新築と比較すると中古物件購入は低予算で購入でき、予算に余裕ができた分をリフォームに回すことができます。リフォームする箇所はそれぞれの希望によって異なってきますが、この記事では、洗面台のリフォームについて注意点や費用の相場、リフォームをスムーズに進めるためのステップについて解説します。
中古物件の洗面台をリフォームする基準
まずは中古物件の洗面台リフォームを検討する際の判断基準になる点をいくつか解説します。
耐用年数
一般的に洗面台の耐用年数は10〜20年といわれています。中古物件の築年数などを参考に耐用年数を過ぎていないかを確認してみてください。
ひび割れや水漏れ
洗面台として機能することがまず大切です。ひび割れや水漏れがないかを確認してみてください。
汚れ
洗面台は洗顔や手洗いを行う衛生的な場所です。気になる汚れがないかの確認も必要です。
デザイン
洗面台は毎日使うものであるため自分の好みに合ったものを使用したいものです。デザインや見た目の面も確認しておきたいポイントです。
家族構成など
小さな子ども、お年寄り、車椅子の方がいる、または家族の人数や家族の身長などにより現在設置されている洗面台に不便を感じる場合もリフォームを考えるポイントになります。
生活スタイル
洗面台で化粧をする場合、収納が多くあったほうがいいですよね。また洗面台で洗髪をする場合は洗面ボールが大きいことや蛇口がシャワーになれば嬉しいでしょう。このように生活スタイルに合った洗面台であるかどうかもリフォームを考えるポイントです。
洗面台リフォーム時の注意点
洗面所をリフォームする際、製品紹介ページやカタログを見ているとどうしてもデザインなど見た目に注意がいきがちです。ここでは、リフォームに失敗しないために、最低限確認してほしいことについて解説します。
洗面台設置スペースのサイズをしっかりと確認する
リフォームの場合は、元々設置してある洗面台と同じサイズにする場合が多いでしょう。ただ洗面所の広さに余裕があれば洗面台のサイズを大きくすることもできるかもしれません。家族が多く、一度に複数人で使用できるようにしたい場合は、洗面所の大きさによっては洗面台のサイズを大きくすることを検討してもいいでしょう。
元々ある洗面台と同じサイズにする場合もサイズを変更する場合も、洗面台の設置スペースのサイズはしっかりと確認し、購入してからスペースが足りなかったということがないようにしましょう。
給排水管への配管状況、電源の取り回しはどうなっているか
リフォームの場合、現在の給排水管の配管状況を変えずに洗面台の交換を行うことが一般的です。希望の洗面台が現在の給排水管の配管状況に合っているのかを確認しましょう。もしも異なる洗面台を選んだ場合は、別途給排水管の工事をする必要があるので注意が必要です。自分で確認が難しい場合は、リフォーム業者に確認をお願いしましょう。
また、洗面所はドライヤーや電動歯ブラシ、髭剃りの充電など身支度も含め、電源を多く使用する場所です。洗面台についている電源の数の確認や、洗面台の配置場所によって洗面所にある電源が隠れないかなど電源の位置の確認も必要です。洗面台をこれまでと異なる位置に配置する場合や洗面台のサイズを変える場合は特に気をつけましょう。
生活スタイルに合った洗面台であるか
洗面台はデザインやサイズも重要ですが、生活スタイルに合ったものかどうかの確認が必要です。生活スタイルに合わないものを選んでしまうと、使いにくくストレスを感じてしまうかもしれません。自分や家族の生活に合わせた機能を持っているものを選びましょう。
洗髪や手洗いでの洗濯が多い場合は、大きくて深い洗面ボウルが向いており、掃除をする時間があまりとれない場合は手入れがしやすい排水口になっているものを選ぶといいでしょう。
洗面所でメイクをする方の場合には照明が明るく、化粧品を入れる収納に優れていると使い勝手も収納面でも納得のいく仕上がりになりそうです。洗面台で何をするのかを考えることが大切です。
洗面台リフォームの相場
リフォームを行う際に気になるのはやはり費用面ではないでしょうか。ここではリフォームの費用相場について説明します。
費用の内訳
相場を見る前に、リフォームにはどんな費用が掛かるのか、費用の内訳について説明します。
費用は「洗面台本体の費用」と「工事費用」の2つに分かれます。まずは「洗面台本体の費用」。機能やデザインなどにより価格差がありますので、リフォーム費用に影響します。次に「工事費用」です。工事費用には「洗面台設置費用」、「内装費用」、「給排水管の移設などのその他の費用」に分かれます。
