移住を希望する人の中には、職場や学校が変わるなどの理由で移住できずにいる人も多くいます。完全に移住するのは難しくても、週末だけ地方で暮らす週末移住なら実現可能です。
週末は人混みの多い都会を離れ、地方で自然や趣味を満喫しませんか?この記事では週末移住のメリットやデメリット、費用などを紹介します。
週末移住とは
週末移住は、土日や祝日などの休みの日だけ、普段生活している地域とは別の地域で暮らすことです。2拠点生活やデュアルライフと言われることもあります。
国土交通省が地域活性化を目的とし、新しい暮らし方の一つとして推奨しています。
週末移住のメリット
ここでは週末移住のメリットについて解説します。
本格的な移住地の検討ができる
本格的な移住前にまずは週末だけ移住することで、本当に自分に合った移住先なのかを確かめることができます。
週末だけ候補地に住むだけでも、現地の生活環境や物価など様々なことが分かります。特にご近所付き合いの濃さなど、現地に住んでみないと把握できない情報を知れるのがメリットです。
今の生活を継続しながら移住できる
週末移住では、今の生活スタイルを維持しやすいという特徴があります。
本格的な移住となると、仕事や学校が変わるなどの理由で簡単には移住できません。ですが、週末移住であれば、転職や転校の必要もないので、今の生活を維持しつつ移住体験ができるメリットがあります。
オンとオフに切り替えがしやすい
普段生活している場所と休日を過ごす場所を分けることで、仕事や家事のことを忘れてリフレッシュしやすくなります。
同じ場所で過ごしていると、どうしても仕事や家事など普段の生活のことを考えてしまいます。ですが、休日だけいつもの住まいを離れるだけで、楽しめる景色が大きく変わり、場合によっては自然にも触れられます。
おかげで、オンとオフをうまく切り替えることができ、ゆっくり休日を楽しむことができます。
子供に自然体験をさせられる
子供に自然を体験させられるのもメリットだと言えます。
都会にはビルや住宅が多く自然に触れられる場所は限られていますが、自然豊かな場所を週末移住先に選べば、緑の中で子育てができます。週末や長期休暇限定ではありますが、自然の中で植物や生物に触れる体験は、子供たちの心を豊かなものにしてくれるでしょう。
趣味を満喫できる
週末移住では、趣味も満喫できます。海が近い場所なら釣りやサーフィンを楽しめますし、山がある場所なら手軽にハイキングやキャンプができます。他にもサイクリングやガーデニングなど、思い思いに趣味を楽しむことができます。
週末移住のデメリット
週末移住にはメリットだけでなく、デメリットもあります。週末移住のデメリットについても確認しておきましょう。
家賃や交通費が増える
まずは、家賃や交通費が増えるのがデメリットです。週末だけ他の土地で過ごすと、家をもう1つ借りるか購入する必要があります。また、2拠点間を往復する交通費やガソリン代などもかかります。
例えば、毎週移動(月4回)末、週末移住する場合、となると、片道が3,000円でも往復で6,000円、月24,000円の交通費がかかることになります。家賃や交通費を踏まえて、移住先を検討することも大切です。
移動に時間がかかる
移住先が離れていれば、それだけ移動時間も長くなります。特に交通網の発達していない土地に週末移住するとなると、さらに移動時間はかさみます。
せっかく普段の喧騒から離れリフレッシュするために週末移住をしても、移動時間を大幅に割かれるような移住先ではあれば、逆にストレスが溜まってしまいます。
週末移住を検討するときは、ストレスなく移動できる移住先か?という視点をもつとよいでしょう。
家の管理が大変
2拠点生活は2つの家を管理するので、掃除やゴミ捨てなどの手間が増えます。
週末しか利用しない場合でも、家は外壁が汚れたり室内に埃がたまったりするので、定期的な掃除が必要です。また、庭がある場合、草むしりなどの手入れも行わなければなりません。家や庭が自分の手に余るような広さでは、毎週掃除や手入れが必要となり、ゆっくりできずに疲れてしまう可能性があるので注意しましょう。
また、地域ごとにゴミ捨て規則も決まっているため住民票がない場所では、勝手に捨てるのはNGの場合もあります。本拠地に持ち帰るなど工夫が必要です。
週末移住に必要な費用
続いて、週末移住にかかる費用を見ていきましょう。
家賃・住宅購入費
移住先の家を借りるか、購入するかによっても費用は変わってきます。
もし賃貸であれば、毎月の家賃や管理費が発生しますし、購入の場合はある程度まとまった初期費用が必要です。加えて自宅の家賃や維持費もかかってくるため、場合によっては生活を圧迫することにもなりかねないため、注意が必要です。
移住先の自治体によっては、独自で住宅購入補助制度や移住者への家賃補助を行うところもありますので、支援制度も上手に活用していきたいですね。
参考:群馬県 片品町 片品村定住促進家賃補助
