働き方の多様化や移住支援策を実施する自治体の増加などにより、近年では移住する人が増えています。移住といえば家族で引っ越しするイメージが強いかもしれませんが、フットワークの軽い一人暮らしの人にこそ移住はおすすめです。
今回は、一人暮らしの人が移住を成功できるよう、移住先を選ぶポイントやおすすめの移住先を厳選して紹介します。成功させるコツもあわせて紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
一人暮らしでも移住はあり?メリット・デメリットを解説
まずは、一人暮らしで移住するメリット・デメリットを紹介します。移住してから後悔しないよう、しっかり押さえておきましょう。
移住するメリット
移住するメリットは、以下のとおりです。
- 自然に近く、のどかに過ごせる
- 四季の変化が身近に感じられる
- アウトドアスポーツを楽しむ時間が増える
- 都会に比べて家賃や物価が安い
- 人混みが少ない
- 新鮮な食材が手に入りやすい
一人暮らしはフットワークが軽いので、家族で移住するよりも荷物は少なく、手続きも簡単に済みます。緑に囲まれた環境の中で過ごしたい方、登山やキャンプ、サーフィンなどアウトドアスポーツが趣味の方は、移住するメリットが大きいでしょう。
また、新天地でやり直したい方や、新たな出会いを求める方にもおすすめです。
移住するデメリット
移住するデメリットは、以下のとおりです。
- 交通の便が悪い
- 虫・蛙・ヘビなどの生き物が多い
- 地域によっては青年団や消防団などへの加入が必要
- 娯楽施設が少ない
- 都会の暮らしでは必要なかった出費(暖房器具や防寒設備、車の維持費など)が増えやすい
移住先にもよりますが、自然に恵まれた場所に移住する場合は、電車やバスの路線は少ないので、生活には車が欠かせません。夏になれば虫や蛙も多く、夜になると鳴き声がうるさいと感じることもあります。
また、田舎になるほど地域の人々とのコミュニティが密になるので、青年団や消防団、町内会への加入が求められます。ご近所付き合いが苦手な方は、青年団などの有無を事前に役所で確認しておくとよいでしょう。
一人暮らしの移住を成功させるコツ
移住を前向きに検討するようになったら、成功させるコツを押さえておきましょう。コツは主に以下の2つ。
- まとまった資金を準備しておく
- 移住体験をしておく
失敗を防ぐためにも重要な部分です。それぞれチェックしてみてください。
まとまった資金を準備しておく
移住する前に、まとまった資金を準備しておきましょう。引っ越し費用や賃貸物件を借りるときの初期費用など、移住する際はお金がかかるものです。また、仕事を新たに探す場合は、安定するまで経済面に不安を抱えやすいでしょう。事前にまとまった資金を準備しておくことで、資金不足に陥る心配がなくなります。
ちなみに、政府統計によると、1人暮らしの1ヵ月あたりの支出は168,965円です。これを基に、どのくらいの資金を貯めておくと安心できるのか、事前に計算しておくのがおすすめです。
参考:政府統計の総合窓口(e-Stat)|家計調査 / 家計収支編 単身世帯 詳細結果表
移住体験をしておく
移住してから「思っていたのと違う…」と後悔しないためにも、移住体験をしておきましょう。移住体験とは、移住候補地に数日間宿泊し、実際にその土地での暮らしを体験することです。
街並みや風景は写真でも把握できますが、雰囲気や住民との距離感などは訪れてみないと分からないことが多いものです。特に、女性が一人で移住する場合は、夜に出歩いても危険がないのか治安の良さも確認しておくと安心です。移住体験をしておくことで、理想と現実のギャップを埋められるので、思い違いを防ぎやすくなります。
どんな街なら満足しやすい?移住先を選ぶ3つのポイント
日本には魅力的な街がたくさんあります。移住者にとって満足しやすい街には、以下のような特徴が見られます。
