壁紙は部屋の印象を決定づける大きな要素の一つです。移住先で購入した中古物件も、壁紙をリフォームするだけで新築のような内装に変身しますよ。
とはいえ、「壁紙リフォームってどのくらい費用がかかるの?」「他の箇所のリフォームも必要なので、なるべく費用をおさえたい」という方もいることでしょう。
今回は壁紙リフォームにかかる費用相場や費用節約のコツ、自分でDIYする場合に役立つ情報を解説します。
壁紙リフォーム検討の目安
一般に壁紙の寿命は、5〜10年と言われます。壁紙の汚れや傷、表面のカビやニオイが目立つようになると見栄えが悪くなったり、健康面にも影響を及ぼしたりするので、早急に張り替える必要があります。
特に結露や雨漏りなどが原因で壁紙が濡れてしまった場合、そのまま放置していると、内部のボードが腐食し、壁紙のみならず建物を支える柱まで腐食する恐れがあります。腐食した壁紙はカビが発生しやすくなるため、カビの胞子が原因で呼吸器系に悪影響を及ぼしたり、シロアリを家に呼び寄せ、さらに腐食が進んでしまったりします。
また、年数がそれほど経っておらず、壁紙の剥がれが軽度の場合は、その箇所のみを補修することで対処可能ですが、放置していると劣化が進行してしまうので注意が必要です。
そうなると、費用が高額になったり、工期が思った以上にかかったりすることがあります。壁紙の劣化が目立つ場合は、早めに壁紙リフォームを検討しましょう。
壁紙リフォームにかかる費用の内訳
壁紙リフォームにかかる費用は、おもに壁材の費用である「クロス費用」と施工にかかる「工事費用」の2つから構成されます。見積もりを依頼をした際に、思わぬ出費をしないためにも、それぞれの費用について詳しく確認しておきましょう。
クロス費用
クロスは日本語で「布」という意味です。日本は昔、建材が豊富になかったため、壁には板を張ったり、土を塗ったりが主流でした。現在では、ビニールクロスや紙、布クロスなどを張るのが主流です。
クロスには「量産(スタンダード)クロス」と「一般(ハイグレード)クロス」の2種類があり、それぞれ費用は異なります。量産クロスは、一般的な量産的な壁紙で価格は1㎡あたり700円〜800円程度となっています。
一方で一般クロスは、防水や消臭、調湿などの高性能な機能を備えており、デザインも豊富です。費用は1㎡あたり1,000円〜1,500円程度が相場となっています。それぞれ適した使用用途があるので、壁紙リフォームをする際は確認しておきましょう。
工事費用
工事費用に含まれるものとして、壁紙張り替えを行う際にかかる「施工費用」やその他「諸経費」があります。工事費用として何を含めるかは特に決まりがないため、業者によって金額にばらつきが発生しやすい部分です。
例えば、「1㎡あたり〇円で張り替え(クロス費用・施工費用込み)」と安価さをアピールしていたとしても、「諸経費」の項目の中で、室内養生費・廃材処理費用・荷物移動費などの別途料金を請求される場合があります。思わぬ出費をしないためにも、見積もりを依頼をした際に工事費にどんな費用項目が含まれているのか必ず確認してから判断しましょう。
壁紙リフォームパターンと費用相場
業者に依頼した場合の壁紙リフォームパターンと一般的な費用相場について解説します。
壁紙から壁紙への張り替え
壁紙から壁紙への張り替えの場合、費用相場は一般的に1㎡あたり700円〜1,500円です。例えば、6〜10畳以内の部屋の場合にかかる費用は4〜8万円程度。10〜20畳以内の部屋の場合は5〜12万円程度の費用がかかります。
また、マンションや一軒家の壁紙を丸ごと変える場合、スタンダードクロスを選ぶと一軒家の相場料金は45〜60万円、マンション相場料金は25〜35万円。ハイグレードクロスは、一軒家の相場料金は67.5万〜90万円、マンション相場料金は37.5万〜52.5万円です。
