太平洋の広大な海と、奥羽山脈にかこまれた福島県は、かつての震災から復興がどんどん進み、以前と変わらない美しい景色を取り戻しています。また、復興を進めていくかたわら、福島県では移住希望者を積極的に誘致しており、日本でもトップクラスの移住支援がおこなわれていることはご存じでしょうか?
今回は、福島県における手厚い移住支援を中心に、福島県の魅力や移住へのデメリットを幅広く紹介していきます!東京へのアクセスも悪くなく、磐梯山や猪苗代湖といった風光明媚な自然環境のなか、ゆったりとした生活を送れることが特徴です。会津若松城をはじめとした歴史的な観光地もみどころといえるでしょう。
震災からの完全復活へ向けて、移住支援だけでなく各市町村もアツい福島県へ、ぜひ移住を検討してみませんか?この記事を読めば、あなたもきっと福島県へ移住したくなることでしょう!
最大200万円!福島県12市町村移住支援金
現在、福島県内特定の12市町村に移住することで、国内最高クラスといえる金額の支援金が受けられます!しかも、移住支援金事業は通常であれば東京23区に在住、もしくは通勤者のみが対象なのですが、この12市町村はちがいます。なんと、全国からの移住者が対象です。
【移住支援金の額】
- 単身者の場合 120万円
- 家族での移住の場合 200万円
という、他地域の移住支援金の2倍を支給してくれるため、移住への初期費用などは、ほとんどまかなえるのではないでしょうか?まずは、福島県の移住支援のなかでも柱となる、福島県12市町村移住支援金を紹介します!要件がやや複雑なため、申請方法や制度の詳細は下記のリンク先を参照してください。これ以上ない手厚い支援内容です。ぜひ活用し、これらの市町村へ移住を実現させましょう!
対象地域
最大200万円の移住支援金が支給される12市町村は以下の通りです。これらの地域に移住することで、移住支援金の対象となります。
【対象地域】
田村市・南相馬市・川俣町・広野町・楢葉町・富岡町・川内村・大熊町・双葉町・浪江町・葛尾村・飯館村
支援対象者の条件
【移住元と移住先に関する要件(一部抜粋)】
- 12市町村内に住民票を移す直前に、連続して3年以上、福島県以外の地域に在住していたこと(要件を満たしていれば福島県出身者も対象)。
- 12市町村へ令和3年7月1日以降に転入(住民票の移動)したこと。
- 移住支援金の申請時において、転入後3か月以上1年以内であること。
【就業・企業に関する要件(一部抜粋)】
- 申請時に就業、または自ら事業を営んでいる実態を確認できること。
- 転勤・出向・出張・研修等による勤務地の変更ではないこと。
- 起業する者においては、転入後1年以内に福島県12市町村企業支援金の交付決定を受けていること。
18歳未満の子ども1人当たり最大100万円の加算金
東京圏(条件不利地域以外をのぞく)から18歳未満の子どもを帯同して移住した場合、子ども1人につき100万円を加算してくれます。
【東京圏】
東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県
【条件不利地域(一部抜粋)】
- 東京都
檜原村・奥多摩町・大島町・利島村・新島村・神津島村・三宅島・八丈町・小笠原村 - 埼玉県
秩父市・飯能市・本庄市・ときがわ町・横瀬町・皆野町・小鹿野町・東秩父村・神川町 - 千葉県
館山市・旭市・勝浦市・鴨川市・富津市・いすみ市・南房総市・香取市・山武市・九十九里町 - 神奈川県
山北町・真鶴町・清川村
申請方法
申請方法の概要を説明します。申請方法は複雑なため、かならずリンク先を参照してください。
- 交付対象者の登録
就業者」は住民票の異動後、「起業者」にあっては、企業支援金の交付決定後すみやかに、「福島県12市町村移住支援金交付対象者登録届出書(第1号様式)」を転入先の市町村を経由して県に提出してください。 - 交付申請
「福島県12市町村移住支援金交付対象者登録届出書(第1号様式)」を提出後、
・「就業者」は12市町村への転入後3か月以上1年以内
