コロナ禍によるテレワークの普及は、ワークライフバランスの実現を目指す方への追い風となりました。都会の喧騒を離れ、田舎での穏やかな暮らしが実践できる「地方移住」の流れは、年々広がりを見せています。
「空き家バンク」「空き家でお試し暮らし」などの地方移住にまつわるワードを耳にしたことがある方も多いでしょう。安くて広い家がほしいし、できれば静かな環境で暮らしたいという想いは、空き家に住むことで実現できます。
この記事では、空き家移住のメリットとデメリットをはじめ、空き家探しで抑えておきたいポイント、活用できる魅力的な制度を紹介しています。
「空き家を利用した田舎暮らしに興味がある」「ゆったりとした自由な生活を手に入れたい」と考えている人は、ぜひ参考にしてみてください!
空き家移住のメリット3選
一般的な住宅と空き家には、一体どのような違いがあるのでしょうか?まずは空き家移住のメリットから見ていきましょう。
賃料・購入費が通常よりも安い
空き家移住の最大のメリットは、住宅の賃料・購入費を格段に抑えられる点です。
そもそも空き家移住が広まった背景には、過疎化や少子化による空き家の増加があります。メンテナンスのされない空き家の荒廃、それに伴う火災や犯罪の火種を防ぐには、入居者の確保が必要です。そのため、空き家の賃料・購入費は安くなっています。
「空き家バンク」は、家賃が1万円やそれ以下のタダ同然で住める物件の宝庫です。また、基本的に手数料や更新料なども発生しないという更なるメリットもあります。持ち家の場合は家賃の心配は要らず、定期的にかかる費用は固定資産税のみです。
空き家の活用に力を入れている自治体の中には、補助金や助成金を用意しているところも多く、これらを活用することで入居にかかわる初期費用も抑えられます。
とにかく住居費を節約したい!と考えている人に、空き家移住はピッタリです!
※空き家バンク制度や補助金・助成金制度については、「空き家移住で利用できる補助金・支援金、サービス3選」で解説しています。
広い土地と居住空間を使用できる
家や居住空間が広いのも空き家の利点です。土地の広い田舎では一軒あたりの敷地面積が大きく、庭や駐車場を含め広い居住スペースが手に入ります。しかも、広さの割に都会では考えられない破格の家賃・購入費で住めるのも、地方ならではの魅力です。東京都心の1LDKの賃貸物件はおよそ10~15万円ですが、農村や山間部ではたったの数万円で3LDK以上の広さの空き家を見つけることも難しくありません。
広い家ならスペースを気にせずに家具や車が購入でき、一部を子ども部屋や書斎に充てることだって可能です。持ち家の場合は、押し入れをクローゼットに改造したり、庭にテラスを造ったりと、家も庭もリフォームし放題なのが嬉しいですね!
また、隣家との距離も離れているため、騒音や敷地の境界線などのご近所トラブルが発生しにくいのも空き家移住のメリットと言えます。
今住んでいる住居が手狭だと感じている人は、田舎の空き家に住むことも視野に入れてみてはいかがでしょうか?
社会問題に貢献できる
空き家に住むことで利点が得られるのは、何も移住する当人だけではありません。地域の過疎化と少子化に伴い、増え続ける空き家は今や深刻な社会問題となっています。そんな中、空き家移住は過疎化と空き家問題の両方を一気に解決する効率的な手段です。
住んでいないにも関わらず維持費がかさむ空き家は、所有者にとってはもはや「負動産」でしかありません。しかし、住人となれば空き家問題の解消と同時に、過疎化が進む地域の活性化への貢献ともなるのです。実際に、空き家をリノベーションした古民家カフェやレンタルスペースなどのビジネスを始めたことで、地域に活気が戻ったという事例も報告されています。
自分だけでなく周りにも好影響を与えられるのは、何とも気持ちがいいものですね!
空き家移住のデメリット3選
安くて広い住居が手に入る空き家移住ですが、良い面と悪い面は表裏一体です。空き家移住のデメリットもしっかりと理解し、後悔のない移住を実現させましょう!
