リモートワークが定着した昨今、地方移住を検討するフリーランスが増えています。
都会の喧騒やストレスから逃れ、あくせくせずに生活できるのは、地方に住む最大の魅力です。
しかし、「隣の芝生は青く見える」とはよく言ったもの。単に楽になりたいだけで地方移住を決めてしまっては、理想とはかけ離れた現実に後から直面することになってしまいます。
メリットやデメリット、そもそもどうやって移住先を選んだらいいのかなど、地方移住に踏み切る前には多方面からの情報を検討することが必要です。
今回は、フリーランスの方や地方移住を検討している方へ、地方移住について考えておくべきポイントを徹底解説します。
地方移住を憧れだけで終わらせないようにしましょう!
フリーランスが地方移住するメリット
地方移住を考えるフリーランスが増えているのはどうしてなのでしょうか?
地方移住のメリットを改めて見ていきましょう。
家にかかるコストを抑えることができる
都会と地方で圧倒的に異なる点と言えば、ズバリ家賃です。
東京などの都心と比較すると、地方の家賃はそのおよそ半分で済んでしまうことがわかります。
都道府県別の家賃相場
都道府県 | 市区町村 | 1LDKの家賃相場 |
東京 | 新宿区 | 18.11万円 |
足立区 | 10.86万円 | |
世田谷区 | 15.00万円 | |
大阪 | 大阪市都島区 | 10.10万円 |
大阪市大正区 | 7.24万円 | |
大阪市中央区 | 12.09万円 | |
愛知 | 名古屋市中区 | 9.99万円 |
北海道 | 札幌市中央区 | 6.00万円 |
宮城 | 仙台市青葉区 | 5.70万円 | 岡山 | 岡山市中区 | 5.35万円 |
徳島 | 札幌市中央区 | 6.04万円 |
福岡 | 福岡市博多区 | 7.56万円 |
収入が同じ金額なら、拠点を地方に移した方が確実に生活コストを抑えることが可能です。
また、誘惑が少ないことも、消費が減る理由となっています。
例えば、都会で生活していれば、出勤前にカフェに立ち寄ったり、仕事終わりに居酒屋に行ったりすることは多いでしょう。
しかし、地方では飲食店や娯楽施設などの店舗が圧倒的に少なく、営業時間が短い傾向が見られます。無駄な出費が自然と抑えられるので、経費が節約できるのです。
ゴミゴミした環境から開放されストレスが軽減できる
フリーランスの人が地方移住をする上での最大のメリットは、都会特有のストレスが少ないことです。
都会では、満員電車に揺られ、人混みをかき分けながら歩いて通勤しなければならないため、毎日の通勤ラッシュを憂鬱に感じている人も多いでしょう。
一方、地方では移動手段はたいてい車です。人混みとは無縁で、駅までの移動や乗り換えを考える必要もないため、渋滞していなければ通勤時のストレスはほぼなくなります。
電車通勤の場合でも、電車が満員になることはまずないので、読書などのやりたいことに落ち着いて時間を使えるでしょう。
また、人口が少ないため、店舗やレジャースポットなどの人混みや渋滞は都会ほど見られません。イライラすることもなくなり、プライベートも思い切り楽しむことができます。
騒音に悩まされることも、高層ビル群からの圧迫感を受けることもなく、静かな環境で落ち着いて過ごすことができるのは、地方に住む大きな魅力です。
趣味をおもいっきり楽しむことができる
サーフィンやハイキングなどの趣味に没頭できるのも、自然に囲まれた地方ならではのメリットです。
海や山へ行こうにも、都会からだと遠く離れており、アクセスに時間がかかってしまいます。また、移動手段が電車やバスになることが多いため、荷物を抱えての移動には労力が必要です。
その反面、地域にもよりますが、地方に住んでいれば海や山へは簡単にアクセスできます。さらに、車生活が当たり前の地方では、自身も車を持つことになるでしょう。移動手段が車なら、大荷物になっても心配はありません。
また、趣味がない人でも、地方移住によって新たな趣味ができることもあるかもしれません。
田舎では、その地域特有の文化や伝統工芸が色濃く残り、受け継がれていることが多いです。
そのような文化や伝統に新しく触れることにより、興味を惹かれる場合もあるのではないでしょうか?
