「住むなら埼玉」のキャッチフレーズとともに、秩父や飯能などその土地ならではの魅力を活かした移住支援を各自治体が積極的に行っています。西武線・東武線直通の東京メトロ副都心線を利用すれば、池袋、新宿、渋谷、横浜までのアクセスも良好なため、東京のベッドタウンとして人気です。
東京で働きながら自然の多い土地に移住を検討している人にとっては、埼玉県は魅力的に映るでしょう。しかし、「本当に住みやすいか」は実際に住んでみないとわからないものです。
この記事では、埼玉県への移住に興味がある方に向けて、移住先としておすすめな地域や住環境、移住支援制度について解説します。
尚、埼玉県公式チャンネル(YouTube)で公開中の「埼玉物語」は1話から12話までの短編ストーリーになっており、移住決断からその後の暮らしまでをポップに描いてます。興味ある方は視聴してみてください。
埼玉に移住するメリット
埼玉への移住にはどのようなメリットがあるのか解説します。
交通網が発展しており、移動に便利
埼玉県は電車路線が発達しており、埼京線や上野東北ライン、東武線などのJR線と地下鉄が通っています。そのため、県内での移動や都内へのアクセスにとても便利です。また、さいたま市や川口市、和光市など東京近郊の都市の駅では、10分に数本単位で電車が到着するので待ち時間にもストレスを感じません。
一方、北部に行くほど電車の本数は少なくなります。例えば、飯能駅では急行が1時間に4本、西武秩父駅では1時間に2本ほどしか到着しません。また、鶴ヶ島市やときがわ町など埼玉の西部地域は交通網があまり発達していないため、車がないと移動が不便になります。
都心に比べ家賃が安い
埼玉は東京都内と比較して家賃が安いです。例えば、suumo.jpの調査によると池袋駅周辺の家賃相場は1DKで月11.2万円ですが、埼玉県内一の繁華街である大宮駅周辺でも月8.3万円/で収まります。
その他の地域でも家賃は1DKで月6万円、3LDKでも月8〜10万円代となっており、都内では2〜3LDKになると月15万円以上もかかることを考えるとリーズナブルな家賃相場と言えます。しかし、浦和駅周辺は、3LDKが月12.9万円するなど、東京23区内と変わらないエリアもあります。
都内に住んでいて家族が増えたり、テレワーク用の部屋が欲しくなったりした場合、広い家に住める埼玉県での暮らしを考える人も多いでしょう。また、埼玉県の各自治体では、空き家を有効利用するため、空き家を売りたい・貸したい人と空き家を買いたい・借りたい人をつなぐ「空き家バンク」を運営しています。一軒家を検討する人にとっては“お宝物件”に巡り会う可能性もあるため、気になる方はチェックしてみてください。
参考:池袋駅(東京都)の賃貸マンション家賃相場・賃料相場情報/池袋駅
参考:大宮駅(埼玉県)の賃貸マンション家賃相場・賃料相場情報
参考:埼玉県の家賃相場・賃料相場情報を探す
商業施設が充実しており、生活に困らない
商業施設が充実していることも、埼玉県の魅力です。
中心街の大宮は立川や吉祥寺と並ぶ規模の繁華街であり、レストランやショッピングモールなどの施設が数多くあります。特に、イオンレイクタウンやららぽーと富士見など郊外のショッピングモールは規模が大きく、広い店内に様々な商業施設が入っているのが特徴です。
また、イオンやベルクなどの スーパーやコンビニが県内の至る所に点在しています。そのため、埼玉県では日常生活に困ることはないでしょう。
都会と自然の両方を楽しめる
埼玉では都会と自然の両方を楽しめます。先ほど触れたように、埼玉県には大宮に大規模な繁華街があり、より多くの商業施設がある東京へもすぐにアクセスできます。その一方、埼玉県西部は関東山地が広がっているため、アウトドアやアクティビティを楽しむことが可能です。
北部の秩父周辺には、蝋梅で有名な「宝登山」や秩父のシンボル「武甲山」などの山々があり、登山やハイキングスポットとして人気です。近年ブームとなっているキャンプ場も複数あり、東京からも多くの人が訪れます。また、さいたま市や川口市にも大宮公園や戸田公園など緑豊かな大きな公園があり、都会的な地域でもすぐ自然にふれられます。
埼玉移住のデメリット
埼玉での生活にはデメリットもあるので、しっかり把握しておきましょう。
通勤電車が混む
東京への通勤電車は非常に混雑します。特に都心にアクセスするJR埼京線と京浜東北線はいずれも混雑率は180%超と、東京圏の平均混雑率163%を大きく超えており、身動きすら取れない日もあるでしょう。
また、埼京線と京浜東北線は電車が遅延することも多く、平日20日うち18日は遅延証明書が発行されているという調査結果があります。