「洗面台設置費用」には工事の前の搬入時に家を傷付けないための養生費用、もともとの洗面台の解体や廃棄にかかる費用、配管の接続費用、新しい洗面台の組み立て費用になります。洗面台設置費用は洗面台のみの交換であっても必要となってくる費用です。
「内装費用」は、洗面台が前のものよりサイズがコンパクトになって壁の汚れが目立つなど内装が必須の場合や、リフォームの際におしゃれにしたい、雰囲気を変えたいなどの場合に壁のクロスを張り替える等の費用です。
「給排水管の移設などのその他の費用」は、現在の洗面台が使い勝手の悪い位置にあるなど洗面台の位置を変えたい場合には給排水管の移設の工事をする必要があり、その作業にかかる費用です。位置を変更することで同じ位置に洗面台を設置するより費用は高くなります。
大手メーカーの相場
ここでは主要大手メーカーであるTOTO、Panasonic、LIXILについて各社のホームページに掲載されている相場を紹介します。
まず、TOTOです。TOTOでは価格帯が30万円以下、30~70万円以下、70~100万円以下、100~150万円以下、150~200万円以下、200万円以上と分かれており、30~70万円以下の価格帯が最も多く、僅差で30万円以下となっています。
参考:TOTO 洗面所(洗面化粧台・洗面台)リフォーム実例の費用相場
Panasonicでは価格帯が20万円以下、21~40万円、41~60万円、61~80万円、81~100万円、101~120万円、121万円以上と分かれており、21~40万円の価格帯が最も多く、次いで61~80万円が高くなっています。20万円以下の件数は僅かでした。
参考:Panasonic 洗面所のリフォーム費用の相場・目安
LIXILでは価格帯が50万円未満、50~100万円未満、100~150万円未満、150~200万円未満、200万円以上と分かれており、50万円未満と50~100万円未満の価格帯がほぼ同じ多さで、グラフからは100万円未満でほぼ8割を占めると読み取れます。
これらを見ると60万円、70万円以上の費用をかける案件がある一方、TOTOで30万円以下、Panasonicで40万円以下の案件も多いため、相場は30~40万円以下と、60万、70万円以上の2つの価格帯に分かれているということができるでしょう。
一般的な相場
ここではリフォーム関連のサイトに掲載されている相場から、一般的な相場についてみていきましょう。
リフォーム関連のいくつかのサイトを見ると、大手メーカーの価格帯には出てこなかった10万円以下というリフォーム費用が出てきます。10万円以下が30%弱、30万円以下でほぼ8割となっています。大手メーカーでは1つの相場が30万、40万円以下であることを考えると、高価な洗面台の購入や大きな内装工事をしない一般的な洗面台リフォームは、30万円以下が相場ということができるでしょう。
洗面台のリフォーム費用を抑えるには
リフォーム費用はできれば安く抑えたいものです。ここでは洗面台リフォーム費用を安く抑えるためのポイントについて解説します。
メーカーを重視しない
洗面台のリフォームには洗面台本体の費用が直接的に関わってくるため、洗面台の費用を抑えることを最初に考えたいものです。もちろん機能やデザインなどのグレードを下げるという方法もありますが、同じグレードの洗面台でもメーカーによって価格や割引率が異なる場合がありますので、メーカーにこだわらず洗面台を選んでみるのがいいでしょう。
一緒に壁紙や床板のリフォームを行う
洗面台のリフォームは洗面台の交換だけでいいと考える人もいるかもしれません。しかし、古い洗面台を取り外すと床や壁の色が変わっていることや、新しい洗面台のサイズが古い物よりコンパクトな時は色が変わった床や壁が新しい洗面台設置後も見えてしまい、後から壁紙の床板のリフォームをしたくなることもあるでしょう。
洗面台の交換と壁紙や床板のリフォームを別々に依頼する場合と比較すると、一緒にリフォームを依頼したほうが費用の削減につながります。一緒に依頼すると一度に出費する金額が多くはなってしまいますが、長期的な視点だと得になりますので、内装を一緒に依頼することを検討してみることが大切です。
複数のメーカーに見積もりを依頼する
先ほども説明したようにリフォームに必要な費用は洗面台本体と工事費用です。工事費用はリフォーム内容によって異なってくるため、1社の見積もりだけでは安いのか高いかの判断が難しいでしょう。そこでいくつかの業者に見積もりを依頼すること(相見積もり)をおすすめします。
相見積もりを取ることで自分がやりたいリフォームの相場がわかってくるほか、見積もりを取る際の業者とのコミュニケーションから、依頼しやすいかどうかという面も判断できます。