地方移住には、自分の新たな一面を知れ、可能性にチャレンジできるという意外なメリットもあるのです。
フリーランスが地方移住するデメリット
親しんだ都会の生活を抜け出し、地方へ移住することは、人生の中でも大きなターニングポイントとなるでしょう。
地方移住を検討するのなら、後悔しなくてもいいように、メリットだけでなくデメリットもきちんと理解しておきましょう。
受注できる仕事が減る可能性がある
フリーランスの一番の魅力といえば、時間や場所を問わず働けることです。
しかし、都会の感覚のまま地方へ赴くと痛い目に合うかもしれません。なぜなら、地方では案件の獲得が難しいというデメリットがあるからです。
都会と比較すると地方ではIT系企業の数が少ないため、フリーランスが受注できる案件は限られてしまいます。
また、安定した収入が魅力の「常駐案件」も、都心部に集中していることが多いのが現実です。「常駐案件」とは、企業と契約を結び、会社員と同様に出勤して業務を行うタイプの案件を指します。
報酬が高めに設定されていることが多いため人気の案件ですが、地方で見つけることは残念ながらほぼ不可能です。
ただ、最近はフルリモート案件も増えているため移住先で都会の報酬を受け取ることができるかもしれません。
フリーランスの認知度が低く、理解されない
フリーランスの働き方が一般化していない地方では、フリーランスの社会的地位が低く扱われがちです。残念ながら、フリーターやニートと考えている人も多く、「正社員でこそ一人前」という昔ながらの価値観が浸透している地方では、スキルのある人でもまともに働いていないと思われる可能性もあります。
頼りのない地方で生きていくためには、地元の人々との交流を積極的に行い、受け入れてもらう努力が必要です。
ライブなどのイベントごとが少ない
地方には都会のような刺激が少ないこともデメリットの1つです。
飲食店や商業施設、娯楽施設が少なく、あったとしても閉店時間が都会よりも早い傾向があります。都会の活気に慣れていると驚くことになるかもしれません。
また、地方ではライブやコンサートなどが開催されることはほぼなく、大きなイベントに参加しようと思ったら、都市部へ出る必要があります。
このように、地方ではゆったりとした時間の流れが魅力な反面、選択肢や刺激、変化が少ないことがデメリットとして挙げられます。
ショッピングや外食、ライブなど、都会的な遊びが好きな人にとっては物足りなく感じるかもしれません。
地方移住先の選び方
地方移住のメリット・デメリットの両方を理解したら、次に気になってくるのは「じゃあどのような基準で移住先を選べばいいか」ではないでしょうか?
ここでは、移住先の選び方のうち、おすすめのものを3点紹介します。
移住支援サービスが手厚い地域
移住先選びで万人におすすめできる方法は、移住支援サービスが手厚い地域を選ぶことです。
都市部に比べ求人も少なく、給与や報酬も低い地方では、人によっては移住後の収入面に少々不安が見られるかもしれません。また、移住前後は何かと出費がかさむものです。
そんな時に移住先の支援サービスが充実していれば、収入面での不安がカバーできます。興味のある地域に移住支援金や住宅手当てなどの制度があるかどうかを、まずは調べてみましょう。
また、移住支援サービスが充実している地域は、移住者の受け入れ体制が整っていると言えます。外部から来た人でも住みやすくなっていることが多いので、移住してから後悔するということにはなりにくいでしょう。
移住支援サービスのクオリティは、移住先選びの重要なポイントです。
趣味を満喫できる地域
移住後の生活は誰しも充実させたいもの。自分のやりたいことから移住先を選ぶのもいいでしょう。
サーフィンが趣味なら海の側、登山に挑戦してみたいならアルプスのふもと、食に目がないならご当地グルメが充実している地域、寺社仏閣が好きなら歴史が深い街……など、趣味や興味を軸にして移住先を絞ってみましょう。
やりたいことが思う存分できる生活からは、心身ともに充実感が得られます。
都会のストレスから逃れるために移住するのなら、新天地では心ゆくまで楽しんでみてはいかがでしょうか?
