福島県の中通りに位置する田村市は、山と水田が広がる風光明媚な街です。市内には、ドライブに最適な阿武隈(あぶくま)高原や、鍾乳洞のあぶくま洞があり、多くの観光客が訪れます。
自然豊かな田村市ですが、東日本大震災の時に一部地域に避難指示が出たこともあり、人口減少が続いていました。しかし、近年は移住者を呼び込むため、多くの移住支援制度が実施されています。なかにはユニークな移住支援もあり、移住検討者から注目を集めています。
そこで今回は、田村市への移住を検討している人向けに、移住支援制度や利用時の注意点について解説します。
福島県田村市キッチンカー移住チャレンジ
2022年11月30日まで田村市ではキッチンカー移住チャレンジという移住支援制度の参加者を募集しました。田村市を拠点にキッチンカーでビジネスをしたい人に対し、キッチンカーを無料リースされる他、販促物の制作費用も支援されました。さらに、キッチンカーの専門家がノウハウを提供し、開業後のサポートも付いたので驚きです。17人の応募があり3名が選ばれ2023年3月にお披露目イベントが実施されました。今年度は募集がまだありませんが、今後も新たなユニークな移住支援の募集があるかもしれないので、要チェックです。
現在受付中の主な移住支援10選
ユニークな移住支援以外にも、田村市には多くの移住支援制度があります。豊富な移住支援は、移住を検討するうえでとても魅力的です。各移住支援について紹介していくので、ぜひ参考にしてみてください。
上限200万円!福島県12市町村へ移住支援金
福島県で、東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴う避難指示等の対象となった12市町村において、対象者に対し移住支援金が交付されます。田村市も対象の12市町村の1つです。
交付金額は、世帯の場合は1世帯につき最大200万円、単身の場合は1人につき最大120万円です。さらに、18歳未満の世帯員1人につき最大100万円が交付金額に加算されます。
詳しい要件は、ふくしま12市町村移住支援センターのホームページをご確認ください。
福島県12市町村移住支援金のお知らせ
上限10万円!Uターン引越し費用を補助
田村市出身(40歳以下)で、県外から市内にUターンする人に対し、引越業者に支払う費用の2分の1(上限10万円)が支援されます。
補助対象者は、5年以上田村市に定住する人且つ、就職などのため県外に転出し、3年以上経過していた田村市内出身者です。
詳しい要件は、田村市ホームページをご確認ください。
田村市ふるさとUターン定住化促進事業補助金交付要綱
ふくしま移住希望者交通費補助金
福島県に移住(Uターン、Iターン、多拠点居住等)を考えている方が、実際に福島県内を訪れ、移住する際に必要な現地調査や現地活動(生活環境、事業実施可能性などの相談や調査、住まい探し等)を行った場合に、その交通費の全部あるいは一部が補助されます。
対象になるには、移住を検討している市町村の移住相談窓口や福島県移住コーディネーター、現地の民間事業者等(企業や不動産事業者、先輩移住者等)への訪問が必須です。
他にも、出発の10営業日前までに予定を記入した現地計画兼報告書の提出や、出発の5日前までに移住推進員との面談が必要です。
詳しい要件は、福島県ホームページをご確認ください。
ふくしま移住希望者支援交通費補助金
ふくしま12市町村移住支援交通費等補助金
実際に福島12市町村内を訪れ、移住する際に必要な現地調査や現地活動を行った場合、その交通費及び現地での宿泊費が補助されます。利用は1年度につき5回まで可能です。都道府県によって基準額(補助上限額)が決められています。東京都からの場合は8,000円です。移住準備の現地調査や物件、仕事探しに活用すると便利でしょう。
詳しい要件は、ふくしま12市町村移住支援センターのホームページをご確認ください。
ふくしま12市町村移住支援交通費等補助金
最大4万円/月!賃貸住宅の家賃補助
県外から田村市に転入し、就業か起業している人又は、就業か起業を予定している人を対象に、賃貸住宅の家賃の一部費用が補助されます。
補助金額は月最大4万円で、補助対象期間は最大2年間です。先着順、予算枠に達した時点で終了するので、早めに申し込むことをおすすめします。
詳しい要件は、田村市ホームページをご確認ください。
田村市移住定住促進賃貸住宅家賃補助金交付要綱
最大100万円!転入子育て世帯 住宅取得補助
市外から田村市に転入する子育て世帯(15歳以下の子を持つ世帯)が、転入から3年以内に住宅を新築した場合、100万円が補助されます。転入する直前に、連続して3年以上市外に在住していた人が対象です。補助額は1件あたりの取得額1,000万円以上の物件に対し100万円です。