・「起業者」は起業支援金の交付決定から1年以内かつ、12市町村への転入後3か月以上1年以内
に、必要書類を転入先の市町村を経由して県に提出してください。 - 令和5年度の申請期間
令和5年4月3日~令和6年1月26日
参考(申請方法の詳細はコチラ):福島県12市町村移住支援金
問い合わせ先:福島県12市町村個人支援金コンタクトセンター
12市町村以外でも使える移住支援制度
つづいて、12市町村以外でも使える移住支援制度を紹介します!これらの移住支援も他の自治体より比較的充実しており、多くの方にとって助かる制度といえそうです。要件等はあるものの、該当する方はぜひ申請しましょう。
ふくしま移住支援金給付事業
東京23区内に居住、もしくは東京圏(条件不利地域をのぞく)に居住し東京23区内の企業等に通勤していた方を対象に、一定の要件を満たすことで最高100万円以上を支給する移住支援です。要件がやや複雑なため、詳細は下記リンク先を参照してください。
【移住元の要件】
移住する直近の10年間のうち、1)~3)をあわせた期間が5年以上必要で、移住直前の1年間は連続していること。
- 東京23区内に居住していた期間
- 東京圏(条件不利地域をのぞく)に居住し、東京23区内の企業等に通勤していた期間
- 東京圏(条件不利地域をのぞく)に居住し、東京23区内の大学等に通学した後、東京23区内の企業等に就職した場合の通学期間
【移住先の要件(一部抜粋)】
以下のいずれかに該当することが必要です。
- 福島県就業マッチングサイト「Fターン」または、他県の要件を満たす就業マッチングサイトに掲載されている移住支援金対象求人に応募し、採用されること。
- 「福島県プロフェッショナル人材戦略拠点事業」等により就業すること。
- 移住元での業務を移住後もテレワークで続けること。
- 移住前に、移住先市町村の関係人口であったこと。
- 「福島県地域課題解決型企業支援金」に応募し、採択されること。
【補助金の額】
- 単身世帯 60万円
- 2人以上の世帯 100万円
※子育て加算を実施している自治体であれば、18歳未満の世帯員を帯同した場合、1人につき100万円が加算されます。
参考:ふくしま移住支援金給付事業
問い合わせ先:福島県企画調整部 ふくしまぐらし推進課
ふくしま移住希望者支援交通費補助金
福島県に移住しようと考えている方が、実際に福島県を訪れ移住に必要な現地調査および現地活動をおこなった場合、その交通費を補助する制度です。移住前に一度現地を訪れてみることは必須といえるため、とても助かる支援制度といえるでしょう。
【対象者】
18歳以上の福島県外在住者で、近い将来に福島県内への移住(Uターン・Iターン・他拠点居住等)を希望、または検討している方。
【現地活動の例】
- 福島県内での生活環境、事業実施可能性などの相談や調査
- 就職のための企業訪問
- 住まい探し
【補助額】
実際にかかった交通費と基準額を比較し、低い方の金額(千円未満切り捨て)
参考:ふくしま移住希望者支援交通費補助金
問い合わせ先:福島県東京事務所 移住推進員
ふくしまぐらし。×テレワーク支援補助金
福島県内への移住や、他県などとの2地域居住などを希望する県外在住の方を対象に、一定期間福島県内に滞在し、コワーキングスペースなどでテレワークをおこなう方への補助金です。テレワークをおこないながら、地域交流を通じた移住生活を体験してくれた方に、かかった費用の一部を補助してくれます。
長期コースと短期コースの2種類あり、希望にあわせて補助が受けられるので、福島県へのテレワーク移住を希望されている方は、ぜひご活用ください。
【対象者】
次のいずれかに該当する方が対象です。
- 正規・非正規問わず福島県外在住の雇用者
- 法人(体験者は限外在住者に限る)
- 福島県外在住の個人事業主等
【補助対象事業】
- ふくしま”ロング・テレワーク”体験コース(長期コース)
1〜3か月間、福島県に滞在しコワーキングスペース等でテレワークを実施するとともに、生活環境を体験する際の費用の一部を補助します。 - ふくしま”ショート・テレワーク”体験コース(短期コース)