工期については、一室であれば1〜2日程度、全室となると1週間〜10日間程度かかります。
砂壁・塗装壁から壁紙への張り替え
砂壁・塗装壁から壁紙へと張り替える場合にかかる費用相場は、6畳で10〜15万円前後です。工期は1〜2日で施工が可能なケースが多いため、短期間でリフォームしたい方に最適です。
中には自分で壁紙を張り替えようとする方もいますが、砂壁は下地処理が大変なので、DIY素人には至難の業です。プロのリフォーム業者に依頼することをおすすめします。
番外編:壁紙以外の壁材へリフォーム
塗料や漆喰・珪藻土など壁紙以外の壁材へリフォームする場合にかかる費用相場は、床の間がある6畳間で約7〜13万円程度です。
塗り壁は天然素材を使用しているので、断熱性や防火性、調湿性や吸音性に優れています。日本の気候風土や住宅事情にあった内装材と言えるでしょう。
また、塗り壁はオリジナリティのあるデザインや内装にすることが可能です。既存の壁紙を貼って仕上げるのとは異なり、技術のある左官職人が仕上げ材を塗って完成させるため、壁に個性を出せるのが魅力です。
壁紙リフォーム費用をおさえるコツ
壁紙の張り替え費用を安く抑えるリフォームのコツについて解説します。
量産クロスを選択する
先述したように、壁紙(クロス)には、「量産クロス」と「一般クロス」2種類があります。量産クロスは、賃貸物件の原状回復に使用される普及品の壁紙です。一般クロスは、色や柄等のデザインが豊富で、オリジナリティーのある壁紙です。
量産クロスの費用相場は、6帖/40m²まで総額 52,800円。一般クロスの費用相場は、6帖/40m²まで総額 67,800円となっており、費用差は15,000円ほどに。壁紙リフォームの費用を抑えたい方は、「量産クロス」を選びましょう。
量産クロスは、3種類程度のインクから作られる壁紙なので、色や柄のクロスが少ないです。しかし、下地が目立ちにくく、リフォーム現場にも一般的に使用されている壁紙なのでおすすめです。
大型家具の移動を自分で行う
壁紙リフォームをする際に、業者はエアコンやソファー、ベッドやテレビ台などの大型家具を施工時に傷付けないためにビニールシートやマスキングテープで養生します。
家具の養生は、一般的に約20,000〜30,000円程度かかります。その他にも、家具の移動に別途費用が発生し、家具一つひとつに約3,000〜5,000円の費用がかかります。
そのため、壁紙リフォーム費用を少しでも抑えたい方は、工事が始まる前に予め大型家具を自分で移動させたり、家具を養生しておいたりすることをおすすめします。
家具移動や養生の費用が削減できるだけでもコストダウンが期待できるので、自分でできることは可能な限り自分で行うことが費用を抑えるコツです。
天井の張り替えは行わない
壁紙リフォームの費用を抑えるコツは、天井の張り替えを行わないことです。なぜなら、天井の壁紙をリフォームする場合は、まとまった予算が必要になるからです。
天井クロスの張り替えにかかる費用相場は、1㎡あたり1,500〜2,500円程度が目安です。6畳の部屋の場合は、15,000〜25,000円程度の費用がかかります。少しでも費用を抑えたい方は、天井の張り替えは行わず、壁のみ張り替えすると節約できます。
もしも壁紙リフォームと併せて天井クロスの張り替えを行いたい場合は、穴が空いた部分だけを補修するなど、部分補修をすることで費用を抑えましょう。白い壁紙だと、張り替えしない天井と新しい壁紙との色調の違いが目立ちやすいため、ベージュ系の壁紙を選ぶのもコツです。
内装業者に依頼する
3つめのコツは、内装業者に直接依頼することです。なぜなら、リフォーム会社や工務店に依頼した場合、施工は下請けの内装業者が行うことが多いため「マージン」や「管理費」などの経費がかかり、その分、工事費用がかさむからです。