- 先輩移住者がいる街
- 移住支援制度が充実している街
- 交通や買い物など不便すぎない街
それぞれ解説するので、参考にしてみてください。
先輩移住者がいる街
土地勘がまったくない場所は、知らないことが多く、知人もいない状態です。地域ならではの住民とのつながりや交流が定着していると、移住者はコミュニティに入りづらく孤立してしまうでしょう。そんなとき、先輩移住者は心強い存在です。
元は同じ立場だったこともあり、情報を提供してくれたりいろいろと手伝ってくれたりするでしょう。先輩移住者をきっかけに、交流の輪も広げられます。また、先輩移住者が多い街は移住に対して理解があるので、そのコミュニティコミュニティに馴染みやすいといったメリットもあります。
移住支援制度が充実している街
国は地方創生の一環として、「移住支援金(最大100万円)」と「企業支援金(最大200万円)」の移住支援策を行っています。これとは別に、自治体が独自で移住支援策を行っているところもあります。
例えば、静岡県静岡市は、東京圏から静岡市に移住した方に対し補助金として60万円を、空き家を活用する場合は改修費用の補助金として上限100万円を給付しています。移住者を対象とした独自の支援策は各自治体の公式HPで確認できるので、一度チェックしておくとよいでしょう。
交通や買い物など不便すぎない街
都会に住んでいた頃に比べると、交通や買い物などの利便性は低くなります。とはいっても、移住をする人はその辺りをある程度覚悟しているので、そこまでデメリットには感じないでしょう。しかし、「電車やバスが1日に2〜3本しかない」「最寄りの駅やコンビニに行くにも30分以上かかる」など、不便すぎる街はストレスを感じます。
人里から離れて暮らしたいと考えていない限りは、買い物や医療などは生活範囲内にある街を選ぶべきです。一人暮らしの場合は、病気やケガをしたときのことを考えて、ある程度は利便性も兼ねている街がおすすめです。
一人暮らしにおすすめの移住先7選
ここからは、一人暮らしにおすすめの移住先を紹介します。今回紹介するのは、以下7つのエリアです。
- 静岡県
- 北海道
- 山梨県
- 群馬県
- 福岡県
- 茨城県
- 愛知県
それぞれの特徴や魅力、移住支援制度などを紹介するので、ぜひチェックしてみてください。
自治体が行う移住支援制度が豊富な「静岡県」
首都圏や中京圏に近く、それぞれにアクセスが良い静岡県。雄大な富士山をはじめ、熱海・伊豆の海岸や浜名湖など、自然に囲まれたエリアでもあります。利便性を保ちながら、のどかな暮らしを実現したい方におすすめです。
静岡県の特徴としては、充実した移住支援制度が挙げられます。県では東京圏から静岡県に移住して就業、もしくは起業した方に最大100万円を支給する「静岡県移住・就業支援金制度」、住宅内にテレワークスペースを新たに確保するためのリフォームをした方に補助を行う「テレワーク対応リフォーム補助制度」を実施しています。また、各市町村でも独自の取り組みを実施しているので、移住者は理想の暮らしを実現しやすいでしょう。
漁業・農業・林業が盛んで心機一転しやすい「北海道」
自然に恵まれている北海道は、漁業や農業、林業が盛んなエリアです。移住を機に新しいことにチャレンジするのも良いですし、今まで培ったスキルや資格を活かして地域に貢献することもできます。自分に合う仕事を見つけやすいでしょう。
また、北海道は移住促進を積極的に行うエリアでもあります。移住を検討する道外在住の方に「北海道移住応援カード」を配付し、移住に関する情報や、移住前・後に役立つ各種割引の特典を提供しています。先輩移住者も多いので、土地勘がまったくない方も移住しやすいエリアです。
東京に隣接し都内へのアクセスが良い「山梨県」
