2つの地域に拠点を置く生活を意味する「2拠点生活」。拠点が2つあることで仕事と生活のメリハリをつけやすく、リフレッシュできるといったメリットがあります。ただ、今の仕事を続けながら2拠点生活が可能なのか、転職した方がよいのかと悩む方もいることでしょう。
今回は、2拠点生活で仕事や住居を確保する方法や費用、関東・関西エリアのおすすめの移住先について解説します。
2拠点生活のメリット6選
まず、2拠点生活するメリットを3つ紹介します。2拠点生活の魅力を知って、実際にやってみるか検討してみましょう。
普段と異なる環境で暮らすことができる
2拠点生活する最大の魅力の一つは、日常生活から離れた環境で暮らせる点です。たとえば、平日は都心で働きながら暮らしている場合、週末や長期休暇だけ田舎などの自然豊かな場所で過ごしてみましょう。短い時間だけでも日常のストレスから解放され、リフレッシュすることが可能です。
また、異なる環境で暮らすことによって、新たな人間関係も生まれます。新たな人脈が広がり、人生の選択肢が広がったり、新しい趣味が見つかったりするかもしれません。
気候や季節で居住地を選択できる
2拠点生活なら、気候や季節に応じて新たな居住地を選べます。暑い夏は涼しい高原で過ごし、冬は温暖な地域で過ごせば、一年を通じて快適な環境で生活することが可能です。また、2拠点生活をしながら季節に合わせた仕事をするのもおすすめです。忙しい季節に行って、収穫を手伝ったりリゾート仕事をしたりすれば、都会では味わえない四季を身体で感じられるでしょう。
趣味を最大限楽しむことができる
2拠点生活をすることで、趣味を楽しむ時間と機会を増やすことも可能です。たとえば、スキーやスノーボードなどのウィンタースポーツが好きなら、冬に雪国で暮らして思いきり趣味を楽しむのがおすすめです。登山が好きなら、夏に山の近くに住むのが良いでしょう。サーフィンなどのマリンスポーツが好きなら、週末だけ海沿いに住むのもおすすめです。趣味に合わせて住む場所を変えれば、さらに趣味に打ち込むことができるでしょう。
子供に文化的な体験をさせることができる
地方には伝統工芸やお祭り、伝統料理など都市部にない文化が多く残っています。もちろん都市部にもありますが、地方はその歴史や気候から独自の文化があり、伝承にも力を入れているので、様々な場所で体験できます。また、地域によっては授業で文化体験があったり、給食で伝統料理が食べられたり、学校で体験できるのも大きな特徴と言えるでしょう。大学では地域に根ざしたコースを設けているところもあるので、より深く学べます。
不動産資産を活用できる
2拠点生活をする場合、賃貸と購入で悩む方もいると思います。賃貸は戸建住宅と比較して必要な経費が少なく、気軽に解約できるので、その街に長く住む予定がない場合におすすめです。逆に、もし長く拠点を置く場合は、不動産資産として活用できる、税制優遇を受けられるなどのメリットがあるので、戸建やマンションの購入がおすすめです。もちろん購入費用が必要ですが、リノベーションやリフォームで住みやすいようカスタマイズできるので、生活スタイルの変化や子どもの成長に合わせて対応できるのが嬉しいですよね。
複数のコミュニティに参加することができる
近年地方移住する人が増えており、地域にはそういった移住者のコミュニティや、地域住民とのコミュニティが多くあります。特に地方は横のつながりが強いので、コミュニティに参加することで友人ができたり、新しい趣味ができたり、新しい出会いがたくさんあるでしょう。また、知り合いや家族がいない街へ移住する場合がほとんどだと思いますが、コミュニティに参加することで病気や災害の時にお互い助け合えるので、移住先でつながりを作ることはとても重要です。まずはカフェやお店に足を運び、何気ない会話から始めてみましょう。
2拠点生活で仕事を確保する方法
2拠点生活で仕事を確保するにはどうすればいいのかを解説します。
会社に許可を得たうえで今の仕事を続ける
まず始めに検討したいのは、会社に許可を得た上で今の仕事を続けることです。リモートワークや2拠点生活を認める企業も多くなっています。仕事を続ければ転職の負担や、給料が下がるリスクをなくすことができます。
中には会社の制度で認められていない場合もありますが、住民票を移さずに休日だけ地方に帰ることで、2拠点生活は実現可能です。一方会社員である以上、出社日が決められているケースが多いため、決まった日に都会に出なければならず、負担になる可能性もあります。
テレワーク可能な仕事に就く
現在の会社を続けるのではなくテレワーク可能な仕事に転職するという選択肢もあります。毎日ではなく、出社日や取引先との会合など必要なときだけ都会に出ればいいので、生活の自由度が高まります。
場合によっては給料が上がる可能性もあるでしょう。ただ、その一方で転職活動の負担もあります。まずは完全にテレワークOKの企業の求人を探すことから始めましょう。