詳しい要件は、田村市ホームページをご確認ください。
田村市転入子育て世帯住宅取得補助金交付要綱
最大70万円!「来て ふくしま」 住宅取得を支援
県外から移住する場合、前述の「転入子育て世帯 住宅取得補助」の補助対象者となった人に対し、さらに福島県から補助が出ます。補助基本額は最大70万円です。予算には限りがあるので、早めに申し込むことをおすすめします。
詳しい要件は福島県ホームページをご確認ください。
来て ふくしま 住宅支援事業
最大250万円!「住んでふくしま」空き家の改修を補助
福島県では、県内に定住するための空き家改修等に、補助金最大250万円が交付されます。空き家バンクに3ヶ月以上登録されている建物や、3か月以上居住等で使用されていない建物が対象です。空き家の改修費用の他にも、清掃費用も補助対象経費になります。
補助対象者は、被災者や避難者、移住者、二地域居住者、子育て世帯、新婚世帯等です。
補助基礎額は、改修が補助対象経費の2分の1以内かつ最大150万円(二地域居住者は、最大80万円)、清掃が補助対象経費の10分の10以内かつ最大30万円です。予算枠に達し次第、募集終了してしまうので、お早めの申し込みをおすすめします。
詳しい要件は福島県ホームページをご確認ください。
「住んでふくしま」空き家対策総合支援事業
最大250万円!空き家リフォーム補助
市外から転入する子育て世代が、空き家バンクに登録されている物件のリフォームをすると、最大250万円が補助されます。福島県外から転入する人は、前述の「『住んでふくしま』空き家対策総合支援事業」も合わせて活用可能です。
詳しい要件は、田村市ホームページをご確認ください。
田村市空き家改修支援事業補助金交付要綱
田村市空き家改修支援事業補助金(県外移住者)交付要綱
転入子育て世代空き家リフォーム補助
市外から転入する子育て世代が、空き家バンクに登録されている物件のリフォームをすると、前述の「田村市空き家改修支援事業補助金」の最大250万円に、子ども(15歳以下)1人あたり10万円がプラスで支援されます。
詳しい要件は、田村市の移住に関するホームページをご確認ください。
田村市住宅環境整備子ども応援事業補助金交付要綱
福島県田村市移住のデメリット
田村市への移住には、デメリットもあります。問題点も知ったうえで、移住するか検討してみましょう。
山間部に位置し交通インフラが弱く車の所有が必要になる
田村市の大部分は、山間部にあります。市内には磐越東線が通っていますが、本数は限られているので、車の所有が必須です。市の中心街である船引地区には、ヨークベニマルメガステージ田村店やシミズストア船引パーク店、フードマートグラントマト船引店などのスーパーマーケットがあるので、車の運転をあまりしたくない人は、その周辺に住むのが良いでしょう。
学校が少なく多くの子どもは市外の高校に進学する
田村市内には小学校が6校、中学校が5校あります。しかし、高校は福島県立船引高等学校の1校しかありません。大学進学希望の多くの市内の子どもは市外へ進学してしまいます。大学も無いので、若者が少なく活気に欠ける時があるでしょう。
田村市での就職は農業か林業が中心になる
田村市の基幹産業は農業と林業であり、全就業者のうち第一次産業従事者が20%を占めています。稲作や野菜栽培の他に、肉用牛や鶏卵などの畜産業もさかんです。農業や畜産業、林業なら就職先が見つかるかもしれませんが、それ以外の職種の求人はかなり限られています。リモートで働ける人は、移住後も続けることを検討した方が良いでしょう。
福島県田村市の魅力を知って移住を検討しよう
田村市は、移住支援の充実ぶりやユニークな移住支援があることから、近年注目を集めるようになりました。阿武隈高原やあぶくま洞などの、観光資源にも恵まれていることも魅力的です。
一方、都市部と比べて利便性が優れず、買い物やお出かけには自家用車があった方が便利など、都会での生活と比較すると、不便に感じることも多いでしょう。
ですが、新鮮な野菜で美味しい料理を作ったり、山をハイキングしたり、釣りなどのアウトドアを楽しんだりすれば、健康的で充実した生活が送れます。休日は、電車で約26分で行ける郡山市に買い物に行ったり、温泉地に足を伸ばしてみたりすれば、充実した時間が過ごせるでしょう。
メリット、デメリットは有りますが、移住先として検討したい方は、まずは田村市を訪れてみることをお勧めします。自分に合うかどうか確認したうえで、ぴったりの物件を探してみてはいかがでしょうか。
※内容は2023年5月執筆時のものです