趣味の登山にもっと腰を入れて打ち込みたいけれど、移動コストや時間を考えたら厳しい、と嘆いていませんか?それならいっそのこと、山の近くに移住してみてはいかがでしょう。
「人生100年時代」という言葉があるように、これからは長寿化の時代だと言われています。そんな長い人生を豊かに過ごすには、自分が喜びを感じられる瞬間を増やすのが一番です。あなたがこれまで真面目に働いてきて、今後は趣味の登山に力を入れたいと考えているのなら、ぜひ実行してみましょう。
もし、月1でしか登山ができなかったのが毎週できるようになったら……
もし、毎日山を眺めて暮らせたら……
考えるだけでワクワクしませんか?
そこで今回は、登山移住をバックアップするための情報をまとめてみました!
登山のために地方に移住するメリットやデメリットと合わせて、山の近くに住む際の注意点や、登山移住に最適な自治体を紹介します。
登山を生活の中心にしたい!という人はぜひ参考にしてみてください。
登山移住の魅力3選
移住によって生まれるメリットには、どのようなものがあるのでしょうか?登山移住の魅力に迫ります。
好きな時に気軽に登山が楽しめる
登山移住の最大の魅力は、いつでも登山が楽しめることです。
遠方から目的地までの往復には時間もコストもかかるし、体力も必要です。また、他の自然アクティビティとは異なり、登山では宿泊が前提になります。移動を考慮すると、土日休みだけでは不十分だと感じたことも多いのではないでしょうか?
しかし、山の近くに住めば時間とコストの問題が一気にクリアになります。これこそが、登山目的で移住する最大のメリットなのです。
さらに、天候の心配も減ります。
多くの人からすれば、本格的な登山のチャンスは年に数回の連休しかありませんが、山の近くに住んでいれば毎週末が登山のチャンスです。登山中に天候が崩れても悔しい思いをする必要はなく、また次回挑戦すればいいと気楽に構えることができます。
四季折々の自然の表情を楽しめる
四季を肌で感じられるのも、山の近くに住むうえでの魅力の一つです。季節の花々や紅葉を愛で、雪化粧をまとった山々を眺める……それが毎日できるなんて、とても幸せなことだとは思いませんか?
「先週は桜が七分咲きだったから、今週は満開だろう」、「雪で白くなっている山の写真が撮りたい」など、季節ごとの自然の表情を意識することで登山の楽しみがまた一つ増えることでしょう。
登山以外でもキャンプやマウンテンバイクなども楽しめる
山間部は、森林や草花に限らず自然の宝庫です。
登山移住を経験した人の多くが、キャンプ・釣り・スキーやスノーボード・マウンテンバイクなど、登山以外のアウトドアアクティビティにも楽しみを見出しています。やったことがなくても、移住を機に新しい趣味を始めてみるのも面白いでしょう。視野が広がると生活の充実度も高まり、山へ出向くのがより楽しみになります。
アクティビティの後は山の麓の温泉に浸かる、なんていう贅沢も味わってみてはいかがですか?