間取りや設備が古臭く感じることがある
マンションや共同住宅とは異なり、地方の空き家の中には築50年以上の物件も多数見られます。そのため、人によっては間取りや設備が古く使いにくいと感じるかもしれません。
例えば、戦後間もない頃の日本では、寝室・居間・食事をする部屋がそれぞれ分かれた2DKに近い間取りが主流でしたが、現代では「〇LDK」に表されるように、食事室と居間を合わせた「リビングダイニングキッチン」が一般的です。
また、コンセントの数が少ない・冷暖房設備がうまく機能しない・トイレが水洗式でないなど、設備が古いとストレスになってしまいます。
空き家移住を検討する際は、物件の外観や内装が想像と大きく異なる可能性もあることを理解しておきましょう。
ただし、リノベーションをすれば間取りと設備の問題は解決します。費用はかかかりますが、ベースが安く済んでいる分リノベーションにしっかりと費用が掛けられ、自分好みの空間にカスタマイズできるのはメリットでもありますね。
住むためには改修が必要な物件がある
格安で賃借・購入ができる一方で、老朽化のためリノベーション費用がかかることもあります。そもそも空き家は何年、何十年も放置されている物件なので、住む場合は家屋の修繕を前提として考えておいた方がいいでしょう。
家全体の傾き・屋根や畳の張り替え・水回りの整備・庭の草取り……に百万円単位の費用がかかるケースも少なくありません。住居費を浮かせるつもりが、逆にとんでもない修繕費がかかってしまった!ということにならないよう、できれば現地に行って確認するなど、しっかりと下調べをしておきたいものです。
広すぎる物件はランニングコストが高くなる
何部屋もある広い間取りが魅力的な空き家ですが、広すぎると今度はランニングコストの問題が発生します。
例えば冷暖房費です。空き家に多い一般的な日本家屋は、夏の蒸し暑さを和らげるため通気性を高めた造りになっていますが、その分冬には弱いという難点があります。そして、いくら通気性が良くても、さすがに近年の猛暑ではエアコンが不可欠です。広い屋内で冷暖房を一日中利用するとどうしても光熱費がかさんでしまいますね。
また、古く広い空き家には常にどこかしらにガタが見られます。一か所修繕が終わったと思ったら次は別の場所……!と、リノベーションまでは行かなくとも定期的なメンテナンスが必要不可欠です。
空き家探しのポイント5選
自分の希望に合った空き家を探すためには、情報収集がカギとなります。ここでは、空き家探しのコツや注意点を紹介しているので、参考にして効率よく空き家を探してみましょう!
リフォーム・改修費込みで予算を設定する
空き家自体が安くても、修繕費や維持費により予想以上に割高になるケースも考えられます。また、何年も空き家になったまま低価格で売り出されている場合は、何かしらのネガティブ要因があると考えておいた方が身のためです。修繕費や維持費までを含めた空き家の賃借・購入を検討しましょう。
交通アクセスやお店など日常生活に困らない施設があるか確認する
新天地に長く住むつもりなら、その土地環境のチェックも忘れてはいけません。
空き家の多い田舎は、交通機関が発達していなかったり周囲にコンビニやスーパーがなかったりと、都会と比較すると不便です。車が無くても利用できる商業施設はあるのか、最寄りの病院や役所はどこか、また災害対策はされているのかなど、生活に適しているかどうかをしっかりと確認しておくといいでしょう。
検討中の移住先に短期で住んでみる
その物件・地域が自分に合っているかどうかは、ネットの情報や口コミだけでは伝わりにくいものです。可能なら、検討中の移住先に一度住んでみることをおすすめします。
自治体によっては数日~数か月の短期移住制度を取り入れているので、ぜひ活用してみてください!実際に住んでみて初めてわかることも多いでしょう。実体験があれば、移住後に後悔する可能性を減らせますね。
※「空き家移住で利用できる補助金・支援金、サービス3選」で、「移住お試し住宅」についても解説しています。
地域のルールを確認する
「郷に入っては郷に従え」の諺が示すように、移住先ではその地域のルールを尊重しましょう。田舎では人間関係が密接で、自治会や消防団には加入が前提、結婚式などのイベントへも全員参加などという地域も多く残っています。人付き合いが面倒な人にとってはハードルが高いかもしれませんが、良好な人間関係を構築しておけば困った時にお互いに助け合え、耳より情報が手に入ることもあります。積極的に地域のコミュニティに入り込んでみましょう!