山梨県といえば、富士山をはじめ南アルプスの雄大な山々に囲まれた自然豊かなエリアです。日照時間が長く、昼夜の寒暖差もあるので、桃やぶどう、柿など美味しい果物がたくさん収穫されます。お土産の定番として有名な桔梗信玄餅を作る「桔梗屋本館」があるのも魅力ポイントのひとつです。
山梨県は東京と隣接しているため、都心へのアクセスが良く、気軽に出掛けられる環境が整っています。甲府駅から特急電車を利用すれば、新宿まで90分ほどで到着。都会に近い適度な田舎暮らしを楽しめます。
物価水準が低い!余裕ある暮らしを実現しやすい「群馬県」
商業施設が充実しているエリアから、豊かな自然に囲まれたエリアまで、その土地によって異なる雰囲気を楽しめる群馬県。最大の魅力は物価水準が低さです。総務省によると、群馬県の物価水準は2番目に低く、支出を抑えやすいエリアといえます。特に、食費・住居費は他の県と比較しても低いので、移住後は余裕ある暮らしを実現しやすいでしょう。
また、群馬県にはスキー場や温泉街など、魅力的な場所も多く存在します。都心にも近いので、二拠点居住を叶えたい方にもおすすめです。
自然に恵まれながら都会的な暮らしができる「福岡県」
福岡県は海・山・川に恵まれた自然豊かなエリアです。県内には海水浴場が10数ヵ所、ハイキングやキャンプを楽しめる自然公園も点在しています。アウトドアスポーツを満喫したい方におすすめです。また、気候は年間を通して温暖的要素を強くもっているので、比較的過ごしやすく感じるでしょう。
そんな福岡県は自然に恵まれているだけでなく、都会的な暮らしも可能なエリアです。県内には都市型の商業施設や国立博物館、コンサートホールなどがあります。夜には屋台が立ち並び、活気ある独特な雰囲気も楽しめるでしょう。バスや鉄道、モノレールなど、日常の公共交通機関も充実しているので、利便性が高く、魅力あるエリアです。
東京との適度な距離感が魅力!経済的余裕をもてる「茨城県」
東京と隣接する茨城県は都心へのアクセスが良く、都内に通勤する方にもおすすめのエリアです。電車やバス、高速道路など交通網が充実しており、県北から都心へは約2時間、県南に至っては1時間かからずに移動できます。
また、国土交通省によると、茨城県は全国的に見ても経済的に豊かなエリアとされています。可処分所得(税金や社会保険料などを差し引いた手元に残る金額)から家賃や光熱費などの基礎支出を差し引いた金額の多さは全国3番目。つまり、レジャー費や被服費、交際費など自由にかけられる金額が多いので、充実した暮らしを送りやすいということです。県内には観光スポットやレジャー施設も多く存在するので、アクティブに暮らしたい方におすすめです。
参考:国土交通省|都道府県別の経済的豊かさ(可処分所得と基礎支出)
2027年度リニア開業に向けて発展し続ける「愛知県」
2027年度にリニア中央新幹線が開通すると、名古屋から東京までは約40分で移動できます。開通に向けて、商業・文化・娯楽施設が急速に発展。2022年秋にはジブリパークが開業し、今後も発展し続けるでしょう。昔ながらの風景や文化が残っているところも愛知県の魅力。神社や仏閣、お城などが多く残る街は風情があり、のどかな暮らしが可能です。
また、愛知県といえば手羽先やみそかつ、ひつまぶしといった「なごやめし」でお馴染みの土地。喫茶店数も多く、休日はモーニングサービスを楽しむのも優雅です。昔から愛され続けてきた地域独特の食文化に触れ合えるところも、最大の魅力といえます。
理想の生活を現実に!移住先での一人暮らしを成功させよう
移住支援策が充実している今、昔に比べると移住しやすくなっています。「自然に近い暮らしを叶えたい」「もっと住みやすい場所に移り住みたい」という方は、一緒に暮らす相手・家族がいない今だからこそ、移住するべきともいえます。
各土地の魅力や特徴、さらには独自で行っている支援策などを参考にしながら、自分にピッタリ合う移住先を見つけてみてください。