国や自治体が推進する「地方創生」の後押しもあり、地方の魅力が再認識され、都会を離れて地方移住を検討する人が増えています。
しかし、移住した全ての人が満足しているわけではありません。無計画で移住してしまうと「イメージしていた生活と違う」「地域活動が多く、のんびりできない」など、後悔する可能性があります。
そのようなことを未然に防ぐためには、具体的な計画を立てることが重要です。この記事では、移住計画の立て方と計画を立てる際の注意点を解説します。
移住計画の必要性
移住計画は必ず立てるようにしましょう。無計画で移住してしまうと、「住宅街で自然がない」「収入が減ってしまった」など、イメージしていた生活を送れない可能性があります。
事前に移住計画を立てることで、「どんな土地でどんな生活を送るか」が明確になり、移住後の後悔を防ぐことができます。
移住計画を立てる6つのポイント
移住計画を立てる際の特に重要な6つのポイントを紹介します。
1)目的を決める
移住計画で一番重要なことは、移住の目的を決めることです。「趣味を充実させたい」「自然の多い場所で子育てをしたい」など目的を決めることで、地域や移住後の生活をイメージしやすくなります。
目的を決めることは、移住の方向性を決める重要な部分です。候補地の選定などに移る前に、なぜ移住するかを明確にしましょう。
2)生活で譲れない条件を決める
次に絶対に譲れない条件も決めておきましょう。「自然がある」「今の仕事を続けられる」など、絶対に譲れない条件を決めることで、移住先の候補地をある程度絞ることができます。
「移住の目的を達成するために何が必要か」を考慮し、条件を設定することがポイントです。
3)仕事をどうするか決める
仕事をどうするか決めるのも重要です。仕事は生活の基盤になる部分なので、現在の仕事を続けるのか、転職するのかを事前に決めておきましょう。
移住先でも現在の仕事を続ける場合、通勤距離や交通費に変化する可能性があります。在宅ワークの場合でも、地域によっては光回線が使えないなどインターネット環境にも影響があるので、事前にしっかり確認しておくことが大事です。
移住先で転職する場合には、都会に比べて給料が下がることが多いです。加えて、地域によっては仕事が少なく、希望の職種に就けない可能性があります。ただ、自治体によっては仕事の研修など就業の支援を行っているところもあるので、積極的に活用してみましょう。
4)移住先の情報収集をする
移住先がどのような地域なのか情報収集しましょう。情報収集することで「移住先がどんな地域か」を知り、イメージと合っているかを確認できます。生活に必要な施設の有無や交通の便、税金についてなど、移住先について幅広く調べておきましょう。
情報収集はインターネットや市の移住相談窓口を活用するのがおすすめです。
移住に関する情報の多くはインターネットに数多く掲載されているので、まずはインターネットで情報を集めてみましょう。各自治体や公共団体のホームページをチェックしておくといいでしょう。また、市の移住相談窓口に問い合わせることで、インターネットには掲載されていない情報を入手することが可能です。
5)現地の下見をする
次は実際に移住候補地の下見に行ってみましょう。インターネットや相談窓口だけでは、移住先の情報を全て把握できません。「夏はセミの声がうるさく仕事に集中しづらい」「土地のアップダウンが激しく移動に不便」など、現地に行って初めて分かることもあります。
移住先の候補地に数回は訪れ、イメージとかけ離れていないか確認しましょう。
移住先の下見に行く際には、お試し移住や支援を活用するのも1つの手です。自治体によっては、短期で宿泊できる体験移住ツアーや移住先の交通費補助を実施しています。
山形県遊佐町の事例では、指定の住宅を2泊~7泊まで無料で宿泊することができるお試し移住体験を行っています。現地にしばらく滞在し、移住先の土地について深く知るのに役立ちます。
自治体によってはワーケーション支援をしているところもあるので、リモートワークができる人は働きながらでも下見を行えます。
参考:お試し移住体験・体験ツアー|山形県移住 遊佐町IJUターンポータルサイト
6)家を探す
最後は家探しです。住む家によって家賃や周囲の環境が変わるため、事前に納得できる物件を探すことが重要です。
まずは全国展開している賃貸情報サイトを利用し、仮の候補を数件ピックアップしましょう。自治体によっては住宅を提供してくれる支援も行っているので、移住先となる自治体のホームページをチェックするか、移住相談窓口に問い合わせるなどしてみましょう。
物件候補がいくつか決まったら、内見を行い、気になる物件を絞り込んでいきましょう。
なお、いきなり家を購入すると多額の費用がかかるので、生活環境が合わない場合などに引っ越しづらくなります。まずは賃貸で生活してみるのがおすすめです。
移住計画を立てる際に注意すること
ここでは移住計画を立てる際に注意することについて解説します。ポイントを押さえ、しっかりとした移住計画が立てられるようにしましょう。
家族の合意を得る
まずは家族の合意は必ず得るようにしましょう。移住をすると生活環境が大きく変わりため、お互いが納得いかないまま生活すると大きなストレスになります。
例えば、夫は「自然の多い場所がいい」と考えているが、妻は「虫が苦手なため、ある程度栄えている場所がいい」と、両者の考えが一致しないままでは、どちらかが妥協しなくてはなりません。
このような状態が長引くと、家族関係が悪くなる可能性があります。しっかり家族で話合い、全員が納得できる地域に移住するようにしましょう。
移住支援が利用できるか確認する
各自治体では、「住まいの支援」「仕事の支援」「結婚・子育ての支援」など移住支援を積極的に行っています。どのような移住支援を利用できるかチェックしましょう。
例えば、北海道上川町では、町内に住宅を建築する際にかかる費用を最大250万円まで補助してもらえます。移住にかかる費用を抑えることができるので、このような支援は活用しましょう。
自治体によっては、年齢や家族構成などの条件が決められていることもあるため、支援条件についてはしっかりチェックしましょう。
後悔しないために移住計画は明確に!
移住計画が具体的なほど、現地でどのような生活を送るかが明確になり、イメージに合った土地に住むことができます。「こんなはずじゃなかった……」と後悔しないために、今回紹介した6つのポイントを意識して、移住計画を立てるようにしましょう。
移住計画は一人で決めずに、移住するメンバー全員が納得することが重要です。そして、計画を立てるだけでは、不安が残るため自治体が行うお試し移住を利用することをおすすめします。移住支援についての情報収集も念入りに行いましょう。