短期間(2泊3日から5泊6日まで)、福島県に滞在しコワーキングスペース等でテレワークを実施するとともに、生活環境を体験する際の費用の一部を補助します。
【補助対象経費と補助率】
<補助対象経費>
- 宿泊費
- 交通費
- コワーキングスペース等の施設利用料
- レンタカー代
<補助率>
補助対象経費の4分の3
【補助上限額】
- ふくしま”ロング・テレワーク”体験コース 1人当たり30万円
- ふくしま”ショート・テレワーク”体験コース 1人当たり1万円/泊
参考:ふくしまぐらし。×テレワーク支援補助金の募集について
問い合わせ先:福島県企画調整部 ふくしまぐらし推進課(移住企画担当 あて)
「住んでふくしま」空き家対策総合支援事業
福島県へ移住し空き家を取得したうえで、空き家の改修や残置物の処理などをおこなった場合、最大で250万円を補助してくれる支援制度です。空き家バンクを利用することで金額加算されるので、補助を受けようとする方は空き家バンクの利用をおすすめします。
【補助の対象となる空き家】
- 登録住宅:「空き家バンク」に3か月以上登録されている建物
- 空き家住宅:3か月以上居住等で使用されていない建物
参考:福島県空き家バンク
【補助対象経費(一部抜粋)】
- 空き家の改修費用
- 空き家の清掃費用
- 空き家の解体費用
- 残置物処分等の費用
【補助金の額】
- 改修:補助対象経費の2分の1以内、かつ最大150万円
- 清掃:補助対象経費の10分の10以内、かつ最大30万円
- 解体・残置物処分等:補助対象経費の2分の1以内、かつ最大80万円
- 空き家バンク加算:20万円/件
- ゆとり面積加算:10万円/人(最大5人/件)
参考:「住んでふくしま」空き家対策総合支援事業の募集を開始します
問い合わせ先:対象の空き家がある市町村を所轄する県建設事務所(建築住宅課)
来て ふくしま 住宅取得支援事業
県外から福島県内に移住し、あらたに住宅を取得する方に向けて、さまざまな支援を市町村と協力しておこなう支援事業です。市町村ごとに独自の支援金・補助金が受けられる大変お得な制度のため、住宅を取得予定の方は、どのような支援が受けられるかあらかじめ確認しておきましょう。
【補助対象者】
- 自ら居住するために補助対象住宅を取得される方。
- 県外から福島県内に移住し、住民票を異動される方。
- 補助対象住宅に移住後、3年以上定住する方。
【補助対象住宅】
- 建築基準法等の関係法令に適合しているもの。
- 住宅の延べ面積が誘導居住面積水準以上であるもの。
- 昭和56年5月以前の旧耐震基準で建築された戸建て住宅を取得する場合は、「福島県木造住宅等耐震化支援事業」等による耐震診断を事業完了日までに実施するもの。
【補助対象経費】
- 福島県外から県内移住するための住宅所得(新築・中古を含む購入)に要した経費。
- 下記のいずれかの低い額を補助します。
- 住宅取得に要する経費の2分の1
- 各市町村による補助金と県の補助金の合算額
参考:来て ふくしま 住宅取得支援事業
問い合わせ先:福島県建築指導課 民間建築担当
福島県の魅力
ここからは、移住先として福島県の魅力を一気に紹介していきます!手厚い移住支援により福島県への移住に興味をもたれた方も多くいるかと思いますが、そもそもどのような魅力があるのでしょうか?ぜひご覧ください。
新幹線を利用すると東京まで約1時間半でアクセス可能
移住先を選ぶ条件の1つとして、東京へのアクセスの良さが挙げられます。地方移住といっても、やはり東京へのアクセスは重要です。福島県では「福島駅」と「郡山駅」の2駅で新幹線が停車し、東京駅まで約1時間半あればアクセスできます。1時間に3~5本走っているため、使い勝手よく非常に便利といえるでしょう。大きな買い物やイベント参加など、東京へ比較的アクセスしやすいことは魅力といえそうです。
天然温泉が豊富にある