しかし、リフォーム会社や工務店は、内装業者に比べ「見積書の作成・提出」「工程決め」「プラン作成」「打ち合わせ」など工事がスムーズに進むように段取りを決めてくれるため、安心して任せられるメリットがあります。
なので、もしも「費用は抑えられるが、内装業者に直接頼むのはちょっと不安だ」という方は、まずは壁紙リフォームができる複数の会社から見積もりを取り寄せ、色々な会社を見てみることをおすすめします。
自分でDIYする
最後のコツは、自分でDIYすることです。6畳の部屋を張替えする場合、クロスや張替えに必要な道具一式を揃えても10,000円前後で済みます。手間がかかったり、仕上がりに差が付いたりしますが、最も効果的に費用を抑えられる方法です。
最近では初心者でも簡単に壁紙の張替えできる道具やクロスが一式セットとなって販売されています。特に「のり付き壁紙」は、壁紙張替え初心者用セットとなっており、必要な道具をまとめて購入できるのでおすすめです。
ただし、全室を自分で張替えるとなると時間も手間も膨大です。加えて、部屋の形や広さによっては難易度もあがるので、寝室や子ども部屋など狭い部屋のみ自分でDIYし、リビングなどは業者に任せるのも一案です。
初心者でも可能?壁紙DIYについて
一見難易度が高そうな壁紙DIYですが、ポイントを押さえておけば初心者でも綺麗に仕上げることは可能です。下記では、壁紙DIYに役立つ知識をお届けします。
難易度が低い場所なら挑戦の価値あり
「費用節約のために自分でDIYしたいけど、初心者だから失敗が怖い」と思う方も多いことでしょう。しかし、難易度の低い場所なら、初心者でも壁紙DIYに挑戦する価値が十分にあります。
特にクロスの引っ掻き傷や破れなどの表面的な損傷なら、簡単な道具と材料を揃えれば初心者にも補修は難しくありません。ホームセンターで専用の補修キットを購入できるので、入手も苦労しません。
その他にも、窓やエアコン・ヒューズボックスなどの障害物のない場所、梁や柱などの凹凸のない面、子供部屋・クローゼットのような面積の小さい場所ならDIY初心者でも張り替えやすいのでおすすめです。
セルフリフォームに役立つ本・動画
DIY初心者に役立つ本やYouTube動画をピックアップしましたので、ぜひ参考にして壁紙リフォームに挑戦するきっかけにしてください。
徹底ガイド わが家の壁・床DIYリフォーム
画像出典:amazon.co.jp
「徹底ガイド わが家の壁・床DIYリフォーム」は、この一冊で壁や床を自分でリフォームできる、初心者向けのセルフリフォームガイドです。
豊富な施工事例や作業工程について、テーマ別に解説してくれたり、一つひとつの手順を写真で説明してくれたりと、初心者でも安心してDIYに挑戦できる本です。
壁紙の張り替えは、初心者でも知識さえあればDIYで簡単にできるので、本書のようなDIY本を参考にしてみてはいかがでしょうか。
HFC DIY 壁紙を張ってみよう!
マルチに活躍するタレント、ヒロミさんのYouTube動画「HFC DIY 壁紙を張ってみよう!」では、壁紙を貼るための知識や技術、工具の使い方や作業する上でのコツなどをわかりやすく丁寧に教えてくれます。
DIYで壁紙リフォームを検討している方は、動画を見て気に入った壁紙を見つけたり、壁紙の剥がし方や張り方を勉強したりすることをおすすめします。気になる方はぜひチェックしてみてください。
新しい壁紙で快適な空間づくりを
壁紙の張替え費用は、グレードの高いものを使用したり、大手リフォーム会社に依頼したりすると費用がかさみます。費用を抑えるには、DIYや壁紙リフォームが得意な内装業者を上手に利用することで、コストを抑えながらも満足度の高い仕上がりになります。
壁紙リフォームを検討しつつ、まだリフォーム会社を見つけられていない方は、まずは複数の業者に問合せを行い、見積書の詳細を比べてみることから始めてみましょう。