移住styleに相談する
移住計画を全て自力でやろうと思うと、時間も労力もかかってしまいます。多忙の中情報を集めるのは骨が折れるでしょう。そんな時は、専門家に相談してみるのも手っ取り早い手段です。
「移住style」は、「暮らし方から見つけるすまい」をテーマに、ひとりひとりのライフスタイルに合った移住情報はもちろん、おすすめの物件情報まで取り揃えています。
便利な無料LINE相談窓口も用意しているので、「何から始めたらいいのかわからない!」という方はぜひお気軽に相談してみてくださいね!
空き家移住で利用できる補助金・支援金、サービス3選
空き家への入居者の募集は年々増しており、空き家移住に特化したサービスや補助金なども多く見られるようになりました。積極的に活用することで、移住がスムーズになりますよ!
※自治体によっては利用できない可能性もあることをご了承ください。
空き家バンク
空き家バンクを一言で説明すると、空き家の売り手(貸し手)と買い手(借り手)の仲介サービスです。基本的に各自治体が運営・仲介者となり、登録者同士を引き合わせます。
空き家問題の解決を図る売り手(貸し手)と住居費を抑えたい買い手(借り手)の両方がWin-Winの関係になれる空き家バンクは非常に合理的なシステムで、コロナ禍により注目されるようになりました。
各自治体の他に、国土交通省でも「全国版空き家・空き地バンク」の情報を発信しています。
物件数が限られていたり、古い情報が放置されていたりすることもあるので、物件選びは慎重に行いましょう。
空き家リフォーム補助金
空き家バンクを通して物件を賃借・購入すると、地方自治体から移住支援金やリフォーム補助金が支給される場合があります。支給を受けるには自治体ごとのさまざまな条件を満たす必要がありますが、うまく活用すれば移住後にかかる初期費用に回すことができるため、有益な制度です。
下記リンクで空き家リフォーム補助金の実例を紹介しているので、参考にしてみてください。
参照:移住style – リフォームの補助金を実例とともに紹介!申請の注意点も解説
移住お試し住宅
自治体によっては、検討中の移住先に短期滞在できる「お試し移住」「お試し住宅」などの制度を取り入れている所もあります。
興味のある地域に実際に住んで文化や生活環境を体感すれば、自分に合っているかどうかの判断がしやすくなるでしょう。移住してから後悔することのないよう、可能な限り利用してみることをおすすめします。
お試し移住やお試し住宅についてもっと知りたい方は、下記のリンクを参考にしてみてください。
参照:移住style – お試し移住の体験は必要?5つの魅力と気になる疑問を解決!
参照:移住style – 移住体験とは?お試し移住できるツアーの種類やおすすめの地域を紹介
参照:移住style – 【宮崎県】都城市へ移住!最大300万円の移住支援金をゲットして宮崎牛を堪能しよう!物価の安さも魅力!
参照:移住style – 【長野県】アルプスと桜の町・伊那市は、実は隠れた移住先進都市だった⁈
空き家移住には魅力ある移住先がいっぱい!魅力を把握し移住を検討しよう
空き家に住めば、住居費を抑えられるだけでなく地域の活性化にも繋がります。修繕工事が必要になるケースもありますが、各自治体の補助金制度などを利用すればコストを抑えることが可能です。自分好みの外観や内装にリフォームすれば、生活が楽しくなるでしょう。
静かな田舎でゆとりのある暮らしがしたいのなら、この記事を参考にぜひ「空き家移住」を実践してみてください!
※内容は2023年8月執筆時のものです。