通信環境が整っている地域
フリーランスにとって、スムーズなインターネット環境は仕事の生命線とも言えます。
田舎は静かで過ごしやすいのが魅力ですが、どんなに快適な環境でもネット回線が整っていなければリモートワークは不可能です。
地方でもインターネットが繋がる時代ではありますが、人里離れた山奥などは選ばない方が無難でしょう。
また、山間部や極端に辺鄙な場所を避けた方がいいのには他にも理由があります。たとえ田舎に憧れがあったとしても、都会暮らしが染み付いた人がいきなり山奥で生活するのは、ハードルが高すぎるからです。
人口が約5~10万人程度で、車で1時間以内に職場や病院、商業施設がある「ほどよい田舎」を目安に選ぶのがいいでしょう。
フリーランスにおすすめの地方移住先
移住先の選び方がわかったら、自分が大事にしたい基準をもとに、移住先の候補地を挙げていきましょう。ここでは当サイト一押しのエリアを3箇所紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
秋葉原まで最速45分!茨城県つくば市
日本有数の学研都市である茨城県つくば市は、買い物などの生活環境の利便性や、東京までのアクセスが手軽なことから、首都圏からの移住先としても人気を集めています。
イオンモールやコストコなどの大型ショッピングセンターが多く見られ、衣食住で必要な買い物が1カ所で完結できる点が好評を得ています。
つくばエクスプレスを使えば、秋葉原まで最短45分でアクセス可能なので、都内に用事がある場合でもサクッと移動が可能です。
また、つくば市は、三菱UFJ不動産販売が公表している「2022年版 自治体別住みよさランキング」で、見事住みよさ総合1位、全国8位を記録しています。
便利で快適、都内にも近いつくば市は、初めての移住先としておすすめです。
移住補助金が充実!静岡県藤枝市
静岡県のほぼ中央に位置する藤枝市は、都会と田舎のバランスの良さから移住先として人気を集めている市です。
開発が進む藤枝駅前には、商業施設やスーパー、映画館、図書館などが揃います。一方で、駅から車で15分も移動すれば、川や農園などの自然にも出会えるため、用途によってさまざまな楽しみ方が可能です。
また、藤枝市は多様な移住サポート制度を取り入れています。
特徴的なのが、「新婚生活サポート補助金」、「子育てファミリー移住定住促進事業」などの夫婦への支援で、新しい土地でも安心して住める、と子育て世代から好評です。
この他にも、1世帯あたり最大150万円が補助される「空き家活用・流通促進補助金」、クラウドソーシングを推進する「藤枝くらシェア」など、魅力的な制度が豊富で、移住者へのバックアップ体制が整っています。
参照:藤枝市 移住補助金一覧
南国のキレイな海でマリンスポーツを楽しめる!宮崎県宮崎市
南国の温暖な気候の下でゆったりと暮らしたい!という人には、宮崎県宮崎市はいかがでしょうか?
中心地からは15分ほどで青く澄んだ海にアクセスでき、サーフィンなどのマリンスポーツを存分に楽しめるのが宮崎市の魅力です。
野球やサッカーのトレーニングキャンプ地があることでも知られており、有名選手を間近で見られるチャンスもあるかもしれません。
また、冬でもほぼ雪が降らない温暖な気候のためか、宮崎には穏やかで親切な人々が多いという声もよく見られます。
温かい場所で、大自然に囲まれてのんびりと生活したいのなら、宮崎市がおすすめです。
参照:宮崎市移住センター
ぴったりの地方を見つけて移住を検討しよう
豊かな自然、ゆるやかな時の流れの中に身を置けるのが、地方移住の大きな魅力です。不便さを感じることもあるかもしれませんが、何でも手に入ることだけが豊かさではありません。選択肢が限られていることで、かえって身軽に動けるようになるからです。
理想の地方移住を実現するために、地方移住のメリット・デメリットはもちろん、自分に合いそうな移住先についてもどんどん調べてみてください。
都会の喧騒やギスギスした人間関係でストレスを溜め込むのは、もう止めにしませんか?