また、工事費用を安く抑えるために地元の優良業者を選ぶこともおすすめです。直接業者に頼むので仲介手数料がかからないことで費用を抑えることができます。
洗面台リフォームをスムーズに進めるの3ステップ
では実際に洗面台リフォームはどのような順序でやっていけばいいのでしょうか。
ここではリフォームをスムーズに進める3ステップについて解説します。
洗面台のサイズを決める
まず大事なことは、洗面台のサイズを決めることです。今ある洗面台の採寸から始めましょう。採寸として必要なのは間口(幅)、高さ、奥行きの3つです。土台も測っておくと新しい洗面台のサイズがコンパクトになる時に床の張替えが必要になるのかの判断をすることができます。
カウンターの高さも測っておくといいでしょう。今の高さが使いやすいかどうかによって、新しい洗面台のカウンターの高さを検討することができます。
参考までに一般社団法人リビングアメニティ協会によると、使いやすいカウンターの高さは、155cmくらいの人には75cm、165cmくらいの人には80cm、170cmくらいの人には85cmとなっています。
洗面台のサイズに加え、洗面所の広さ(間口、高さ、奥行き)を測っておくと、今ある洗面台よりサイズを大きくできるかどうかの確認ができます。これらの情報から購入する洗面台のサイズを決めましょう。
パーツを決める
洗面台にはユニットタイプとシステムタイプ、カウンタータイプがあります。ユニットタイプは洗面ボウルと収納キャビネットが一体化されているタイプで低価格帯の商品ラインナップが充実しており、商品によっては収納キャビネット、洗面ボウルなどが、ラインナップの中から選べる場合もあります。システムタイプはセミオーダータイプ、カウンタータイプは全オーダータイプなので、扉材、水栓金具なども選ぶことができます。
セミオーダータイプや全オーダータイプの場合は、好みのパーツを選択できるため、ここでは洗面台を構成する4つのパーツ(「化粧鏡」「洗面ボウル」「水栓」「収納キャビネット」)について選択の際のポイントを解説します。ユニットタイプでもラインナップの中から収納キャビネットや洗面ボウルが選べる場合があるので、参考にしてください。
「化粧鏡」は、三面鏡か一面鏡のどちらかから選べます。三面鏡は化粧や髪の毛を整える身支度において非常に便利であり、鏡を開くと中が収納になっているのが特徴です。一面鏡は鏡の中に収納がない一方、その分鏡が前に出っ張っていないためすっきりした空間にすることができます。普段洗面台で行う身支度の内容や収納の必要性などから、化粧鏡を選択しましょう。
「洗面ボウル」は汚れが付きにくく落ちやすい素材を使用しているもの、洗濯しやすい形状や深さがあるもの、また排水口がお手入れしやすくなっているものなどがあります。濡らしたくないものを置けるドライエリアの有無の確認も大切です。洗面台ボウルは普段の使用用途に合わせて選択しましょう。
「水栓」は洗面ボウルの縁に水栓があるものと鏡の下にビルトインで取り付けられているものがあります。現在はビルトインの水栓がほとんどです。ビルトイン水栓のメリットは、洗面ボウル付近の空間を広く使え、水栓の根本に水がたまらずお手入れが簡単なことです。メーカーによってそれぞれ工夫があるので、デザイン性や機能性などをみて総合的に判断するといいでしょう。
「収納キャビネット」は「開き戸タイプ」「引き出しタイプ」「片引き出しタイプ」があります。収納キャビネットの位置は大きく分けて洗面台下と、横、上に付けられます。洗面室の広さや、収納したい物の量を考えて選びましょう。
洗面台以外のリフォーム内容を決める
壁や床板の内装など洗面台のリフォームは洗面台の交換をするだけでは終わらないことが多いでしょう。そのため、洗面台の交換以外で何をするのかの内容を決めておく必要があります。
まずは壁や床板の内装も行うのかを決め、内装をする場合は壁や床に使用するクロスなどのグレードが様々なためどれくらいの予算が取れるかも考えておく必要があるでしょう。
もう1つが収納です。洗面所には置いておくと便利なものが多く、収納場所が多いほうがいいと考えている方も多くいるでしょう。新しい洗面台の収納キャビネットでどれくらいのものが収納できるのか、それ以外の収納はどうするのか、壁に棚をつけたり、収納キャビネットを別に作るなど収納を増やすためのリフォームを今回一緒に行うのかなど、洗面台交換以外に何をしたいのかを決めておくことが大切です。
家族構成、生活スタイルに合わせた洗面台リフォームを実現しよう
洗面台は毎日使うものだからこそ、気持ちよく使いたいですよね。リフォームの注意点や洗面台の選び方を参考に、家族構成、生活スタイルに合った洗面台リフォームを実現しましょう。