参考:東京圏で混雑率180%超の路線が12路線から11路線へ~都市鉄道の混雑率調査結果を公表します~/国土交通省
参考:東京圏の鉄道路線の遅延「見える化」(平成30年度)/国土交通省
熊谷など一部の地域は夏が暑く、過ごしにくい
埼玉県では、都市部の温度が上がるヒートアイランド現象と北部の山間部からの風により高温がもたらされるフェーン現象が起こる日が多く、一部の地域では夏がとても暑くなります。
8月には40℃に近づく日もあり、例えば、熊谷では2018年に41.1℃を記録しました。
暑さが苦手に弱い人にとっては、過ごしにくい環境であると言えるでしょう。
埼玉県内のおすすめ地域
ここでは埼玉県内のおすすめの移住先を4つ紹介します。
①県内屈指の文教地区「浦和駅周辺」
浦和駅周辺は県内屈指の文教地区であり、教育に力を入れたい人におすすめです。浦和高校や浦和第一高校、常盤小・中学校など有名進学校が多数あり、隣の南浦和駅周辺は塾の密集地となっているなど、教育施設が整っていることが特徴です。
浦和駅周辺は風俗店営業が禁止されており、落ち着いた住宅街が多くあるため、子どもを育てるのには最適な地域です。
②県内最大の繁華街「大宮駅周辺」
大宮駅周辺は県内最大の繁華街で都会の賑わいを感じられる地域です。駅前に大宮アルシェやマルイ、そごうなどショッピングセンターが多数立地する他、商店街には飲食店や映画館などの商業施設があるため、娯楽を思う存分楽しめます。
また、大宮駅は県内最大のターミナルで、埼京線や上野東京ラインで都内に30分前後で出られます。また、新幹線も通っているため、遠出の際もとても便利です。埼玉県の中でも都会的な生活を送りたいという方には、大宮駅は住みやすい街と言えるでしょう。
③始発で座れるターミナル「和光市駅周辺」
和光市駅は地下鉄有楽町線や副都心線の終点で、始発で座りながら通勤することができます。池袋まで14分と都内へのアクセスも非常に良好です。
駅周辺は閑静な住宅街ですが、湧き水が豊富な場所として知られており、白子川周辺では湧き水が流れるのどかな風景を楽しめます。また、スーパーマーケットが多くあり、日々の買い物に困ることもありません。
大宮や浦和のような繁華街ではなく、落ち着いた住環境に住みながら、毎朝快適に通勤したい方におすすめです。
④ファミリー向けのベッドタウン「越谷レイクタウン」
越谷市にある越谷レイクタウンは、日本最大の広さのショッピングセンター「イオンレイクタウン」を中心に発展したニュータウンです。駅周辺は自然が多くのどかで、ファミリー層に人気の住宅街が広がっています。駅から離れると、まだまだ開発されてない里山が残る地域が多く、ハイキングやキャンプなどのアクティビティを楽しめます。
加えて、イオンレイクタウンには様々な商業施設があるため、食料や日用品などの生活に必要な物品はすべて揃う上に、休日にはショッピングなどの娯楽も楽しめます。都会の喧噪から離れてのびのびと子どもを育てたい方や自然に触れて過ごしたい方におすすめの地域です。
⑤関東で田舎暮らしを楽しめる「秩父地方」
埼玉県の北西部にあり、山に囲まれた秩父地方は、自然豊かでありつつ都会へのアクセスが良好な街です。池袋まで約1時間半で行けるので、平日は都心に通勤し、週末は登山や釣り、ラフティングなどのアウトドアやマリンスポーツを楽しむ生活も可能です。移住支援制度も充実しており、若者移住者(IJUターン)就職奨励金や軽自動車購入費助成金があるので、引っ越し費用が節約可能です。他にも、秩父市出産祝金や乳児おむつ購入費助成制度もあるので、子育て世帯や、今後子どもを持ちたい方にもおすすめです。
詳しくは、秩父地方の移住について解説した下記記事をご覧ください。
【埼玉】秩父へ移住する魅力とは?秩父にある地域ごとの特徴や移住お役立ちサイトを紹介
⑥渋沢栄一誕生の地で注目を集める「深谷市」
埼玉県北部に位置する深谷市は、特産品「深谷ねぎ」の産地である農業がさかんな街です。JR熊谷駅で新幹線に乗り換えれば、都心まで約1時間で行けるので、通勤も可能です。新幹線の定期券購入費用の一部を助成する遠距離通勤支援制度があるので、新幹線通勤を予定している方は利用すると良いでしょう。また、移住支援制度も充実しており、引越費用の1/2(上限10万円)や、テレワークスペースに係る物品購入費の1/2(上限10万円)が補助される制度があるので、引っ越し費用を節約したい方やテレワークを予定している方にもおすすめの街です。
詳しくは、深谷市の移住について解説した下記記事をご覧ください。
【埼玉県】渋沢栄一生誕の地・深谷市へ移住しよう!話題の手厚い移住支援や魅力を徹底解説!
