暮らしの拠点そのものを地方に移す地方移住には、住居費用や引越し費用などがかかります。ただし、それなりの資金が必要なことはわかっていても、具体的に「何に」「どのくらい」かかるかは意外と知られていません。地方移住をしてみたいけれど、予算がどのくらいかかるかわからないという理由で躊躇している方も多いのではないでしょうか?
そこでこの記事では、移住予算の内訳や目安の金額をはじめ、費用を抑える方法についても紹介します。移住にかかる具体的な予算をイメージしておくことで、移住計画が立てやすくなりますよ!
基本的な移住予算の内訳と目安の金額
まずは、移住にかかる主な費用の内訳から見ていきましょう。
住居費用
まず必要なのが「住居費用」です。賃貸の場合は、家賃のほかに敷金や礼金などの初期費用もかかることを想定しておきましょう。
各都市の1LDK~2DK、また3LDKの家賃相場は以下の通りです。
【各都市の家賃相場】
1LDK~2DK | 3LDK | |
東京都世田谷区 | 約15万円 | 約26万円 |
静岡県静岡市中区 | 約7万円 | 約13万円 |
岡山県岡山市中区 | 約6万円 | 約8万円 |
宮崎県宮崎市 | 約5万円 | 約7万円 |
また、家賃のほかにかかる初期費用を一覧にすると次のようになります。
※地域により金額の増減やかからない項目もあるので注意しましょう。
【賃貸物件にかかる初期費用】
初月に必要な金額の目安 | 家賃10万円の場合にかかる金額 | |
敷金 | 家賃2か月分 | 20万円 |
礼金 | 家賃2か月分 | 20万円 |
仲介手数料 | 家賃1か月分 | 10万円 |
家賃 | 1~2か月分 | 10~20万円 |
火災保険料 | 1~2万円 | 1~2万円 |
合計:60~80万円程度 |
古民家などの中古物件を購入する場合は、購入費用のほかリフォーム代がかかることも考慮しておきましょう。
引越し費用
新居が決まったら、次は現在の住居からの引越しが必要です。引越し業者を手配する場合の料金は主に「移動距離」、「荷物の量」、「引越し時期」で決まります。ここでは、3人家族と5人家族の引越し費用の目安を取り上げました。
【人数別引越し費用の目安】
移動距離 | 3人家族(通常期) | 3人家族(繁忙期) | 5人家族(通常期) | 5人家族(繁忙期) |
~200km未満 (同一地方程度) |
11万円 | 14万円 | 19万円 | 25万円 |
~500km未満 (近隣地方程度) |
15万円 | 20万円 | 23万円 | 33万円 |
500km以上 (遠距離地方程度) |
20万円 | 28万円 | 34万円 | 39万円 |
参照:SUUMOー家族(3人・4人・5人)引越しの料金・費用相場
引っ越し費用は時期や曜日によって変動するのが特徴です。週末や祝日は高く、繁忙期の2月~4月が最高値となります。費用を抑えたいのであれば繁忙期は避け、できる限り平日に引越しを行うのが良いでしょう。
家具等購入費用
家具や家電は家族構成やライフスタイルによって異なりますが、ベッドやマットレス、ソファ、カーテン、ダイニングテーブルなどの家具を購入すると少なくとも50万円ほどかかります。このほか冷蔵庫、洗濯機、電子レンジなどの家電も揃えるのであれば、さらに50万円程度は用意しておいた方が無難です。
別途用意しておきたい予算の内訳と目安の金額
最低限準備すべき予算がわかったら、今度は住む地域やその時の状況など、場合によって必要になる費用にも注目しましょう。
住宅リフォーム費用
新居がアパートやマンションなら問題ありませんが、長年住み手が不在だった中古住宅や古民家を賃借・購入する場合はリフォーム費用がかかることがあります。家全体の傾き、屋根や畳の張り替え、水回りの整備、古い間取りの変更などに百万円単位の費用がかかるケースも少なくありません。
できれば現地に行って物件の状態を確認しておきましょう。また、自治体によってはリフォーム補助金を助成しているので必ずチェックしてみてください。
車購入費用
都会とは一変し、地方では車は必需品となります。購入費はもちろん、ガソリン代、保険、税金、車検代、駐車場代、メンテナンス費用などを踏まえると、中古車の購入でも100~200万円程度はかかると考えておいた方が良いでしょう。
地方では車の利用頻度が増え、ガソリン代も都会より割高です。自動車関連費は十分に見積もっておきましょう!
当面の生活費用
食費や水道光熱費、通信費、日用品代、税金、保険料など、当面の生活費も用意しておくと安心です。総務省の家計調査報告(2022年度)によると、1ヶ月当たりの消費支出金額は、2人以上の世帯で平均290,865円となっています。家族構成やライフスタイルにもよりますが、家族で移住する場合は30~35万円程度(1か月あたり)×3~6か月分をしっかりと貯金しておきましょう。
移住にかかるお金の抑え方
「予想以上にお金がかかるな……」と思った方、ご安心を!ここでは移住費用を抑える方法を解説しています。これ以外にも各自治体の支援制度も合わせてチェックし、移住後の不安を無くしましょう!
移住支援を利用する
移住成功の大きなカギは、国や自治体の移住支援制度を利用することです。
国は地方活性化のために2015年から地方創生事業を行っており、移住支援制度として該当者に「移住支援金」や「起業支援金」を交付しています。
一方、各自治体では独自の移住支援制度を設けているケースが多く、空き家バンク、住宅関連の補助金、子育て支援金など多様な制度が利用可能です。賢く利用すれば移住への負担が格段に軽くなるので、気になる自治体があればホームページを必ずチェックしてみてください!
リフォームはDIYをする
リフォームが必要な場合はDIYに挑戦してみましょう!業者に依頼すると数百万円以上~数千万円かかるケースが多いですが、DIYであれば費用を抑えられるほか、自分好みの空間に改築できる、自分のペースでリフォームを進められるなどのメリットも得られます。
ただし、家屋全体がDIYできるわけではありません。屋根や外装、水回りや電気設備周りなどの専門知識や資格を必要とする箇所については、必ずプロに任せましょう。
維持費の安い車を購入する
自動車は家計を圧迫する大きな要因となるため、維持費を見直してみましょう。例えば、エコカー減税対象車を選べば自動車税が安くなるうえ、燃費がいいのでガソリン代の節約にもなります。また、ネット保険へ移行するなど任意保険を見直すことで毎月の保険料も節約可能です。
計画的に予算を組んで移住を検討しよう
地方移住を成功させるカギは、予算を把握しているかどうかです。意外と知られていない地方移住の費用ですが、この記事を参考に予算をシュミレーションしてみてはいかがでしょうか?新たにかかる費用・抑えられる費用をイメージし、移住を成功させましょう!
※内容は2023年10月執筆時のものです。