近年、日本では高齢化社会による人口減少により、居住者のいない「空き家」が増えています。そんな空き家は安く購入できるケースが多く、少し改装すれば自宅や飲食店などの店舗として活用できます。新築と変わらない内装や設備が整っているケースもあり、移住先の物件としてはとても魅力的です。
しかし、空き家を購入して後悔しないようにするためには、活用方法やメリットなどについて理解を深めておくことが重要です。そこで、この記事では、空き家の活用方法やメリット・デメリット、購入の際の注意点などを紹介します。
空き家の活用方法
空き家には、自宅や賃貸、店舗・オフィス、民泊用など多様な活用方法があります。ここでは、その中でも空き家の活用方法について詳しく紹介していきます。
自宅として住む
最も一般的な活用方法が自宅として住むことです。
空き家の中にはもともと自宅として利用されていた物件が数多くあります。そのため、そういった空き家を購入すればそのまま住むことができます。また、もし壁や床などの内装の状態が悪かったとしても、リフォームを行えば新築同様のきれいな状態にすることが可能です。
改装して店舗にする
店舗として活用する方法もあります。空き家であっても内装をリフォームし、必要な設備を整えれば、喫茶店やレストランなどの店舗として利用可能です。もちろん、リフォームの仕方によっては飲食店だけでなく、オフィスや雑貨屋などの様々な形に生まれ変わります。
また、元から店舗として利用されていた空き家を活用すれば、改装なしで飲食店やオフィスなどに利用できるケースも少なくありません。
空き家を活用するメリット
空き家は自宅や店舗として活用できますが、どんなメリットがあるのでしょうか?ここでは、空き家を活用する利点について解説します。
新築と比べて安くマイホームが手に入る
空き家は中古物件の扱いになるので、新築よりも価格が安いケースがほとんどです。物件の状態や立地にもよりますが、数百万円で購入できるでしょう。場合によっては100万円を下回るケースもあります。
内装をリフォームする場合は、キッチンとお風呂のみやフローリング、壁を壊すなどどこまでリフォームするかによって費用は大きく変わります。おおよそ100〜300万円ほどかかります。
一方、新築物件の建築費用は1,000万円以上超えるのが一般的で、設備を最新のものにすると費用は高くなります。。そのことを考えると、空き家を購入して自宅として住む費用はとてもリーズナブルだと言えるでしょう。
費用を抑えてお店を開業できる
費用を抑えてお店を開けるのも空き家活用のメリットです。先ほど触れたように、空き家は内装のリフォームだけすれば店舗として使えるケースが多いです。そのため、イチから店舗を建てるよりも低コストでお店を開業できます。
さらに、空き店舗の場合だと既に業務用のキッチンや冷蔵庫などが設置されていることも多く、ほとんど費用がかからないこともあります。
物件によっては立地の良い場所に住める
立地の良い物件に住めるのも空き家ならではの良さです。空き家と聞くと田舎に多いイメージかもしれませんが、実は都会でも空き家が増えています。物件によっては駅やスーパーなどの施設に近く、生活にはとても便利です。
例えば、通勤・通学にかかる時間が減ったり、いつでも手軽に買い物ができたりします。空き家を活用すれば、安く立地の良い家に住み、快適な生活を送れるでしょう。
空き家購入のデメリットとは
空き家にはメリットだけでなくデメリットもあります。ここでは空き家を活用するデメリットについて詳しく見ていきます。
内装やインフラの改修に多額の費用がかかることがある
物件の状態によっては内装やインフラ改修の費用が高くなることがあります。
典型的なのが空き家になっている期間が長い物件。壁の張替えや水道管の整備など、補修する箇所が多い傾向にあるので、自然とリフォーム費用が高くなってしまいます。また、イタチやネズミ、コウモリなどの動物のすみかになっている場合もあるため駆除費用がかかることも少なくありません。
さらに、店舗として使う場合には、内装の補修に加えてインフラや設備の整備費用も発生します。このように、リフォームする箇所が多い物件の場合、思ったより多くの費用がかかる可能性もあります。
