前回記事でお話しした移住への準備を経て、晴れて私の移住生活がスタートしました。しかしそこには、驚くべき日常やカルチャーショックがたくさん存在したのです!
私は、2014年に生まれ育った大阪から愛媛県松山市に移住し、移住生活が10年目をむかえました。夏目漱石の小説「坊っちゃん」にも登場する「道後温泉」近くに移住し、2年後の2016年には松山市の東にある自然豊かで生活利便性も高い「東温市」に家を建て、現在も夫婦2人で暮らしています。
今回は、現在進行形で進むリアルな「移住後の生活」をお話しします!移住後に痛感した「理想と現実」というギャップを含め、なかにはあまり聞きたくない話があるかもしれません。しかし、移住後の生活を知ることは、現在移住を検討している方にとって大きな意味があるはずです。
もちろん、私の経験がすべてではないことが前提ですが、今回の記事を通して「地方移住」のリアルが浮き彫りになるかと思います。ぜひご覧ください!
移住後の生活で受けたカルチャーショック5選
まずは、私が移住後の生活で受けたカルチャーショックを、個人的な視点から5つ紹介します!挙げればキリがないので、とくに印象的だったものを選びました。「移住あるある」ともいえる内容です。ぜひ参考にしてください。
見たことない虫たちがたくさんいる
自然豊かな場所へ移住することで避けては通れない問題が「虫」です。これはかなりのカルチャーショックといえるでしょう。大阪市内で生まれ育った私にとって、現在住んでいる東温市では見たことない虫たちが大量に飛び交っています。バッタやカマキリ、コオロギなどは馴染みがあるものの、いまだに正体不明の虫たちをたくさん見かけます。現在は田んぼの横に家を建てて住んでいることもあり、とくにそうかもしれません。稲が育つと大量に飛び交うあの細長い虫はいったいなんなのか、いまだに謎です。
人生ではじめて「ムカデ」を見たときは、さすがに肝を冷やしました。しかも家の中でです。数年に一度、どこから入ってきたのかわかりませんがムカデが出ます。そのため、現在は春になると家の外周にムカデ避けの薬剤を撒いています。散歩中に立派なカブトムシを見つけたときはテンションが上がりましたが、自然に近い場所へ移住する際、虫対策は必須であることを覚えておきましょう。
都市銀行がほとんどない
愛媛県に移住して最初のカルチャーショックは、「都市銀行がほとんどない」ということでした。移住前は某メガバンクをメインの口座として使っていましたが、いざお金を下ろそうとした際、どこにも銀行がありません。道行く人に尋ねると「松山市に都市銀行はありません」といわれました(実際は中心地に少しだけありました)。
愛媛県の場合、銀行といえば「伊予銀行」と「愛媛銀行」がほとんどです。そこで、最寄りの伊予銀行へ行って手数料を支払ってでもATMでお金を下ろそうとすると、「このキャッシュカードはご利用いただけません」といわれかなり焦りました。2014年当時の出来事のため今は使えるのかもしれませんが、地方は場所によって都市銀行がほとんどないことが想定されるので注意しましょう。
地元食材の衝撃の価格
かなりインパクトが大きかったカルチャーショックとして、地元でとれた農産物や魚介類が「安すぎる」ということがありました。農家さんが直接野菜などを持ち込む「産直市」では、地元食材が衝撃の価格で売られています。
箱入りのミニトマトが1kgで800円、大きなかぼちゃが1個150円などという都会ではありえない金額で売られており、思わず笑ってしまった記憶があります。スーパーなどに流通しない、形が不揃いである規格外の野菜もありますが、新鮮さや味は抜群です。都会には出回らない珍しい野菜も数多く、見ているだけで楽しくなります。産直市で野菜を買えば確実に食費がおさえられ、収穫した農家さんの名前も記載されているので安心です。農家さんが産直市に野菜を持ち込んだタイミングであれば直接話が聞け、通い詰めるとお気に入りの農家さんが見つかります。「〇〇さんの野菜が出てる!買おう!」となるのです。
私にとって大きなカルチャーショックとなった産直市は、地方移住の醍醐味の1つといえるかもしれませんね。
水光熱費の大きな変化
都会と地方では水光熱費がまったくちがうこともカルチャーショックとなりました。実は、都会と比較して「高く」なるのです。
まず、ガスは都会では都市ガスですが地方ではプロパンガスが広く使われ、一般的に価格が高くなります。私の場合はガス料金が2倍になりびっくりしました。水道料金にも注意しましょう。水道料金は自治体によって大きなちがいがあります。移住前の大阪市は比較的水道料金が安かったのですが、松山市に移住したとき3倍以上の金額を請求され、何かのまちがいだろうと水道局に問い合わせたこともありました。
都会と比較して家賃などが安いため全体的な生活コストは下がります。ただ、水光熱費は都会よりも上がる可能性が高いことを、事前に知っておいたほうがいいかもしれませんね。
野菜は本当にもらえる
農村地域などへ移住すると、野菜がもらえるという話をあなたも聞いたことがあるかもしれません。そうです。野菜は本当にもらえます。現在住んでいる東温市は回りが田んぼや畑なので、収穫期には近所の農家さんから「これ持って帰り!」などといわれ、ナスやキュウリ・大根といった野菜を多くもらえ、玄関前に野菜が勝手に?置かれていたこともありました。
もちろん、地域社会に溶け込んでいることが大前提かと思いますが、非常にありがたい話であり、次に会ったときお礼をいいながらいろいろな世間話をしています。
移住後の生活で私が地域社会へ溶け込むためおこなったこと3選
都会とはちがい、地方移住では人間関係が少なからず濃密になります。幸せな移住生活を実現させるには、地域社会に溶け込むことがもっとも重要といえるでしょう。ここからは、私が地域に溶け込むためにおこなったことを3つ紹介します!