登山移住のデメリット3選
移動コストや時間を気にせず登山が楽しめるとあって地方移住は魅力的ですが、デメリットがあることも忘れてはいけません。結果的に登山が楽しめなくなっては意味がないので、登山移住のデメリットも必ず理解しておきましょう。
山間部は自然災害のリスクが高くなる
山間部に住むにあたって最も懸念すべき点が、自然災害です。
山の近くではがけ崩れ・土石流・地滑りが毎年のように発生しており、自然災害のリスクは否めません。冬場は雪崩にも注意が必要です。
山間部に住む以上は、ハザードマップの確認・避難用具の常備などしっかりと対策をとるように心がけましょう。また、山の天気は変わりやすいため、登山中の遭難も他人事ではないという意識も持っておいてください。
車がないと移動が困難になる
当然のことながら、山の近くで生活しようと思うと車が必須になります。普段ごく身近に存在するコンビニ・スーパー・ドラッグストアも山間部にはまずありません。車で買い物に出かけて行って数時間かかるのも当たり前だと思っておいてください。
交通の便も悪く、電車やバスが数時間に1本しかないのも山間部では常識です。そもそも、最寄り駅やバス停まで車で数十分~数時間ということもあります。
運転免許証や自家用車を持っていない人は、手配するところから始めましょう。
総合病院が近くにない場所がある
銀行や病院、市役所などの公共施設が近くにないことにも不便さを感じるでしょう。特に、総合病院は都市部へ移動しないとない可能性もあります。これまで以上に健康管理には気を配ること、登山の事前準備に念を入れることを意識しておきたいものです。
いざという時の最短医療アクセスについて把握しておくと、万が一の場合も焦らずに済みますね。
移住先を選ぶ際の注意点3選
登山移住を成功させるには、移住先選びが肝心です。移住先を決めるにあたって知っておくべき注意点についても見ていきましょう。
日常生活に支障がないかを短期移住で確かめる
山での生活が不便なことは理解しているから大丈夫!とは言っても、安易に引越してしまうと都会とのあまりの違いに愕然としかねません。
現地を体感する手っ取り早い方法は、その地域に試験的に住んでみることです。
地方移住が浸透しつつある現在、多くの自治体が数日~数カ月の「お試し移住制度」を取り入れています。お試し移住の魅力は、ネットやSNSを見ているだけではわからないその土地の天候や気候、住環境、近所付き合いの仕方などが体感できることです。
試してみたい人は、興味のある地域と「お試し移住」・「お試し住宅」などのワードで検索してみると良いでしょう。
地域コミュニティのルールを確認する
山間部や山合いの集落には、昔から人々が協力し合って生活してきた歴史があります。そのため都会よりも人付き合いが密接で、町内会や自治会、学校行事などへの全員参加が当たり前だという意識があるのも特徴です。
移住者の中には、こうした人間関係を面倒に感じる人もいるでしょう。とはいえ、周囲との関り合いがなくては移住後の生活も成立しません。可能なら、お試し移住制度を使ってプチ移住を体験し、地域の人々との交流を深めてみると良いでしょう。その土地のルールや風習を敬い、自分から積極的にコミュニティに馴染もうとする心がけが大切です。
ハザードマップを確認しいざという時に備える
山間部と自然災害のリスクは切っても切れないものです。と言っても、リスクを恐れて移住を恐れる必要はなく、事前にしっかりと対策をとっておくことで万が一の際の被害を最小限に抑えられます。
ハザードマップ、災害時の避難経路や避難場所の確認はもちろん、遭難時の山岳ヘリの連絡先も控えておくと安心です。
おすすめの登山移住先
さあ、ここからは登山移住におすすめの移住先を5ヵ所紹介します!定番から意外なエリアまで多様に取り揃えました。ぜひ移住先選びの参考にしてみてください。
中央アルプスと南アルプスに囲まれた街!長野県伊那市
長野県南部に位置する伊那市は、周りを中央アルプスと南アルプスに囲まれた大自然の街です。日本百名山の「仙丈ヶ岳」・「甲斐駒ヶ岳」・「塩見岳」といった有名な山が揃うロケーションは、登山愛好家にはたまらなく感じるでしょう。
桜が見事な「高遠城址公園」・「小黒渓谷キャンプ場」・南アルプスが一望できる「農業公園みはらしファーム」・パラグライダーやマウンテンバイク、SUP体験などのできる「ASOBINA」など、豊富な野外アクティビティが体験できるのも魅力です。
また、全国移住調査で毎年上位に入る長野県の中でも、特に伊那市の移住支援制度には目を見張るものがあります。木の温もりが溢れる施設で暮らせる「お試し暮らし」・住宅取得に役立つ「いな住まいる補助金」の他、就業支援や空き家バンクに至るまで、移住者へのバックアップが整っているのも心強いですね!