なるべく費用を抑えて空き家を活用するためには、購入する前に家の状態を確認しておくことが重要です。
空き家の活用にかかる費用
空き家を活用するためには購入や改装など様々な費用が発生します。この項目では、空き家を活用する際にかかる費用について詳しく見ていきます。
購入費用
空き家を購入する際には「土地」と「建物」の費用がかかります。物件によって差はありますが、100万〜1,000万ほどで購入できるケースが多いです。
ただし、家の状態や立地が悪い空き家だと、100万円を下回るケースも少なくありません。一方、立地が良く新築に近い状態の空き家の場合、1,000万円を超えることもあります。
改修・改装費用
内装や設備のリフォームを行う場合、改修・改装費用も発生します。新築同様のきれいな物件であれば少しの改装で足りるため、数十万円〜100万円ほどで済むでしょう。
しかし、壁や設備の補修など大がかりなリフォームを行う場合、数百万円かかるケースもあります。改修・改装する場所によっても代金は変わり、以下の部分は費用が高額になることが多いです。
- 屋根
- 水回り(キッチン・お風呂)
- 外壁
日本家屋の場合には屋根が傷んでいることが多く、取り換え作業には100万円以上かかることがあります。また、キッチンやお風呂などの水回りは水道管の改修が必要になるため、100万円ほどかかる場合があるでしょう。
また、外壁の改修は足場を組む費用が含まれるため、場合によっては200万円ほどかかることもあります。壁の傷みが激しかったり補修範囲が広かったりすると、数百万円に上ることも珍しくありません。
メンテナンス費用
空き家を購入する際にはメンテナンス費用も考える必要があります。
家にあるエアコンや給湯器などの設備は十数年ほどで故障してしまうため、定期的に取り換える必要があります。また、水道管などのインフラも定期的に改修しなければなりません。
メンテナンス費用は家の広さや状態にもよりますが数十万円〜数百万円ほどが10年に1回ほどのペースで発生するでしょう。
空き家購入のポイント
空き家を購入する際には注意点もあります。注意点は以下の通りです。
- 空き家バンクを利用する
- 支援制度を活用する
- 立地が悪い場所は避ける
それぞれ解説していきます。
空き家バンクを利用する
「空き家バンク」とは地方自治体が運営する空き家の販売情報を確認できる仕組みのことで、空き家物件を安く入手できます。各地方自治体で販売されている空き家を一気に確認できるるため便利です。
また、空き家がある場所も掲載されているため、立地の良さを確認するのに役立ちます。
「移住先で安い物件を探している」「事前に家の立地を確認しておきたい」と考えている方は一度ホームページをチェックしてみましょう。
支援制度を活用する
空き家を購入する際には各自治体が行っている支援制度を利用できる場合があります。多くのケースで補助金を受け取ることができ、空き家を購入する費用を抑えることが可能です。
例えば、埼玉県戸田市では、空き家バンクで空き家を購入して移住すると、40万円の補助金が支給されます。また、子どもがいる家庭は追加で10万円を受け取ることが可能です。
支援内容は自治体によって異なるので、気になる方は移住候補地の自治体のホームページをチェックしてみましょう。
立地が悪い場所は避ける
空き家の活用では、立地の悪い場所は避けましょう。特に過去に津波や地震、豪雨による土砂崩れなどの自然災害が起きた場所は要注意です。また、交通の便が悪い物件だと、買い物や通勤がしづらくなるかもしれません。
事前に各自治体が発行しているハザードマップを確認したり、現地に足を運んだりして、納得のいく立地かを確かめておきましょう。
空き家を活用して理想のライフスタイルを送ろう
空き家を活用すれば安くマイホームを手に入れることができます。また、お店を開業する場合にはその費用を抑えることにもつながります。
物件によっては立地の良いものもあり、新築物件よりも快適な生活を送れるかもしれません。リフォーム費用が高くなるケースもありますが、ある程度状態の良い物件を選べば問題ないでしょう。
ぜひ移住先の自宅や店舗として気軽に空き家の活用を検討してみてください。