独立・起業する
企業に勤めるのではなく、フリーランスとして独立したり、起業したりするのも選択肢のひとつです。生活の自由度が増えるだけでなく、今までのスキルを活かして仕事の幅を広げることができます。また近年では地方創生の仕事も増えており、そういった業種に力を注ぐのもよいでしょう。
一方、福利厚生がなくなったり、仕事を一から自分で獲得する必要があったり、注意点もあるので、よく考えた上で決断することが大切です。
2拠点生活で住居を確保する方法
2拠点生活をする上で、仕事にならんで重要なのが住居です。次に住居を確保する方法を解説します。
新しく家を買う
マイホームを考えている方は、住みたい地域の家を買うのも検討してみましょう。地方は都会と比べて地価が低いため、たくさんの部屋や広々とした庭を持つ家がある他、自然豊かで静かな環境で暮らすこともできます。
地域によっては海のそばでの暮らしを実現したり、そこまで費用をかけずに駅のすぐ近くに住むこともできるでしょう。移住Style では様々な地域の物件を紹介しているので参考にしてみてください。
賃貸物件やマンスリーマンションを借りる
すぐ家を買うのはためらう、お金が用意できないという方は賃貸物件やマンスリーマンションを探してみましょう。毎月固定の費用がかかりますが、契約料と敷金・礼金、引越し代合わせて20万円程度の初期費用でで2拠点生活を始めることができます。
また、もし移住した地域が合わないと感じても、賃貸であれば別の場所に引っ越すことも可能です。試しに2拠点生活をしてみたいという方は、まずは賃貸から始めてみるのもよいでしょう
シェアハウスを使う
近年地方でもシェアハウスが増えており、その利用も選択肢の一つになります。シェアハウスだと毎月数万円と格安で住めるほか、家電や家具など必要な機材も揃っているため、格安で2拠点生活を始めることができます。
何より生活をともにする人達がいるため、新しく仲の良い友人を作れることが一番の魅力です。地方でともに過ごす仲間がほしいという方はぜひ検討してみましょう。
実家に滞在する
2拠点生活を始める際は実家への帰省も検討してみましょう。家賃がかからない上に、馴染みのある土地なので比較的新しい生活にも慣れやすいでしょう。
ただし家族のいる方は2世帯での生活に抵抗がないか、しっかり話すことが大事です。場合によっては実家周辺のコミュニティとも関わる必要もあるため、窮屈に感じる可能性もあります。
2拠点生活にかかる費用
2拠点生活に必要となる費用の目安は以下の表のとおりです。
内容 | 費用 |
家賃・住居費 | 3~15万円×2/月 |
水道光熱費 | 1~2万円×2/月 |
引っ越し代 | 5~20万円 |
家具等、初期投資 | 10~20万円 |
(賃貸の場合)敷金・礼金 | 5~10万円 |
交通費 | 3~6万円 |
一拠点で生活するときと比べて住居費と水道光熱費がおおよそ2倍になるほか、拠点間を移動するための交通費もかかります。さらに引越し費用や家具などの初期投資、賃貸の場合敷金や礼金など、家を建てる場合は内金が必要になります。初期費用だけでも50万円程度がかかると考えておけばよいでしょう。
費用を抑えたい方は補助金の利用を検討してみましょう。場合によっては2拠点生活でも地方移住の補助金を使うことができます。首都圏からの転出で、元の仕事をリモートワークで続ける場合、内閣府の移住支援金を利用することもできます。移住支援金を利用した場合単身ならば60万円、家庭ならば100万円を受け取ることができます。積極的に活用しましょう。
参考:移住支援金|内閣府
関東エリアで2拠点生活におすすめの場所
2拠点生活を始める場合、いつでも仕事先に向かえるように無理なく通勤可能な範囲に住むのがよいでしょう。関東エリアで2拠点生活を始める場合におすすめの地域を紹介します。
神奈川県藤沢市
神奈川県の藤沢市は江ノ島などの観光資源が有名な中堅都市です。相模湾に面した豊かな自然環境が魅力で、ゆったりと過ごせます。
また、藤沢駅前には藤沢オーパなどの商業施設が多数立地する他、JR湘南新宿ラインで東京まで1時間足らずで向かえるなど利便性も抜群なのも嬉しいポイント。穏やかな自然環境と利便性の高さを両立したい方におすすめのスポットです。
藤沢市やほかの神奈川県の市町村のことをもっと詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてくださいね。
神奈川への移住は後悔しない?魅力や特徴、住みやすい地域も紹介
東京都奥多摩町
大自然に囲まれて生活したい方には東京都奥多摩町がおすすめです。関東山地の山々に囲まれているため、東京都内とは思えないほど自然がいっぱいの町です。