福島県は、日本屈指の「温泉天国」なのはご存じでしょうか?全国4位の温泉地数を誇り、その数はなんと132か所と県内全域にまたがって数多くの温泉地が存在します。特に、起源を奈良時代までさかのぼる「日本三古泉」の1つ「いわき湯本温泉」、松尾芭蕉も立ち寄った奥州三名湯「飯坂温泉」、会津若松の城下町の近くにある「会津東山温泉」がおすすめです。
ここに挙げたのはほんの一例で、福島県内には泉質の良さや景色の美しさなど、すばらしい温泉地がたくさんあります。雄大な景色を眺めながら露天風呂でゆっくりと日ごろの疲れを癒せることが、福島県の大きな魅力といえるでしょう。
新鮮な果物を安価に購入できる
温泉だけではありません。福島県は「くだもの王国」とも呼ばれており、特に県北地域でサクランボ・桃・梨・ブドウといった多種多様な果物が栽培され、鮮度抜群の状態で安価に購入できることも魅力です!季節に応じた旬の果物が出回り、果樹園では果物狩りも盛んにおこなわれています。
いちご狩り(1月~)・さくらんぼ狩り(6月~)・桃狩り(7月~)・梨やブドウ狩り(8月下旬~)・りんご狩り(10月~)といったように、一年のほとんどで果物狩りが体験できることは特筆すべき点といえるでしょう。
地産地消されるこれらの果物は、県内各地の直売所や道の駅などで安価に購入できるので、移住の際はぜひ味わってみることを強くおすすめします!
福島県移住のデメリット
福島県には多くの魅力が備わっている一方、デメリットはあるのでしょうか?移住へのデメリット・注意点も紹介していきます。メリット・デメリット両方を知って、納得したうえで移住を進めていきましょう!
地震の発生回数が多い
福島県といえば、やはり地震の発生回数の多さがデメリットといえるかもしれません。気象庁のデータによると、2022年の都道府県別地震観測回数表では、福島県が338回と全国1位となっております(2位は宮城県の315回)。ただし、震度別にみれば震度1が212回と約2/3を占め、必要以上に不安になる必要はなさそうです。
もちろん、万が一に備えることはどこへ移住するにせよ大切といえます。ハザードマップなどで避難所を確認し、防災グッズ・非常食などの準備は怠らないようにしましょう。
冬は積雪することが多く車の運転が難しい
福島県は県内の大部分が積雪寒冷地となり、冬は積雪によって車の運転が難しいことも事前に知っておきましょう。スタッドレスタイヤを装着することは前提となり、運転は慎重におこなわなければなりません。スピードを落としたうえで十分な車間距離をとり、急発進や急ブレーキは避けましょう。
また、山間部の観光道路の一部では、冬季は路面凍結のおそれがあることから全面通行止めや夜間通行止めをおこなっています。福島県の冬は広い地域で積雪することが多く、雪道の運転に慣れていない人にとって注意が必要です。
都心の会社から転職する場合は収入が下がりがち
地方移住全般にいえることとして、都心の会社から転職する場合は収入が下がりがちな点も理解しておく必要があります。厚生労働省が毎年発表する「賃金構造基本統計調査」によると、令和4年度の東京の平均年収は375.5万円である一方、福島県は267.9万円となっており、収入が下がりがちであることは間違いなさそうです。
もちろん、家賃や車の維持費などの生活コストも大幅に下がるため、収入が下がったとしても生活自体は問題なく送れます。ただ、都心の会社から転職する場合は、収入に差が出やすいことはあらかじめ知っておいた方がよいでしょう。
参考:【厚生労働省】令和4年賃金構造基本統計調査(都道府県別)
福島県の魅力を知って移住を検討しよう
移住支援がとても手厚い福島県は、磐梯山や猪苗代湖といった自然が美しく、特産品の果物をはじめとしたおいしい食べ物も充実しています。特に、日本屈指の温泉地数を誇ることは意外だったのではないでしょうか?震災からの復興がどんどん進んでいる昨今、多くの移住者や現地の方たちによって、今まさに街が次々と生まれ変わりつつあるのです。
あなたも福島県の魅力を知って、ぜひ前向きに移住を検討しましょう!
※内容は2023年5月執筆時のものです。