参考:茨城県 常陸太田市 令和3年度住宅取得促進助成金
水道光熱費
移住先で生活をすれば、必ずかかるのが水道光熱費です。水道光熱費もかかります。
中でも水道とガスは、まったく使用しない月でも基本料金が発生する点も見積もっておく必要があります。
市町村の水道局やガス会社によっても異なりますが、
- 水道:1,000~2,000円(2カ月あたり)
- 都市ガス:約1,000円/月
- プロパンガス:約1,500円/月
の基本料金がかかります。
交通費
交通費も、家賃に次いで大きな費用の一つです。先ほども少し触れましたが、移住先へ車で移動するとガソリン代がかかります。また、公共交通機関で移動する場合には、さらに費用がかかります。
例えば、東京~静岡間を東海道新幹線を利用して移動する場合、片道切符が6枚セット(3往復)になった回数券は、32,940円です。
一概には言えませんが、移住先が遠いほど交通費は高くなる傾向にありますので、移住先の土地柄だけでなく移動コストも考えて選びましょう。
家電・家具・日用品の購入費
移住先で生活するには、家電や家具やティッシュ、シャンプーなどの日用品を新たに準備しなければなりません。
特に、住み始めは家電や家具など高価な日用品が必要になり、初期費用が高くなる場合もあるので注意しましょう。自治体によっては、移住支援として家電や家具付きの物件を紹介してくれることもあるので、移住先として検討する自治体の支援内容をチェックしてみてください。
通信費
移住先でパソコンやスマートフォンを使う場合、インターネット回線を準備しなければなりません。
ポケットWiFiであればそこまではありませんが、光回線を通すとなると初期費用は数万円かかるケースもあります。ネット環境を使う頻度や容量によって、どの選択が最適かが変わってくるので、色々検討しましょう。
火災保険料
賃貸物件を契約する場合、火災保険への加入が義務付けられているケースがほとんどです。火災保険は内容によって異なりますが、1年あたり3,500円〜15,000円程度が相場になります。
参考:賃貸住宅でも火災保険は必要?保険料の相場や、つけておきたい補償内容を紹介|ソニー損保の新ネット火災保険
税金
今住んでいる地域の住民税のみ払う必要があると思っている人も多いですが、家をもう1つ持つと移住先でも住民税が課税されます。
住民票がある居住地では、所得割及び均等割が課税され、住民票がない家には均等割のみを納める必要があります。
また、家を購入すると固定資産税も発生するので注意しましょう。
東京都からの週末移住におすすめの地域
今回は東京からの週末移住におすすめの地域を紹介します。
長野県
長野県はアルプス山脈に囲まれており、国内でも有数の温泉地として有名です。県内の各地で温泉が湧き出しています。
冬になると雪が降り、山岳地帯が多いことから、スキーやスノーボードを手軽に楽しめます。
また、温泉の数は日本一で、鹿教湯温泉や浅間温泉など様々な温泉を楽しめるのが特徴です。
山梨県
山梨県は世界遺産に登録された富士山や八ヶ岳などの美しい山に囲まれています。キャンプなど、山を使ったアクティビティを楽しみやすいのが特徴です。
日照時間が日本一長く、果物の生産が盛んなおかげで、イチゴやサクランボなどの農産物も手軽に味わえます。
自然や季節の特産物を楽しみたい方におすすめです。
静岡県
静岡県は気候が穏やかで漁業が盛んな地域です。
夏は駿河湾からの海風で涼しく、山に囲まれているおかげで寒気がせき止められ、冬は気温が下がりづらいです。年間の気温差が少なく、1年を通して快適に生活することができます。
また水産業が盛んなので、新鮮な海鮮も味わえます。特に、焼津ではマグロの漁獲量が多く、とれたてのマグロを食べられるのが魅力です。
茨城県
茨城県はのびのびと生活しやすい地域です。
1住宅あたりの敷地面積の広さが全国で一番広く、全国平均の約1.6倍の広さがあります。おかげで、住宅に広いスペースを確保しやすく、広いスペースが必要な趣味などを楽しみやすいです。
海や山など自然も豊富で、緑に囲まれながらゆったり過ごせるのも魅力です。
住む場所にもよりますが、都心へのアクセスも良く、都内からは1時間程度で移動することができます。
参考:茨城県ってこんなところ|茨城を知る|いばらき移住定住ポータルサイトRe:BARAKI
週末移住をして自然や趣味を楽しもう
週末移住では、今の生活を維持しつつ手軽に移住体験をすることができます。
短期間の移住を繰り返すことで、現地をよく知ったうえで本格的な移住に臨めます。また、普段の住まいから離れてリフレッシュしたり、子供に自然体験をさせられるのもメリットです。
ただし、家の管理にかける手間が増え、住む場所によっては移動に時間がかかります。水道費や家賃も発生し、月の支出は増える可能性が高いので注意が必要です。
普段の生活に支障が出ないように配慮し、無理なく週末移住を楽しみましょう。