⑦池袋まで約20分でアクセス可能「所沢市」
埼玉県西部に位置する所沢市は、商業施設や商店街がある生活に便利な街です。池袋駅まで約20分で行ける便利さがありつつ、市内の家賃相場は部屋によっては5〜6万円台と、都心と比較して低コストで生活可能です。また市内には、サイクリングスポットとして人気な狭山湖や、夏になるとプールも楽しめる西武遊園地があるので、アウトドア好きの方や子育て世帯にもおすすめの街です。
埼玉の子育て環境と仕事環境
埼玉の子育て環境と仕事環境を解説します。
子育て環境は地域によって差がある
埼玉の子育て・教育環境は、地域によってかなり差があります。
県庁所在地のさいたま市は子育ての環境を整えており、「全国学力・学習状況調査」でも全国トップレベルの結果を出しています。一方、人口あたりの犯罪率が10%近い蕨市や、風俗営業に関する施設が多い西川口など、あまり子育てに向かない土地もあります。
地域によって、子育て・教育環境の差が非常に激しいため、興味がある土地についてはしっかり調べておきましょう。
参考:データから見るさいたま市の特長
参考:教育に力を入れているまち/さいたま市公式ホームページ
参考:市区町村別認知件数・犯罪率(令和2年中)・確定値/埼玉県警察
仕事環境は東京が中心
埼玉の仕事環境についても説明します。ここでは雇用状況と平均所得について紹介します。
雇用状況
埼玉県は東京近郊ということもあり、都内に就職する方が非常に多いです。2021年度の県内就職率は65%しかなく全都道府県で最下位でした。そのため県内での有効求人倍率も低く、2021年度は0.89%前後と全国ワースト2位です。埼玉に移住する際は都内で就職先を探すことが一般的でしょう。
ただ、近年はリモートワークが普及し始めているため、県内や都内以外の地域にある企業に勤めながら働く人も増えています。
参考:統計で見る都道府県のすがた2021
参考:職業紹介-都道府県別有効求人倍率/独立行政法人 労働政策研究・研修機構
また、埼玉県に住む会社員の平均月収は2020年度の調査によると約30万1500円で、47都道府県中8位でした。
埼玉県の会社員の月収が高いのは、東京のベッドタウンとして一定以上の収入がある人が住んでいることが背景にあると思われます。
参考:賃金構造基本統計調査
埼玉の移住支援制度
埼玉への移住で使える支援制度を紹介します。移住を検討している方は使ってみましょう。
移住支援金
東京23区から埼玉県の対象地域に移住する場合、単身の方は60万円、世帯持ちの方は100万円の移住支援金を受け取ることができます。
対象地域は、
- 秩父市
- 飯能市
- 本庄市
- ときがわ町
- 横瀬町
- 皆野町
- 小鹿野町
- 東秩父村
- 神川町
の9市町村でいずれも埼玉県の北部にある自治体です。
また、移住支援金を受け取るには以下の条件を満たす必要があります。
・東京圏に通算5年以上在住していること
・東京圏に連続1年以上在住していること
・通算5年、連続1年以上23区内への通勤をしていること
・対象地域の中小企業に就職、移住前からの業務をテレワークで継続、対象地域で起業。市町村から関係人口と認められるの4つのうち、いずれか一つを満たすこと
参考:移住支援金制度のお知らせ(移住就業等支援金支給事業)
/埼玉県
空き家バンク
空き家バンクは地域内の空き家を借りられる、または購入できるサービスです。一般的な住宅に比べて賃貸料・購入料が安いため、住宅にかける費用を抑えることができます。物件を安く手に入れたい方は、空き家バンクを検討してみましょう。
ただし、下記の市町村では物件は提供されていないので、注意が必要です。
- さいたま市
- 川口市
- 和光市
- 狭山市
- 所沢市
- 蕨市
- 三芳町
- 久喜市
- 吉見市
- 滑川町
参考:市町村空き家バンク
多子世帯向け住宅取得等支援制度
埼玉県では、多子世帯が中古住宅を購入する場合、最大50万円の補助金を受け取ることができます。
多子世帯とは、下の条件を満たす世帯のことを指します。
・子どもが3人以上の世帯(母子手帳の交付を受けている出産予定の子どもも含む)
・子どもが2人以上の世帯で夫婦ともに40歳未満で3人目の子どもを希望する世帯(母子手帳の交付を受けている出産予定の子どもは含まない)
募集は毎年行われているため、子どもが複数人いる方は埼玉県の公式ホームページを確認しておきましょう。
参考:令和3年度埼玉県多子世帯向け中古住宅取得支援事業のご案内/埼玉県
都会と田舎を両方味わえる、埼玉への移住を検討しよう
埼玉は都会と田舎の両方の特徴を持った過ごしやすい地域です。
大宮のような娯楽を楽しめる繁華街があり、スーパーやコンビニなどの生活に必要な施設も数多く点在するため、生活に困ることはないでしょう。また、北部や西部は木々が豊かな地域が多く、自然を感じながら過ごせます。
一方、東京圏内ゆえ通勤電車は混雑し、熊谷などの一部地域では夏に気温が高くなる日が多く、暑さが苦手な人にとっては少し過ごしづらいかもしれません。
埼玉への移住を検討する方は、まずは現地を訪れて自分に合うかどうかを確かめてみましょう。