詳細は、伊那市について解説した下記の記事をご確認ください。
都市部に近くて初心者にもオススメ!埼玉県秩父市
埼玉県北西部に位置する秩父市は、自然に身を置きつつも短時間で都心へアクセス可能なことから、初めての移住先としても人気の街です。ハイキング感覚で行ける初心者向けの山から標高2,000m超えの経験者向けの山まで、誰もが登山を楽しめる環境が注目されています。
季節ごとに変わる秩父の街並みを見渡せる「宝登山ロープウェイ」・ライン下りが楽しめる「長瀞岩畳(ながとろいわだたみ)」・2000年以上の歴史を誇る「秩父神社」など、観光スポットが多いのも秩父市の魅力です。
都心へは電車で1時間半程度で行けるので、いきなり山での生活は不安……という人は、秩父市を移住候補先に入れてみてはいかがでしょうか?
詳細は、秩父市について解説した下記の記事をご確認ください。
標高3,000メートル級の山々がそびえる!自然の宝庫岐阜県
岐阜県といえば、標高3,000m級の山々がそびえる山岳地帯です。北部の飛騨地域には乗鞍岳や奥穂高岳などの日本を代表する山域が広がる一方、南部の美濃地域には初心者や家族向けの標高の低い山も見られます。また、名水百選の長良川をはじめ無数の清流が走っており、ラフティングやキャンプ、釣りなどが楽しめる点も、アクティビティ好きにとってはたまらないでしょう。
岐阜駅からは名古屋まで電車で20分、大阪・東京へも新幹線を利用して1~2時間という好アクセスながら、都会よりも2万円ほど安い家賃で生活できるのも人気の秘密です。
刃物や美濃焼、木工などの伝統工芸品、合掌造りで知られる世界遺産の白川郷など、数々の伝統が息づく地域でもあるので、悠久の歴史にどっぷりと浸かってみるのもおすすめですよ!
詳細は、岐阜県について解説した下記の記事をご確認ください。
初心者でも安心して楽しめる筑波山がある!茨城県つくば市
研究学園都市として知られるつくば市は、洗練された街並みと豊かな自然が共存する住みやすい地域です。つくばエクスプレスで秋葉原まで45分と、都心にごく近いながらもゆとりある暮らしができる点から、つくば市には近年移住者が急増しています。
整備の行き届いた街には大型ショッピングモールやおしゃれなカフェなどが充実しており、生活に不自由することはありません。
山に囲まれた田舎暮らしがしたいのなら、特に筑波山のある北部エリアがおすすめです。日本百名山に数えられる中でも標高が877mと低めの筑波山では、気軽に登山やハイキングが楽しめます。ロープウェイやケーブルカーを利用して山頂に登ることも可能です。展望台からのつくば市内や関東平野の眺めは格別なので、ぜひ一度体験してみてはいかがでしょうか?
詳細は、つくば市について解説した下記の記事をご確認ください。
登山上級者の人気が高い北アルプスが近い!長野県松本市
長野県の中央に位置する松本市は、国宝・松本城とその城下町の名残りに北アルプスの雄大な山々がマッチしたダイナミックな街です。前述の伊那市とともに、全国移住調査では毎年1位を争うほど人気が高まっています。
松本市の最大の魅力は、市内から常念岳や穂高岳などの雄々しい北アルプスが一望できる点でしょう。日本が世界に誇る名勝・上高地や美ヶ原高原などへの玄関口にもなっており、世界中から登山家がこぞって訪れる白熱ぶりです。
さらに、2021年4月の中核市への移行で市の行政サービスが向上し、教育や福祉制度の充実と事務処理期間の短縮化が成されました。
世界に誇る北アルプスの絶景と歴史的街並みを常に身近に感じられるうえに、行政サポートも手厚いと来れば、興味がそそられますね。
詳細は、松本市について解説した下記の記事をご確認ください。
登山移住の魅力を知って移住を検討しよう
登山が好きで山間部の静かな所で暮らしたいという想いから、山の近くに移住する人が急増中です。登山移住が実現できれば、好きなタイミングで登山に打ち込めるようになります。
一度きりの人生、本当にやりたいことにフォーカスし、夢を追いかけてみるのもいいのではないでしょうか?
ぜひこの記事を参考に、登山移住へ一歩踏み出してみてください!
※内容は2023年7月執筆時のものです。