氷川キャンプ場をはじめ、キャンプ場やアウトドアスポーツ施設が充実しているので、休日には地方ならではのレジャーを楽しむことできます。青梅市までは車で30分程でアクセスできるので、暮らしに必要なものは揃えることができます。JR奥多摩駅から「ホリデー快速おくたま」で一本で新宿に通うことも可能です。
奥多摩町についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
奥多摩は移住支援が魅力的!移住におすすめの地域や支援制度を解説
埼玉県秩父市
秩父市は埼玉県西部、秩父山地に囲まれた地方都市です。多様な歴史資源があることが魅力で、旧石器時代の遺跡、平安時代の寺社の数々に加え、秩父神社の参道である番場通り周辺では大正後期から昭和初期にかけて作られたモダンな町並みを味わうことができます。
自然が多い点も魅力で、隣町の長瀞町の自然公園ではレジャーを楽しめます。交通面は西武秩父線で池袋に1時間30分程度でアクセス可能です。
秩父市についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。【埼玉】秩父へ移住する魅力とは?秩父にある地域ごとの特徴や移住お役立ちサイトを紹介
関西エリアで2拠点生活におすすめの場所
続いて関西エリアの2拠点生活におすすめの場所を説明します。
兵庫県豊岡市
兵庫県豊岡市は城崎温泉などが有名な兵庫県北部の中心都市です。城崎温泉は日本有数の温泉地で、温泉巡りは休日に体を癒やすのにぴったりです。また竹野浜のきれいな海や、秋の安国寺の紅葉など自然資源もいっぱいで、自然の素晴らしさを感じながら暮らすことができます。
平日仕事で都会に出たいときは、山陰本線経由で京都、北近畿豊岡自動車道経由で大阪・神戸にアクセス可能です。
奈良県五條市
奈良県五條市は紀伊山地の入り口に位置する地方都市です。古くは紀州街道の入り口として開かれた街で、江戸時代初期の町並みが残っており、歴史を感じながら生活することができます。自然も豊かで吉野川まで比較的近く、休日は釣りやレジャーを楽しむことができます。
交通網はJR和歌山線から1時間半ほどかけて天王寺まで向かえるほか、隣の橋本市から南海高野線で始発でなんばまで一本でアクセスできます。
三重県伊賀市
三重県伊賀市は「忍者の里」として有名な町です。上野城周辺の城下町は昔の雰囲気を残している他、すき焼きの名店「金谷」では美味しい伊賀牛を味わうことができます。また、青山山地の自然や、大山田温泉など、多数のレジャースポットも魅力的です。
近鉄大阪線を使えば大阪市内まで電車で1時間と少しでアクセスできます。
2拠点生活を後押し!支援制度の一例
自治体によっては2拠点生活を助けてくれる支援制度を用意しています。ここでは3つの事例を解説します。2拠点生活したい地域で用意しているか調べてみましょう。
【長野県佐久市】新幹線大人の住まいるプラン佐久
長野県佐久市はJR東日本及び長野県と提携し、JR東日本の会員サービス「大人の休日倶楽部」の会員を限定に東京駅から佐久平駅まで7,800円で、往復できる新幹線プラン「新幹線大人の住まいるプラン佐久」を用意しています。
一度東京に向かえば14日間そちらで過ごすことができるので、仕事で都会に戻りたい方にはとてもお得なプランです。
参考:JR東日本から「新幹線大人の住まいるプラン佐久」が発売中!
【徳島県】デュアルスクールの取り組み
徳島県では住民票を移動させることなく、都市圏の小中学生が徳島県内の公立小中学校で学ぶことができる。「デュアルスクール」に取り組んでいます。
会社の制度上、住民票の移動が認められない場合、子どもがいる方は子どもを会社の近くで通わせなければいけないという課題があります。しかし、デュアルスクールを使えば、徳島県に住居を持ち、休日は地方での生活を楽しむことができます。
参考:地方と都市を結ぶ新しい学校のかたち「デュアルスクール」/徳島県
【石川県小松市】こまつデュアルライフ支援制度
石川県小松市では小松市の賃貸物件で居住を始める方を対象に、一戸建て賃貸住宅ならば3万円、アパートの場合1.5万円まで(同居人1名につき5千円加算”限度額1万円”)、居住費を助成する「こまつデュアルライフ支援制度」を用意しています。
2拠点生活で一番の課題になるのが毎月の固定費の増加です。家賃はその中でも大きい出費なので、それを補えるのはとても助かるでしょう。
参考:こまつデュアルライフ支援制度/小松市
希望の場所に移住して2拠点生活と仕事を両立しよう
ここまで2拠点生活で仕事と両立する方法や、必要な費用やおすすめの場所、役立つ支援制度を紹介しました。テレワークの広がりとともに2拠点生活も一般化しました。都会の仕事における利便性と、地方のゆったりとした環境の両立も以前に比べて簡単になっているでしょう。
一方、費用面など実現までの課題もあります。支援制度などを活用し、一つずつ課題を解決していくことが大切です。2拠点生活に興味のある方は、まず住みたい場所を探してみて、仕事と両立できるかを検討しましょう。