とにかく笑顔でこちらから挨拶する
挨拶は人間関係を形成するうえで絶対に必要なものです。ましてや、よそから来た移住者ですから、とにかく笑顔でこちらから挨拶しなければなりません。私たち夫婦は出会う人全員に、笑顔で「こんにちは」とこちらから声をかけました。
笑顔でにこやかに挨拶できれば、そこから会話が生まれます。「見ない顔やね」「どこから来たの?」「どのあたりに住んどるの?」。徐々にお互いの緊張がほぐれ、少しずつ地域の一員として仲良くなれるはずです。逆をいえば、こちらから笑顔で挨拶できなければ相手に警戒され、残念ながら移住は失敗に終わるでしょう。それほど日常の挨拶は重要で、なくてはならないものなのです。
自分がどこから来た何者なのかを説明する
挨拶ができれば、次に「自分がどこから来た何者なのか」を徹底的に説明しました。妻の大病をきっかけに大阪から移住してきたこと、なぜここに移住してきたのか、どのような仕事をしているのかなどを話し、私たち夫婦が「怪しくない」ということを知ってもらいました。
そうすると、不思議なことが起きます。
「息子が今、大阪で仕事しとるけん」「ワシも若い頃は大阪で働いてたんよ」など、意外な共通点が見つかり話が弾むのです。こちら側から自己開示することで地域の人たちに何者なのか知ってもらうと、相手も話しやすくなります。移住先において、自分がどこから来た何者なのかを積極的にアピールすることは、大切なことといえるでしょう。
地域をリスペクトして余計なことはしゃべらない
人によって都会からの移住者は、少し「鼻につく」と思われるかもしれません。移住先において、「都会では~」などとマウントを取るような言動は絶対にNGです。悪気はなくとも相手は見下されたと思い、関係がギクシャクしてしまいます。
私は移住元の大阪の話は一切せず、移住先(松山市・東温市)のよいところをたくさん話しました。地域をリスペクトしなければ、地域の人々は移住者である私を受け入れてくれません。ここに移住してよかったという素直な気持ちを伝えることで、温かい人間関係を築くことができるのです。
移住前と移住後に起きた明確な生活の変化とは?
大阪から愛媛県に移住して10年目をむかえ、移住前と移住後で生活スタイルが180度変わりました。ここからは、移住によって起きた私の生活の変化についてお話しします。
四季の美しさを知り自然の力強さを実感できた
私は愛媛県の県庁所在地である松山市へ移住し、2年後に自然豊かな東温市に再度移住しました。そこで日々実感することは、「四季の美しさと自然の力強さ」です。東温市で暮らすことで、都会の四季はただの気温の変化だったことに気づきました。
春の桜に新緑の青葉、初夏のホタル、ひぐらしが鳴く晩夏の夕暮れ、山が赤く染まる秋、雪が積もり氷で閉ざされる滝や渓谷など、自然の美しさ・力強さは都会の生活では絶対に体験できません。澄んだ空気や森のにおいなども、そこに移住してはじめて実感できるのです。
人間とは不思議なもので、自然に囲まれているとすごくリラックスできます。そこにいるだけで落ち着いた気持ちになり、心おだやかになれるのです。おそらくこれは、消すことのできない人間の本能なのでしょう。都会で暮らしていたときにはなかった感覚でした。移住前と移住後では、明らかに日々リラックスしながら生活できているのです。
心に余裕ができ生活が規則正しくなったことで健康になった
心に余裕ができ、規則正しい生活を送ることで健康になったことも大きな変化といえます。都会とちがい夜が暗く、店も空いていないので必然的に早く寝るようになりました。やわらかい朝日とともに目覚め、外に出て透き通った空気を大きく深呼吸します。目の前には里山の景色が広がり、鳥のさえずりを聞くことで朝から幸福感に包まれるのです。
また、都会では感じられなかった「旬」を強く感じられるようになり、地元食材を使った健康的な食事を心がけるようにもなりました。6月上旬に馴染みの八百屋から梅を仕入れ、自家製の梅干しづくりも毎年おこなっています。
まちがいなくいえることは、人生で今がもっとも健康ということです。移住前は毎年風邪をひいていましたが、今は風邪をひくこともほぼなくなりました。ある意味で人間らしい生活を取り戻せたことが、移住後に起きた明確な変化といえるでしょう。
「なにもない」ことが幸せなことと気づく
もっとも大きな変化は「なにもない」ことが幸せなことであると気づいたことかもしれません。都会では消費することで満足感や幸福感を得ていました。しかし、自然豊かな東温市には都会にあるような刺激はありません。夜中まで空いているようなお店や派手なアミューズメント施設などはないのです。
都会にあるような消費を前提とした娯楽や刺激がないことで、自分と向き合い、地に足が着いた落ち着きを取り戻せたような気がします。「なにもない」ことが今の幸せを形作っていたのです。ただ、美しい自然はありました。私の経験上、都会的な刺激よりも自然に囲まれて生きていくほうが、より満足度の高い人生になるのではないかと強く実感しています。
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移住後の生活は驚きと喜びの連続だった
移住後の生活は、これまで経験したことのない驚きと喜びの連続でした。もちろん、すべてがいいことばかりとは限りません。しかし、移住を通じて人生の満足度が大きく向上したことは事実です。都会の暮らしでは味わえない素敵な日々は、私に精神的な落ち着きと心地よい幸せをもたらしてくれました。
ぜひあなたも理想の移住を実現させ、豊かな人生を謳歌しましょう!
※内容は2023年12月執筆時のものです。