住か?」です。いろいろと考えましたが、私は人生を根本的に変えるためには中途半端ではいけないと思い、愛媛県での永住を決めました。
もちろん、その後の人生において何が起きるかわからないため、永住が必ずしも正解だとは思いません。なかなか決められない方はとりあえず移住して、合わなければ地元に帰るくらいの気楽な気持ちで大丈夫だと思います。
ライフプランを逆算して人生を再設計する
私たち夫婦が年老いたあとも生活が可能かどうかも徹底的に考えました。まず老後をシミュレーションし、ライフプランを逆算して人生を再設計します。
将来的に家を買うのか?買うならいつ?ローン完済時は何歳?老後の仕事は?60代の生き方、50代の生き方、40代の生き方を逆算しながらイメージを明確にし、不安や疑問を1つずつつぶしていくのです。移住に不安はつきものですが、1つずつ解消していくことで不安はなくなります。現在移住を検討している方は、まず老後をイメージしながら人生を再設計していくのがおすすめといえるかもしれません。
移住検討段階で生じた不安との向き合い方
それでは、移住検討段階で生じた不安についてお話しします。やはり、見知らぬ土地へ移住するには不安がつきものです。しかし、不安と向き合い1つずつ解消することで不安はなくなります。移住検討段階で生じた私の不安と、導き出した答えは以下のとおりです。
移住後の収入・生活費への不安
都会でバリバリ仕事をしていたためそれなりに収入はあったものの、残念ながら地方都市ではそうはいかないのが現状といえるでしょう。移住後の収入・生活費への不安はありました。しかし、冷静に考えて都会より家賃ふくめ物価が安いことと、当たり前ですが「そこに人が住んで生活」しているということは、私たち夫婦も生活できるということなのです。
移住後の地域コミュニティへの不安
移住先で馴染めるかどうか?移住後の地域コミュニティへの不安もありました。移住先に馴染めず地元へ戻る方が多くいるのも事実です。そうであるならば、移住者でも暮らしやすい土地、比較的移住者が多い土地で暮らそうという決断にいたりました。
結果、愛媛県内で比較的移住者が多く暮らしやすいといわれる観光地である、松山市の「道後温泉」近くに住むことになりましたが、これは大成功といえる結果となり、その後の移住生活に大きな良い影響を与えることになります。
移住後の将来や老後への不安
一番大きな不安は、遠い将来や老後の不安でした。だからまず、これをシミュレーションしたのです。老後に関しては不確定要素がたくさんあるため大いに悩みます。しかし、何度もいいますが「そこに住んでいる人」がいるかぎり生活は成り立っているのです。
ここまでくれば「なんとかなるだろう」という楽観的な考え方も重要といえます。もちろん、完全な僻地であったり、どんどん過疎が進むような土地だったりすると厳しいかもしれません。ある程度のバランスは必要かと思いますし、必要であれば老後さらに便利な土地へ移住すればいいという結論にいたりました。
移住先選びを失敗しないためのリサーチ法
つづいて、私がおこなった移住先選びを失敗しないためのリサーチ法を共有いたします。移住先選びは移住成功へ向けてかなり重要です。これには私もかなりの時間を費やすこととなります。私の場合は愛媛県内というところまではスムーズでしたが、では県内のどこへ移住するか?ということを徹底的にリサーチしました。結果として、愛媛県の県庁所在地である松山市の温泉で有名な「道後」に住むこととなりますが、その決定までのプロセスのお話です。
移住者でも暮らしやすい地域を調べる
妻からのススメもあり、都会でしか生活したことない私にとって、ある程度生活に便利な場所であり、移住者でも暮らしやすいところに住もうということになりました。あまりディープな場所だと馴染むのに苦労するということです。
妻の意見やネット掲示板などを調べながら、もっともベターであろう松山市ということになりました。では松山市内のどこに住むか?ですが、ある程度下調べをしアタリはつけておくものの、これは現地入りして実際に現地の様子や物件見学してからとなります。
生活や仕事が不利にならない地域を調べる
生活や仕事が不利にならない地域を調べることも重要です。リモートワークの方であればそこまで重要ではないのかもしれませんが、そうでなければ現地で仕事をしなければなりません。ワークライフバランスを最重要視した移住であったため、通勤に1時間以上かけることはNGでした。そして日常生活があまりにも不便だと生活そのものが大変です。
まず、ネットで求人の種類や数を調べました。求人の種類の多さと数の多さで仕事における有利・不利が判断できます。私の場合は飲食業からの転職も考えたものの、業界を転換することもリスクととらえ、同じ飲食業でなるべく勤務体系がゆるやかな仕事を探し、ここではまだ決定せず、「参考」としました。基本的に、求人の種類や数の多さと生活の便利さは比例しているように感じます。ただ、生活の利便性だけを追求するのであれば都会でいいわけですから、理想とするのんびり生活が実現できる場所と生活の利便性がうまく噛み合う場所を見つける必要がありました。
グーグルマップとにらめっこ
もっとも時間をかけたのはここかもしれません。現地を視察していない段階で、その土地をバーチャルに体験できるのがグーグルマップです。移住前、仕事が終わったあと寝る前の短時間で毎日、とにかく松山市内各地をくまなくグーグルマップで確認しました。地図ではなく航空写真に切り替えるとその土地が見えてきます。田畑や住宅地、商業施設といったものがどのあたりにあるかを確認し、また、車を運転することが多くなるので道の広さはかなり重要です。
気になる場所は「ストリートビュー」に切り替え、「散歩」してみます。ここ坂道だなとか、雑木林なんだなとか、空き家?古民家?があるなとか、街灯の有無であったり、さらに詳細が見えてくることで移住後の暮らしが明確になるためおすすめです。
グーグルマップをくまなく見れば、それだけでその土地をある程度把握することが可能です。移住先を検討するうえで、私がおこなったようにグーグルマップとにらめっこすれば、よりスムーズに移住先を選定できるでしょう。
私のようにおおまかな移住先が決まっていればよいのですが、もし移住先の選定に迷っているのであれば、無料の移住相談窓口「スタイルチャット」を活用しましょう。LINEを使っていくつかの質問に答えるだけで理想的な移住先がみつかります。こちらもぜひご活用ください。
移住の検討は思い切って進めよう
移住は人生の一大イベントです。私も大きなきっかけがあったことで移住を検討し、その後実際に移住しました。そこには人それぞれさまざまな思いや葛藤があるかもしれません。しかし、少しでも行動することが人生を前に進めるのです。
まずは移住の検討から。「移住しようかな?」という思いをもった時点で、その気持ちに正直になり、最終決断とは別に一度情報収集することをおすすめします。ぜひあなたも、思い切って移住の検討を進めましょう!
※内容は2023年11月執筆時のものです。